[an error occurred while processing this directive]

WOWOW TENNIS ONLINE

愛’S EYE WOWOWテニス・スペシャルコメンテーターの杉山愛が、 世界を舞台に戦ってきた経験を基に、 試合を分けたポイント分析から、 テニスを通じて得たさまざまな知識・経験まで、 独自の視点を披露する!

杉山愛 オリジナルコラム 【愛'S EYE】

第9回 私だけが知っている!? あの選手のこんな素顔

家族に愛情を注ぎ、周囲の人にもエネルギーを分け与えるキム

キム・クライシュテルス

Photo:アフロ

 今回は、ツアーでもっとも親しい友だちのひとり、キム・クライシュテルスについてお話ししてみます。

 キムは若くしてテニス界で成功しましたが、トップ10のまま突然引退し、結婚して子供ができて、その後、お父さまを亡くし、彼女もまたカムバックして、と波瀾万丈の人生を過ごしています。彼女が人一倍エネルギッシュだからこそ、こうした出来事を乗り越えられたのでしょうね。

 彼女は太陽みたいな明るい性格の持ち主です。コートの上での表情や仕草にも、その明るさがあらわれることがありますよね。ファンもすごく大切にします。私たちは、例えば小児病院を訪問するなど、WTAの選手を代表して社会貢献活動を行ってきたのですが、彼女はそうした活動にもすごく積極的でした。

 トッププレーヤーですからプレッシャーもあるでしょうし、ツアーを回っていれば嫌なこともあります。でも、彼女にはそれをコントロールする力があります。すごく人間力のある選手だなと感じますね。私はダブルスを組ませてもらっていましたから、彼女の近くで生活することも多く、そのことで引き上げられたな、勉強になったなと感じることが多いのです。一緒にいることで自分自身のエネルギーも上がる、彼女はそういう選手です。

 彼女らしいなと感じたのは、2003年に私がツアーチャンピオンシップス(ランキング上位8人だけが出場できるシーズン最終戦)初出場を決めた時のことです。私は出場できるかどうかギリギリのところにいたのですが、シーズン終盤のリンツの大会で優勝し、出場がほぼ決まりました。この時、キムは私の携帯に電話してきてくれて、「アイ、やったじゃない! おめでとう」と。ダブルスパートナーだから当たり前なのかも知れませんが、この電話は私にとってはスペシャルな出来事でした。彼女は仲間であり友だちであって、ライバルじゃないんです。お祝いの電話をもらった時は、すごく愛情があるなと感じました。

 何に対しても大きなエネルギーを注ぐのが彼女です。恋愛についてもそうですし、家族への愛についてもそうですね。現役に復帰してすぐに全米オープンで優勝し、今年は一時ランキング1位にも返り咲きました(※2/14付)が、以前の彼女との大きな違いは家族がファーストプライオリティであることです。そこはずいぶん変わったなと感じます。「ああ、ママだな」と感じることが多いのです。

 以前の彼女は、当然のことながら、自分のためにツアーを回っていました。選手ですから、セルフィッシュ(自分本位)なところもあって当然だし、なければいけないのです。でも、今の彼女にはそれすらありません。常に家族のことを一番に考えています。復帰後も素晴らしい成績を残していますから、変わっていないのかなとも思っていましたが、ここは大きな変化ですね。

 選手をしながら“ママ”もできてしまうのは、彼女に余裕があるからなのでしょう。また、家族の存在がプラスに作用しているところもあるでしょうね。本当はストレスもあるのかもしれませんが、彼女はそのことで「うわーっ」と追い詰められず、丸ごと受け止めているように見えます。だから、ストレスがあるようには見えませんよね。そこも彼女の人間力なのかな、と思います。

「グランドスラム現地特派員」企画

2011年のグランドスラム全4大会に、WOWOWご加入者を特派員としてご招待する企画の第1弾、「全豪オープンテニス特派員募集」は12月27日を持って終了させていただきました。たくさんのご応募ありがとうございました! 第2弾、「全仏オープンテニス特派員募集」は3月中旬スタート予定。お楽しみに!

勝負をこえた生き方
好評連載中の杉山愛オリジナルコラム「愛’s EYE」が、
書き下ろしを加え書籍化!!

購入はこちらから>> 

杉山 愛

杉山 愛
生年月日:1975年7月5日
出身:神奈川県
主な戦績:
WTAツアー最高世界ランク シングルス8位 ダブルス1位
国際公式戦勝利数:シングルス492勝 ダブルス566勝
WTAツアー:シングルス優勝回数6回
ダブルス優勝回数38回
公式戦通算試合数:1772試合(シングルスとダブルス)
グランドスラム62大会連続出場のギネス記録を持つ。

[an error occurred while processing this directive]
[an error occurred while processing this directive] [an error occurred while processing this directive]