強豪揃いのスーパー・ライト級王座統一戦!
WBC・WBO世界S・ライト級王座統一戦
WBC世界S・ライト級チャンピオン
デボン・アレキサンダー
(アメリカ)
WBO世界S・ライト級チャンピオン
ティモシー・ブラッドリー
(アメリカ)
無敗王者同士の統一戦
賭け率は2対1でブラッドリー有利だが……
強豪がひしめく140ポンド(約63.5キロ=S・ライト級)戦線。昨年12月にはWBA王者アミール・カーン(イギリス)が暫定王者のマルコス・マイダナ(アルゼンチン)との激闘を制して次のステージに駒を進めており、一歩先を行っている感がある。それを猛追すべくアレキサンダーとブラッドリーが拳を交える。
アレキサンダーは少年時代にケビン・カニンガム・トレーナーと出会い、ボクシングを開始。アマチュアで約310戦(300勝10敗)を経験後、04年5月に17歳でプロ転向を果たした。ここまで21戦全勝(13KO)をマークしている。世界タイトル(WBC)は09年8月、王座決定戦でジュニア・ウィッター(イギリス)に8回終了TKO勝ちを収めて獲得。10年3月にはファン・ウランゴ(コロンビア)を8回TKOに下してIBF王座も吸収したが、このベルトは今回の試合を前に放棄している。
スピードと強打を併せ持ったサウスポーの技巧派で、チャンピオンでありながら多くの伸びしろを残している。逆の言い方をすれば、タフネスやスタミナなどまだ試されていない面もあるということになる。しかし、直近のアンドレアス・コテルニク(ウクライナ)戦では最後まで動きを止めずに手を出し続けるなど、総合力は着実にアップしているといえる。
WBO王者ブラッドリーは身長168センチと、このクラスにしては小柄だが、その分俊敏で優れた勝負勘を有している。
アマチュアで145戦以上(20敗)後、アレキサンダーと同じ04年にプロデビュー。ここまで27戦26勝(11KO)1無効試合と無敗をキープしている。
08年5月、ウィッターからWBCタイトルを奪い、09年にはケンドール・ホルト(アメリカ)を下してWBOのベルトも獲得。直後にWBC王座を返上したため、以後2年近く、WBO王座に君臨し続けている。昨年7月には近い将来の進出を見込んでウェルター級でテストマッチも行っており、無冠戦ながら体格面で勝る世界ランカーに圧勝してみせた。
2対1のオッズが示すように強豪、難敵との対戦数や経験値で勝るブラッドリー有利の声が多い。しかし、ともにスピードとテクニックに定評のある選手ということで、展開を予想するのは容易ではない。確かなことがあるとすれば、レベルの高い攻防が約束されているということであろう。
Written by ボクシングライター原功
アミール・カーン
S・ライト級トップ戦線の現状
WBA:アミール・カーン(イギリス)
WBC:デボン・アレキサンダー(アメリカ)
IBF:空位
WBO:ティモシー・ブラッドリー(アメリカ)
マルコス・マイダナ(アルゼンチン)とのWBA内統一戦を制したアミール・カーン(イギリス)が先頭を走り、ブラッドリーとアレキサンダーがすぐ後方から追う展開。内容にもよるが、今回の試合で王座を統一した者がカーンと肩を並べることになろう。
ランカー陣も充実している。ビクター・オルティス(アメリカ)がウェルター級でWBC王者アンドレ・ベルト(アメリカ)に挑戦するためにこのクラスから外れたが、それでも役者は揃っている。IBF王座決定戦に出場する元王者ザブ・ジュダー(アメリカ)をはじめ、4階級制覇を狙うシルバー王者エリック・モラレス(メキシコ)、捲土重来を期すマイダナ、ルーカス・マティセ(アルゼンチン)、カーンに挑戦が決まったポール・マクロスキー(イギリス)などなど。日本のホープ、亀海喜寛(帝拳)もトップ戦線割り込みを狙っている。
WBCシルバー・S・ライト級タイトルマッチ
元3階級制覇チャンピオン
エリック・モラレス
(メキシコ)
元WBC暫定世界S・フェザー級チャンピオン
フランシスコ・ロレンソ
(ドミニカ共和国)
4階級制覇への重要なテストマッチ
「恐怖の男」が真価発揮か
「ボクシング王国」メキシコには3階級制覇者が7人いるが、そのうちフリオ・セサール・チャベスを除いた6人が現役選手だ。すなわちモラレス、マルコ・アントニオ・バレラ、ホルへ・アルセ、ファン・マヌエル・マルケス、ウンベルト・ソト、そしてフェルナンド・モンティエル。誰が最初に4階級制覇を成し遂げるのか、ファンの興味は尽きない。
モラレスは05年から07年にかけて4連敗を喫して一度は一線を退いたが、10年3月にカムバック。以来、2連勝を収めている。復帰戦でWBCインターナショナル王座を、2戦目でWBCシルバー王座を獲得し、再び世界上位に戻ってきた。56戦50勝(35KO)6敗の強打は34歳の現在も健在だ。
一方のロレンソはウンベルト・ソト(メキシコ=現WBC世界ライト級王者)との2度の世界戦のほか11度の地域タイトル戦を経験している猛者で、タフネスに定評がある。ファン・ディアス(アメリカ)、ネート・キャンベル(アメリカ)、ローマン・マルチネス(プエルトリコ)、ホルへ・リナレス(帝拳)らとの対戦経験もある、しぶとい粘着型の選手だ。
攻撃力で勝るモラレスが攻め勝つとみるが、はたしてタフなロレンソをキャンバスに送り込むことができるかどうか。
Written by ボクシングライター原功