愛’S EYE WOWOWテニス・スペシャルコメンテーターの杉山愛が、 世界を舞台に戦ってきた経験を基に、 試合を分けたポイント分析から、 テニスを通じて得たさまざまな知識・経験まで、 独自の視点を披露する!
第112回 全仏オープンプレビュー 男女展望編
復帰後6大会で優勝のナダル。全仏でも爆発の予感
写真:ロイター/アフロ
優勝争いは、このナダルとノバク・ジョコビッチ(同1位)が中心になると思います。 ジョコビッチはランキング2位のアンディ・マレーに4000ポイント近い大差をつけて首位を独走しています。クレーコートシーズンに入って少し取りこぼしが目立ちますが、「強いな」という印象は変わりません。このレベルに到達しながらさらにプレーに磨きがかかるというのは、ちょっと恐ろしいくらいですね。ナンバーワンになったら終わりというのではなく、彼は一時期のロジャー・フェデラーのようにコンプリートなプレーヤーを目指しているのでしょうね。
そのほかには、クレーコートを得意とするダビド・フェレール(5位)も楽しみな選手です。
一方の女子はセレナ・ウイリアムズ(1位)、マリア・シャラポワ(2位)中心の展開が予想されますが、トップ10のどの選手にも優勝できるチャンスがあると言うべきかもしれません。
クレーコートで行われる全仏では、去年、サラ・エラーニ(5位)が決勝に進出するなど、この選手がここまで勝ち上がるのか、と驚くような結果が何度も出ています。男子では、全仏でそれまで1勝もしていなかったグスタボ・クエルテンがいきなり優勝した例もあります(1997年)。やはり他のサーフェスと比べてもクレーは特別です。だから、だれが優勝するとは言いにくい(苦笑)。四大大会で一番予測のしにくい大会であり、それがまたクレーのおもしろさなんですね。今は女子にその傾向が強く出ているように感じます。
ただ、その中でやはり今季のセレナの強さは際立っていますし、ディフェンディングチャンピオンのシャラポワ、2011年に優勝したリー・ナ(6位)らが優勝争いの中心にいると思います。ビクトリア・アザレンカ(3位)は全仏では2度のベスト8が最高と、あまり相性がよくないのが気になります。
昨年準優勝したエラーニの身長は164センチ。この体格で勝ち上がれるのは、ショットにバラエティがあり、状況判断もいいからです。狙いが明確で、何をどう思いながらどう打っているか、というのが見ている私たちにも伝わってきます。ドロップショットのタイミングもいいですよね。とにかく中途半端なショット、なにげなく打っているショットが1本もないな、というのが昨年の活躍を見て感じたことです。
今大会もエラーニのように「大穴」というか、序盤から波に乗っていく選手がいるかもしれませんね。また、あの小柄なエラーニが準優勝しているのですから、日本選手でもできるな、と思います。森田あゆみ選手、クルム伊達公子選手、土居美咲選手にも期待したいですね。
- 杉山 愛
- 生年月日:1975年7月5日
出身:神奈川県
主な戦績:
WTAツアー最高世界ランク シングルス8位 ダブルス1位
国際公式戦勝利数:シングルス492勝 ダブルス566勝
WTAツアー:シングルス優勝回数6回
ダブルス優勝回数38回
公式戦通算試合数:1772試合(シングルスとダブルス)
グランドスラム62大会連続出場のギネス記録を持つ。








