愛’S EYE WOWOWテニス・スペシャルコメンテーターの杉山愛が、 世界を舞台に戦ってきた経験を基に、 試合を分けたポイント分析から、 テニスを通じて得たさまざまな知識・経験まで、 独自の視点を披露する!
杉山愛 オリジナルコラム 【愛'S EYE】
第73回 テニスウェアへの私のこだわり
ノースリーブで色はブルー系。既製品ではなく、寸法を測って作っていただきました

写真:アフロ
現役の最初のころから比べると、特に素材の面ですごく進化が見られました。以前はコットンで汗をよく吸収してくれるものが好きで着ていましたが、マテリアルが進化し、速乾性のもの、通気性のいいものが出てきました。また、契約先のプリンスは、ハニカム(六角形)構造で、どこから引っ張っても均等に伸びる素材を採用していて、綿の頃に比べるとプレーのしやすさは格段に増したと感じます。
グランドスラムなどの節目ごとにウェアのコレクションが新しくなるので、選手同士、ロッカールームで「今度、あの選手はどういうのを着てくるんだろうね?」とか、みんな結構、楽しみにしていました。実際、トップの選手の中にはデザインに直接係わっている選手もいたので、「今度のはかわいくなりそうよ」などと話している選手もいましたよ。
私自身、契約先に意見を言わせてもらう機会があったことはよかったですね。こういう形にしてほしい、とリクエストして、一度出来上がってきてからも「こういうところを、ちょっと着心地よくしてほしい」などと何回かやりとりする中で、自分の好きな形が見つかりました。それがベースになって、あとは毎回マイナーチェンジを繰り返していったという感じです。
サイズについては、一番最初だけ既製のものを調整してもらい、その後は寸法をとって作ってもらいました。選手はそれぞれ体型も違うので、寸法を測ってもらえるのはありがたいことですね。
そういえば、フィット感も時代の流れとともに大きく変わってきましたね。ボルグの時代は、ぴちっとしたウェアで、パンツもかなり短いのを履いていましたよね。そのあと、ぴったりしすぎていると動きにくいということなのか、バギーな感じでゆとりのあるつくりになって、パンツの丈も長くなって。ワンピースも一時期は主流でしたが、一度なくなって、また出てきましたよね。
色に関しても、各メーカーさんが、その年の流行色とか、あるいは運気がいい色なのか、特定のカラーを打ち出します。専門の人が「今年はこれがいい色」というふうに決めるのだと思うのですが、それが結構、各ブランドで同じだったりするんですよね。だから、ファッションの世界から「今年はこういう流れ」というのが発信されて、スポーツ界にも取り入れられるのでしょうね。
ウィンブルドンではウェアは白と決められていますが、その中でもラインを入れたり、ぎりぎりのところで各メーカーがこだわりを見せています。全仏で選手が着るウェアは、レッドクレーの色とかローランギャロスの雰囲気に合わせたカラフルなもの、デザイン性の高いものが多いのですが、そのすぐあとに真っ白のウィンブルドン。対照的で、すごく素敵ですよね。
- 杉山 愛
- 生年月日:1975年7月5日
出身:神奈川県
主な戦績:
WTAツアー最高世界ランク シングルス8位 ダブルス1位
国際公式戦勝利数:シングルス492勝 ダブルス566勝
WTAツアー:シングルス優勝回数6回
ダブルス優勝回数38回
公式戦通算試合数:1772試合(シングルスとダブルス)
グランドスラム62大会連続出場のギネス記録を持つ。