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愛’S EYE WOWOWテニス・スペシャルコメンテーターの杉山愛が、 世界を舞台に戦ってきた経験を基に、 試合を分けたポイント分析から、 テニスを通じて得たさまざまな知識・経験まで、 独自の視点を披露する!

杉山愛 オリジナルコラム 【愛'S EYE】

第106回 フェドカップ日本対スペイン戦への期待

ひところの勢いはないスペイン。日本チームにもチャンスあり!

  2月のロシア戦に敗れたフェドカップ日本チームは、ワールドグループ残留をかけて4月20日、21日の両日、アウェーでスペインと対戦します。

 スペインは、WTAランキング19位のカルラ・スアレス ナバロを中心に世界ランク100位以内の選手を4人そろえたチーム。でも、日本もエースの森田あゆみ選手が力をつけ、ロシア戦ではシングルス2勝と大活躍しています。今回はレッドクレー(赤土)での対戦で、日本チームにはディスアドバンテージになりますが、ここでスペインに食いついていけたら日本の女子テニスにとっては大きなきっかけとなるはずです。また、ぜひともきっかけにしてほしいのがこの対戦です。

 ワールドグループ1回戦のロシア戦は、一時は2勝1敗とリードしながら逆転されるという接戦でした。惜しかったというだけでなく、クルム伊達公子選手が故障で実力を発揮できず、チーム全体としては不完全燃焼というか、残念な結果でした。

 それから2カ月。選手たちには考える時間が与えられたので、フェド杯に対する思いや意気込み、出場する意味というものをそれぞれの立場であらためて考えたことでしょう。今回のスペイン戦では、そこのところをクリアにして戦ってほしいと思います。

 森田選手は、日本のエースとして、前回のロシア戦でもその役割をしっかりと果たしてくれました。WTAランキング20位(対戦時、以下同)のマカロワ選手、33位のベスニナ選手に素晴らしい内容で完勝。あの対戦は大きな自信になったでしょう。それ以外にも、今シーズンはイバノビッチ選手(13位)やウイックマイヤー選手(30位)にも勝っています。彼女にとって2013年は大きな飛躍の年になるに違いありません。

 彼女にはフェド杯に対する思い入れもあるはずです。ワールドグループを経験しながら、一度アジア/オセアニアゾーンに陥落、そこからかなりの時間をかけて再びこのワールドグループに上がってきたのです。しかも、1回戦ではあの強豪ロシアを相手に本当にあと一歩、勝つチャンスが見えた、というところまでこぎつけたのです。それだけに今回のスペイン戦にも相当強い思いで臨むでしょう。彼女はレッドクレーというサーフェスでも十分戦える力をつけていると思います。

 ナンバー2シングルスとして出場するのは土居美咲選手でしょうか。スペインは誰がシングルスに起用されても強敵であることに変わりはありませんが、どの選手もパワープレーヤーではなく、ラリーでしっかり組み立ててくるタイプなので、ストローク力のある土居選手にもチャンスはあるはずです。

 フェド杯の対戦で一つのキーになるのはダブルスですが、今回、日本はダブルスの柱として青山修子選手を初めて代表に選びました。グランドスラムの舞台も経験し、ツアー2大会に優勝と力をつけている選手なので、期待していいと思います。

 スペインは強いといっても、サンチェスとマルチネス、ダブルスにルアノ パスカルというベストメンバーをそろえた時代から比べれば、正直なところ、そんなに勢いあるチームとは感じません。日本にもチャンスは十分ありますよ。

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杉山 愛

杉山 愛
生年月日:1975年7月5日
出身:神奈川県
主な戦績:
WTAツアー最高世界ランク シングルス8位 ダブルス1位
国際公式戦勝利数:シングルス492勝 ダブルス566勝
WTAツアー:シングルス優勝回数6回
ダブルス優勝回数38回
公式戦通算試合数:1772試合(シングルスとダブルス)
グランドスラム62大会連続出場のギネス記録を持つ。

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