愛’S EYE WOWOWテニス・スペシャルコメンテーターの杉山愛が、 世界を舞台に戦ってきた経験を基に、 試合を分けたポイント分析から、 テニスを通じて得たさまざまな知識・経験まで、 独自の視点を披露する!
杉山愛 オリジナルコラム 【愛'S EYE】
第78回 デビスカップ・ワールドグループ・プレーオフ、
日本対イスラエル戦のみどころ
普通に勝てそうな気が……。
そう思わせてくれる日本男子、すごいですね!
写真:北村大樹/アフロスポーツ
雰囲気がいいのも、このチームの特徴です。グランドスラムの会場で彼らの様子を見ても、お互いがいい意味で刺激し合っています。もちろん、錦織選手が他の選手に刺激を与え、引っ張っている部分が大きいのですが、そうしたお互いの意識がいい方向に働いています。
フェドカップでのイタリアチームや最近好調のドイツ勢が、まさにそういう雰囲気です。ドイツの選手の中で最初にブレークしたのはペトコビッチ(故障の影響で現在は37位)ですが、彼女はケルバー(6位)を「あなたならもっとできるわよ」と励まし、そのひと言でケルバーはすごく刺激されたと聞きました。
選手というのは、同じ国の選手が活躍すると「この人ができるなら、私にもできる」と感じるものです。私自身、伊達さんが世界4位に到達したときは、身長もあまり変わらないし、同じ日本人の伊達さんにできるなら私もできるかも、と心のどこかで励まされていました。
デビスカップやフェドカップは、チームとして一緒に行動し、同じ時間をシェアできる機会なので、一層、そうした刺激を受けやすいのです。
男子ではセルビアの選手たちがデ杯をきっかけにそろって躍進しました。ジョコビッチも、きっかけとなったのはデ杯だったと、はっきり言っています。デ杯戦では、ただ戦うのではなく、「国のために」という強い動機付けがあります。だから、その戦いを経験することが選手個々の力を伸ばすのです。今の日本代表も、デ杯を通して個々の選手が大きく伸びる可能性を秘めていると思います。
ただ、相手のイスラエルも侮れません。中心選手はデュディ・セラ。175センチと体格は大きくないのに長くトップ100をキープしてきた選手ですが、この事実がまさに彼の実力を示しています。ダブルスにはジョナサン・エルリックとアンディ・ラムという、ツアーで長年活躍している強力なペアがいます。
顔ぶれを見ると、ガッツがあるチームだなという印象です。イスラエルの選手は必死さが違います。日本の選手はほとんどの遠征先にビザ免除で行くことができますが、イスラエルの選手はその都度、ビザを申請しなければなりません。ですから、選手たちのパスポートはすごく分厚くなっています。イスラエル選手には入国さえ認めない国もあります。それでもプロ生活を送っている選手たちなのです。そうしたバックグラウンドをあわせて考えると、デ杯代表は間違いなく手強いチームです。
ただ、層の厚さでは日本ですね。イスラエルの主力選手は、単複でそれぞれの仕事を完璧にこなさなければ勝ち目はないと思っているはずです。日本は、単複ともに戦える選手ばかり。また、シングルスランキングでトップ100の選手が3人そろっていることは大きな武器です。ダブルスは相手も手強いので、まずは初日のシングルスで先手を取りたいところですね。
それにしても、ワールドグループ・プレーオフで、普通に勝てそうだと思わせてくれる日本男子って、すごいと思いませんか? ホームの有明の声援をバックに、素晴らしいパフォーマンスを期待しています!
- 杉山 愛
- 生年月日:1975年7月5日
出身:神奈川県
主な戦績:
WTAツアー最高世界ランク シングルス8位 ダブルス1位
国際公式戦勝利数:シングルス492勝 ダブルス566勝
WTAツアー:シングルス優勝回数6回
ダブルス優勝回数38回
公式戦通算試合数:1772試合(シングルスとダブルス)
グランドスラム62大会連続出場のギネス記録を持つ。
