Tip Offの後、スパーズ最初の攻撃。トニー・パーカーに攻めさせる為のセットオフェンスが指示されていたが、先制点はマヌ・ジノビリの3Pだった！

　スターターとしての出場は確か2012年のプレイオフ以来。スターター起用が発表された時はホームのお客さんも驚きが交じった歓喜の声をあげた。ここ数日、その不調がメディアはもちろん地元ファンの中からも不安視されてきた男。サンアントニオのファンにとって、彼の復活は遠く離れた恋人と久しぶりの再会を果たした気持ちだ。

　マヌのプレーに恋に落ちるのは簡単。独特の左利きを利用したドライブや(左利き選手がみんな出来る訳ではない)、感性に溢れたパスは魅惑的で、人を虜にさせる。サンアントニオの街を10分も歩けばパーカーと同じだけのジノビリTシャツを着た人を見かけるが、マヌもチームとファンを愛している。相思相愛の関係がここにはある。

　マヌ曰く、「メディアの情報はあまりチェックしていないから、どんな批判があったのか全ては知らない。けれど、こうした会見で浴びせられる変な質問でそういうこともあるのかと知るんだ。"マヌ"コールが起こった事は自信という意味でもちろん大きな助けになったよ。」

　そして、「スタートで出場する事はGame5の前日練習で知らされた。」ことも告白。スターター起用はポポビッチHCがマヌが楽にゲームに入る為だったり、パーカー&ダンカンと同時にフロアに出ている時間を増やす事でマヌに集まるディフェンスのテンションを和らげたりと、色んな意図があったように感じるが、「最初の2本のシュートが入って気持ちが楽になった。」とマヌも認めていた。

　魅了するプレースタイルはもちろん、「人から批判されずとも自分は十分自分に厳しい。」ところや、素直にファンからの声援を嬉しいと言えて、かつ正直にプレイヤーとしての不安も認められる。マヌの発言には、器の大きさを感じるし、人間としての距離もぐっと近く感じる。愛される訳だ…

　サンアントニオ以外ではいつでもチームのトップスターに成れたジノビリ。引退する時は、スパーズの選手としてキャリアを終える事を希望している。

　もう1人、このシリーズでサンアントニオの心を掴んでいる選手。それはダニー・グリーン。紆余曲折のキャリア。スパーズから2度もカットされている苦労人はファイナルシリーズでの3P成功本数の記録を樹立。「これだけ決めているのに何故ノーマークになるのか分からない。」というトニーの言葉にあるように、記録もまだまだ伸ばしそうだ。

　性格は非常に明るく気さく。爽やかな青年と言ったところか。実は顔を覚えてもらえて、ロッカーですれ違うと拳と拳を付き合わせてくれる本当にいい奴(笑)

　スパーズが1歩前進する中、ヒートは1歩後退気味…Game4でスタートにマイク・ミラーを入れたラインアップは、Game5では目的を果たせなかった。そして、Game4のレブロンもなりを潜めて4Qには完全に存在感が消えていた。マヌの不調がメディアに騒がれるぐらいだから、レブロンがこの試合の後にさらされる批判はもの凄いものになるのは容易に想像がつく。

　レブロン&ウェイド、ジョーダン&ピッペン級の1、2パンチ！こんな分析も用意していたのですが、これじゃ紹介も出来ない。

　試合後のヒートのロッカールームは思ったほど沈んではいなかったが、記者に「2年前のダラスとのシリーズでも、ホーム2試合を残して王手をかけられた状態で戻り、敗れたよね？当時と今の状況で被る事はある？」と聞かれていたクリス・ボッシュ。模範回答で切り抜けていたけれど、気分は良くなかったはず。
前日のインタビューでは記者に「(勝利への)謎は解けた。」と発言し、今朝の新聞で特集も組まれていたのに、ひとつ謎が解けたら次の謎が浮上した結果か…

　「チーム状態を知るにはバティエに聞け」という言葉もあるように(あれ？なかった？笑)、バティエの話も聞きに行くと、「どっちにしろ結果は2通りしか存在しないんだ。答えを導き出せるか、出せないか…出せるか、出せないか…それだけさ。」と特有の優しい口調で答えていた。

　ヒートが直面する謎、答えを導く方程式。2連覇への道のりはこんなにも厳しい。。

　王手をかけたのは、今季最後のホームゲームを勝利で飾ったサンアントニオ・スパーズ。ファンは車に乗り込み、勝利の夜恒例のダウンタウン行進。クラクションを鳴らし、爆音のカーステレオ。窓から半分乗り出してスパーズの旗を振った。これがチャンピオンシップパレードの予行練習になるのか？それとも地元に戻ったマイアミ王朝が巻き返すのか？NBAファイナル2013このあとも乞うご期待！stay tuned!