愛’S EYE WOWOWテニス・スペシャルコメンテーターの杉山愛が、 世界を舞台に戦ってきた経験を基に、 試合を分けたポイント分析から、 テニスを通じて得たさまざまな知識・経験まで、 独自の視点を披露する!
杉山愛 オリジナルコラム 【愛'S EYE】
第83回 日本大好き!な選手たち
人気の理由は食べ物。置き忘れた財布が戻ってくるのも日本くらい!?

写真:Natsuki Sakai/アフロ
お鮨ではマグロやサーモンが一番人気でしょうね。うなぎも好きな選手が多いんです。あの甘いたれが好きみたいですね。(ダブルスパートナーだった)ダニエラ(・ハンチュコバ)やカタリナ(・スレボトニク)は、海外でもよく一緒に日本食を食べていたので、焼き鳥とかきんぴらごぼうとか、日本人が食べるようなものを食べます。
日本に来たときの楽しみ方では、やはり秋葉原ですね。私はあまり行ったことがないので、私より、よく知っていたりするんですよ。地下鉄に乗って行く選手もいて、すごいなと思います。
日本の良さについて話してくれる選手もいます。ある選手がタクシーに財布を忘れたのですが、海外ならほぼ間違いなく、戻ってきませんよね。でも、「ホテルに届いてたのよ」と言って本当にびっくりしていました。
あとは小物、例えばiPhoneのケースのように、凝ったディテールのものに人気があります。海外にはなかなかないし、好きですね、女子は。他にはネイルアートとか。ああいう手先の器用な仕事は日本人の得意分野ですね。
コンビニに行くのが大好きな選手もいますよ。どの国を見ても、あんなに便利ですぐれたお店はありません。コンビニのおにぎりにも、みんな感動していましたね。サマンサ・ストーサーも大好きです。
今年の東レPPOは、ランキング上位20人のうち19人がエントリーしていました。こんなに上位選手がそろう大会は、そうはありません。WTAの上位選手には、東レのようなグレードの高い大会には出場義務がありますが、とは言っても、過去に楽しい時間を過ごしていないと、なかなか戻ってきてくれないと思います。その意味で、東レは選手が出たいと思っている大会なのだと思います。
ストーサーのツアー初優勝は大阪で行われたHPオープンでした。ただ、彼女が日本びいきになったのは、もっと前からで、ITFサーキットの小さな大会に出ている頃からです。日本人には良い人が多いし、大会のオーガナイズがちゃんとしているから好き、と言っていました。
大会運営にも、細かい気配りという、日本人のよさが表れるのです。そこに目が届く国民性なのでしょうね。ただ、私たちは、それに慣れてしまうと、海外での対応に戸惑うことがよくあります。また、日本選手にとっては、日本の大会が居心地よくなってしまうと危険です。これで十分楽しいと思うようになり、グランドスラムを目指すのではなく、なんとなく大会を回っているということになりかねないからです。そこはあくまでも通過点、ポイントを取ってランキングを上げるための大会と考えて、大きなところを見据えてほしいですね。
- 杉山 愛
- 生年月日:1975年7月5日
出身:神奈川県
主な戦績:
WTAツアー最高世界ランク シングルス8位 ダブルス1位
国際公式戦勝利数:シングルス492勝 ダブルス566勝
WTAツアー:シングルス優勝回数6回
ダブルス優勝回数38回
公式戦通算試合数:1772試合(シングルスとダブルス)
グランドスラム62大会連続出場のギネス記録を持つ。