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愛’S EYE WOWOWテニス・スペシャルコメンテーターの杉山愛が、 世界を舞台に戦ってきた経験を基に、 試合を分けたポイント分析から、 テニスを通じて得たさまざまな知識・経験まで、 独自の視点を披露する!

杉山愛 オリジナルコラム 【愛'S EYE】

第63回 ベルギーと対戦するフェドカップ日本代表への期待

自分のやるべきことをやり、
いいパフォーマンスで勝利をもぎ取ってほしいですね

愛'S EYE

1996年フェドカップ 日本×ドイツ
写真:アフロ

 フェドカップ日本代表は4月21日から東京・有明コロシアムでワールドグループ1・プレーオフのベルギー戦に臨みます。代表のメンバーは森田あゆみ、クルム伊達公子、奈良くるみ、藤原里華の4選手です。

 ベルギーはキム・クライシュテルスなど上位選手が欠場し、チーム全員がWTAランキング200位以下の選手になりました。ケガなどそれぞれ事情は異なりますが、クレーコートシーズン直前のこの時期、ヨーロッパと日本を往復し、ハードコートに備えて練習して、という日程の厳しさも選手に出場を迷わせる要因になったようです。

 タフな相手に勝つことはチームの今後を考えればベストかも知れませんが、相手はだれでも、日本の選手たちが自分のやるべきことをやり、ファンの前でいいパフォーマンスを見せて勝利をもぎ取るところを私自身、見たいと思っています。グループ1復帰のかかるこの試合、何よりうれしいのはホームで戦えることです。久しぶりの有明での開催でもあり、最高の雰囲気の中で戦うことができるでしょう。  フェド杯ではランキング通りの結果が出るとは限りません。上位の選手でもプレッシャーを感じて実力が出せないこともあるし、逆に、フェドカップが得意な選手は、ランキングは3桁でもトップの選手を破ることがあります。そういう状況で、日本の特に若手の選手が自分の力を出せるどうか。力を試す意味でも、いい機会だと思います。この状況を経験することで選手は力をつけ、個人戦のツアーでも結果を残すようになります。そして、またフェドカップに出て、と、その繰り返しだと思うのです。

 日本代表はグループ2・1回戦のスロベニア戦と同じメンバーです。この1回戦は「強いな」と思わせる内容でした。相手が下位の選手とはいえ、フェド杯できちんと勝ち切ることは決して簡単ではありません。エースの森田選手も、苦しみながらしっかり勝ち切ったことに大きな意義があると思います。今は個人戦で少し苦しんでいますが、このフェド杯をひとつのきっかけにしてほしいですね。私もたった1試合を境に、不調から絶好調に切り替わったことがあります。彼女にもそのチャンスをつかんでもらいたいと思います。

 奈良選手も注目ですね。初めてシングルスで出たスロベニア戦は、日本の勝利が決まってからの登場でしたが、そういう試合でも、しっかり勝つことは若手選手にはいい経験になります。個人戦とは雰囲気も相当違うので、それに慣れるという意味でも、よかったと思います。

 ベルギーに勝てば、2007年以来のグループ1復帰。これは大きいですよ。グループ1は、もちろん地域予選とは全然違いますし、グループ2とも全然違います。ここで活躍すれば、国のテニス全体が盛り上がります。イタリアがいい例ですね。イタリア選手が今のようにランキングの上位に並ぶようになったのは、フェドカップがきっかけです。

 そういえば、村上武資監督が目指すのもイタリアのようなチームだそうです。ライバル意識もあるのでしょうが、彼女たちにはそれを超えたお互いのリスペクトがあるように思います。ベテランのスキアボーネとペンネッタは精神的にも成熟していて、二人の関係性もすごくいい。そういう選手が引っ張っているから、それに続く選手たちもリスペクトして、ついていく。他のチームでは選手同士がぎすぎすしている例も少なくないのですが、イタリアを見ていると、フェドカップって、こうあるべきだなと感じます。

 日本チームでは、森田選手にはエースの自覚もあり、話していても、すごくしっかりしているなと感じます。自分が彼女の年齢(22歳)の時と比べても、全然違いますね。冷静に、客観的に物事を見る力があり、チームを引っ張っていくだけの精神力もあると思います。

 プレッシャーはすごいし、出るからには大きなエネルギーを注がなければなりませんが、それだけに、これを経験すると、選手として大きく成長できるのがフェド杯です。4人の選手たちがフェド杯を通してステップアップできるように、いい時間を過ごしてもらいたいと思っています。


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杉山 愛

杉山 愛
生年月日:1975年7月5日
出身:神奈川県
主な戦績:
WTAツアー最高世界ランク シングルス8位 ダブルス1位
国際公式戦勝利数:シングルス492勝 ダブルス566勝
WTAツアー:シングルス優勝回数6回
ダブルス優勝回数38回
公式戦通算試合数:1772試合(シングルスとダブルス)
グランドスラム62大会連続出場のギネス記録を持つ。

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