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愛’S EYE WOWOWテニス・スペシャルコメンテーターの杉山愛が、 世界を舞台に戦ってきた経験を基に、 試合を分けたポイント分析から、 テニスを通じて得たさまざまな知識・経験まで、 独自の視点を披露する!

杉山愛 オリジナルコラム 【愛'S EYE】

第108回 遠征時のパッキング(荷造り)のコツ

持ち物リストを作っておけば、パッキングの作業は苦になりません

  前回は「時差対策」のお話しでしたが、旅つながりで今回は「パッキング」について書いてみます。

 テニス選手は遠征のたびにスーツケースに荷物を詰めて、それを解いての繰り返しです。そこで私が実践してきたのは、持ち物リストを作ることでした。

 遠征先での滞在日数が違ったり、季節も違うので微調整は必要ですが、基本的に持っていくものは同じ。そこで、必要なものをチェックリストにしていました。パッキングのときはリストの上から順にそろえていけば絶対、忘れ物はありません。これを、リストなしで「何がいるんだっけ?」みたいなところから始めると大変な作業になってしまいます。

 現役を終えた今は、その時々の仕事によって必要なものが変わるので、まず予定を書き出してみます。出張先でのスケジュールを書いていって、例えば衣装とかそこで必要なものを書き出して、それがリストになります。

 紙に書くと、必要なものが明確になるから準備しやすいんです。リストを作るときに頭の中で考えるから、実際に用意するときは作業に専念できて、時間も節約できます。ところが、用意しながら考えていると、忘れ物も出てくるし、それだけ時間もかかりますよね。

 書き出していくと、「時間が空いたらこういうこともできるかもしれない」とアイディアが浮かんできます。「プールに行けそうだから水着を持っていこうかな」とか。そういうことを考える余裕も出くるんです。

 ほかに荷造りのコツと言えば、スーツケースにパンパンに詰めて出かけるのではなく、ゆとりを持たせて詰めるとか、小さく落りたためるバッグを余分に持っていくことでしょうか。帰国の時の荷物って、おみやげを買ったりして、何かしら増えますよね。だから、現地でパッキングし直す時に「あれ? 出発するときは入ったのに」というのはありがちです。最初からゆとりを持たせておけば、楽にパッキングできるので、気持ちにも余裕ができますよね。

 飛行機のチェックイン時には、ラケットは預けず、手持ちにしていました。時々、荷物が迷子になって到着しないことがあるので、それに備える意味もあります。

 それでも、航空会社によってはラケットも預けさせられることがあります。ラドワンスカ選手はそれでラケットが迷子になって、試合に間に合なくて、同じラケットを買って試合をしたことがあるそうです。いつものラケットとはフィーリングが全然違って、試合は全然ダメだったと言っていました。

 私も一度、荷物が届かなくて困ったことがあります。ラケットは手持ちでしたが、ほかの荷物が来ないんです。移動してすぐに試合をしなくてはいけなかったので、ショップでウェアを買い、モデルがないものについては同じメーカーのものを着ている選手に借りて、試合に出ました。

 これで嫌な思いをしたので、それから、移動してすぐに試合というときは、手持ちの荷物の中にラケットと一緒に試合ウェアとシューズを必ず1セット入れるようにしていました。

 今でこそ思い出話にして笑えるのですが、その場ではとても笑えません。荷物が来なければ同じ服を着たまま何時間も過ごさなくてはならないし、買いに行くといっても日本のようには簡単に手に入らない場合が多いので。そう考えると、ツアー生活ってストレスの要素がたくさんありますね。

 もし、若いテニスプレーヤーのみなさんがこのコラムを読んでくださっていたら、遠征の時は手荷物にラケットと一緒に試合ウェアを1セット、というのを覚えておいてください。

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杉山 愛

杉山 愛
生年月日:1975年7月5日
出身:神奈川県
主な戦績:
WTAツアー最高世界ランク シングルス8位 ダブルス1位
国際公式戦勝利数:シングルス492勝 ダブルス566勝
WTAツアー:シングルス優勝回数6回
ダブルス優勝回数38回
公式戦通算試合数:1772試合(シングルスとダブルス)
グランドスラム62大会連続出場のギネス記録を持つ。

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