愛’S EYE WOWOWテニス・スペシャルコメンテーターの杉山愛が、 世界を舞台に戦ってきた経験を基に、 試合を分けたポイント分析から、 テニスを通じて得たさまざまな知識・経験まで、 独自の視点を披露する!
杉山愛 オリジナルコラム 【愛'S EYE】
第20回 今回もローランギャロスから。大会前半戦を振り返ります
ジョコビッチは本当に「強いな」
と感じさせるテニスをしています

写真:アフロ
今、本当に強いなと感じさせるのがジョコビッチです。連勝記録を更新していますが、テニスを見ても好調ぶりがうかがえます。動きがシャープで、キレがあります。テニスはシンプルなのに、知らないうちに相手がミスしたり、簡単にポイントが取れてしまうように見えてしまいます。もう、「強いな」と言うしかありませんね。
連勝のプレッシャーもうまくコントロールしています。連勝中ということで注目を浴び、さらにナンバーワンランキングも見えてきて、あれこれ考えてしまうと思うのですが、そうしたもろもろの重圧を感じさせないというか、実際、感じていないのではないかと思わせるくらい、シンプルにプレーして自分のプレーに集中できています。また、連勝しているからこその自信満々の態度、オーラも感じます。すでに王者と言えるくらいの風格ですね。
今大会はあまり注目されていないフェデラーも、すごく好調です。サーブはコースがよく、高い確率でファーストサーブを入れています。彼のテニスはサーブからリズムが生まれるので、サーブが好調な今大会は自分からの展開ができています。
彼が今回ほどプレッシャーなく全仏を戦うのは初めてかもしれません。初優勝するまでは、優勝したいという気持ちが強く、それが重圧となっていたはずです。優勝してからは、逆にディフェンディングチャンピオンとしてのプレッシャーがあったことでしょう。しかし、今年はナンバーワンのナダルと連勝中のジョコビッチに視線が集まっていることもあって、フェデラーはまったくプレッシャーなく戦えているように見えます。
さて、ナンバーワンのナダルですが、前哨戦でジョコビッチに負けているからなのか、何か自信なさげというか、顔の表情もいつもの彼とは違って見えます。3回戦あたりからは彼らしさも出てきて、1、2回戦よりはよくなったと感じましたが、まだまだ本調子ではないなと感じます。リズムに乗り切れていないのか、ボールも浅いような気がします。ただ、やはりナンバーワンですから、ギアをさらに上げて、1週目とは違った戦い方を見せてくれるとは思います。
次に女子ですが、こんなに上位シードが崩れてしまうグランドスラムは初めて見ます。どの選手も「だれと当たっても1回戦からタフな戦い」とコメントしています。女子の層が厚くなったなと感じますね。ひと世代前は上位選手は3回戦・4回戦くらいまでは簡単に勝ち上がっていて、第2週に残る顔ぶれも大体決まっていましたが、今は1回戦からどちらが勝つかわからない戦いが増えています。見ている方には、エキサイティングな、そして楽しい女子テニスだと思います。
ディフェンディング・チャンピオン、スキアボーネはベスト8に進出しました。昨年、彼女は初めてのグランドスラム決勝であったにもかかわらず、プレッシャーをしっかり受け止め、彼女のベストのプレーで優勝を手にしました。そこからさらに実力をつけ、今大会は1回戦から安定した戦いを見せています。クレーコートのテニスが上手で、本物のスペシャリストなんだなと感じますね。もちろん優勝候補の一人です。
第1シードのウォズニアッキは、敗れた3回戦に関して言えば、ハンチュコバが素晴らしいプレーをしたと言えるでしょう。ウォズニアッキのディフェンス力は世界ナンバーワンだと思いますし、スマートに戦うことができる選手で、だからこそナンバーワンにいるのですが、もっとここをよくしたらすごいプレーヤーになると思うのが、攻撃の早さです。常に確率のよいショットを選んでいくので、「ここで勝負してほしい」という時に大事にいくことがあり、それが今回は彼女の足を引っ張ったように思います。残念な形で終わってしまいましたが、頭のよい選手ですから、自分の課題もわかっていると思います。今後の彼女に期待したいと思います。
次に日本選手ですが、実力をつけてきているなと感じさせるのは森田あゆみ選手です。去年からかなりフィジカルに力を注ぎ、今シーズンもツアーで手応えを得ています。全仏初勝利の1回戦は大きな勝利だったと思います。2回戦も、もっとガッツを外に出して戦えば流れをつかめたかもしれません。精神的にも強くなっているのですが、その強さを表にあらわし、精神的にも相手を呑み込むようなプレーができるのがトップ選手なので、彼女にもそれを身に付けてほしいと思います。
体調面が心配だった錦織圭選手は、よく間に合わせたなと思います。きちんと練習を積めたわけではなく、体力面でも不安があったと思います。にもかかわらず、1回戦ではルー・イェンシュンに自分のテニスで勝ちました。その時点での彼のベストのテニスをしたと思います。2回戦で敗れはしましたが、スタコウスキーのように多彩な選手と対戦することはそれ自体、収穫になったと思いますし、課題も見つかったと思います。
グランドスラム現地特派員第4弾!
全米オープンテニスを現地に見に行こう!
2011年のグランドスラム4大大会に、加入者の皆様を特派員としてご招待する好評企画もいよいよ第4弾!
ラストは、全米オープンテニスにご招待!ニューヨークで熱戦を観戦していただき、現地の模様や感想などを現地速報ブログや番組内でレポートしていただきます。グランドスラムの魅力をあなたの熱い想いと共に伝えてみませんか?
ぜひ特派員としてご参加ください!
■応募要項■
2011年8月28日(日)〜9月11日(日)の期間で現地3泊程度
※ご招待日程、スケジュールの詳細はご当選者にのみ連絡いたします。
会場:アメリカ・ニューヨーク
募集人数:1組2名様
応募締切:2011年7月27日(水) 24:00
応募に必要なレポートのテーマ:「あなたがテニスを好きになったきっかけ」
(字数制限はありませんので自由にお書きください)
ご応募はこちらから>>
グランドスラム現地特派員第3弾!
「ウィンブルドンテニス特派員募集」への出題テーマを発表!
2011年のグランドスラム4大大会に、加入者の皆様を特派員としてご招待する特別企画の第3弾は、ウィンブルドン大会の女子決勝戦にご招待!
現地では、熱戦を観戦していただくのはもちろん、スペシャルコメンテーターの杉山愛さんやスペシャルナビゲーターの石黒賢さんにお会いいただいたり、
現地速報ブログや番組内で、グランドスラムの魅力をレポートしていただきます。
観戦チケットは例年入手困難、決勝は特にプラチナチケットとなる、一度は行ってみたいウィンブルドンに、ぜひ特派員としてご参加ください。
■応募要項■
日程:2011年6月29日(水)〜7月3日(日)の期間で現地3泊を予定
※詳細は決定次第発表いたします。
会場:イギリス・ロンドン郊外 ウィンブルドン
募集人数:1組2名様
応募 締切:2011年6月3日(金)24:00
応募に必要なレポートのテーマ:「あなたの気分転換の方法」
(字数制限はありませんので自由にお書きください)
ご応募はこちらから>>
- 杉山 愛
- 生年月日:1975年7月5日
出身:神奈川県
主な戦績:
WTAツアー最高世界ランク シングルス8位 ダブルス1位
国際公式戦勝利数:シングルス492勝 ダブルス566勝
WTAツアー:シングルス優勝回数6回
ダブルス優勝回数38回
公式戦通算試合数:1772試合(シングルスとダブルス)
グランドスラム62大会連続出場のギネス記録を持つ。