激戦の“スーパー・シックス”、アブラハムvsフロッチ!
WBC世界S・ミドル級王座決定戦

前IBF世界ミドル級チャンピオン
アルツール・アブラハム
(ドイツ)

元WBC世界S・ミドル級チャンピオン
カール・フロッチ
(イギリス)
ドイツの豪腕 VS 英国のコブラ 「スーパー・シックス」グループステージ最終戦
09年秋にスタートしたS・ミドル級最強決定トーナメント「スーパー・シックス」も、紆余曲折を経ていよいよグループステージ最終戦を迎える。ここまでアブラハムは1勝(KO)1敗で3ポイント、フロッチは1勝(判定)1敗で2ポイントを獲得。ともに決勝トーナメント進出を決めているが、ミッケル・ケスラー(デンマーク)が眼疾のため返上したWBCタイトルもかかるだけに、モチベーションは極めて高いものがある。2度の延期のすえに北欧で実現することになったライバル対決、どちらに凱歌が挙がるのだろうか。
「キング・アーサー」の異名を持つアブラハムはアルメニア生まれの30歳。IBF世界ミドル級王座獲得後の06年にドイツ国籍を取得し、現在も同国をホームにしている。10度防衛したIBF王座を返上して「スーパー・シックス」に参戦し、初戦ではジャーメイン・テイラー(アメリカ)を豪快に12回KOに屠ってみせた。ケスラーに次ぐ優勝候補NO.2の面目躍如と思わせたのも束の間、グループステージ2戦目ではアンドレ・ディレル(アメリカ)にダウンを喫したすえ11回反則負けを喫してしまった。スリップダウンした相手にパンチを見舞う失態を犯したのだ。プロ32戦目にして初の黒星(31勝25KO1敗)だった。「作戦のうえでも大きなミスを犯してしまった。あの試合から学んだことは大きい。同じ過ちは犯さない」とアブラハムは振り返る。
一方のフロッチはイギリス人の母、ポーランド人の父を持つ33歳。「コブラ」の異名を持つ長身の強打者だ。08年12月にジャン・パスカル(カナダ)との王座決定戦を制してWBC世界S・ミドル級王座を獲得。「スーパー・シックス」初戦ではディレルに競り勝ったが、10年4月のケスラー戦で判定負け、無冠に戻ってしまった。(27戦26勝20KO1敗)。1年4ヵ月で王座を手放したとあってショックは大きかったようだが、アブラハム戦が決まると気分一新。試合に向けて200ラウンドを超すスパーリングをこなしてきたという。「初めて負けて、このままではダメだと思った。アブラハムに勝ってタイトルを取り戻す」と鼻息は荒い。
ともに好戦的な強打者だが、戦い方は対照的だ。アブラハムがガードを固めながら右強打を叩き込む機会をうかがうタイプなのに対し、フロッチは185センチの長身と189センチのリーチを生かしながらボクシングを組み立て、好機に一気に攻めるタイプといえる。スロースタートの癖があるアブラハムだが、フロッチを勢いづかせることは避けたいところ。序盤から積極的に主導権を奪いに行く可能性もある。
「フロッチに長いジャブがあることは知っている。でも、それはケスラーとの試合では役に立たなかっただろ?」というアブラハムと、「忙しく動くボクシングをするつもりだ。作戦はいくつかあるが、プランAが一番いいかもね。私が一方的に打つだけで反撃を許さないという作戦なんだ」とフロッチ。オッズは33対20でアブラハム有利と出ているが……。
Written by ボクシングライター原功

ルシアン・ビュテ
S・ミドル級トップ戦線の現状
WBAスーパー:アンドレ・ウォード(アメリカ)
WBA:ディミトリー・サルティソン(ドイツ)
WBC:空位
IBF:ルシアン・ビュテ(ルーマニア)
WBO:ロバート・スティーグリッツ(ドイツ)
「スーパー・シックス」のグループステージもアブラハム対フロッチを残すのみとなった。すでにウォード、アブラハム、フロッチ、途中参戦のグレン・ジョンソン(アメリカ)の4選手が決勝トーナメントに進出することが決定しているものの、組み合わせを左右する順位は確定していない。その意味でも今回のアブラハム対フロッチは興味深いものがある。
27戦全勝(22KO)のIBF王者ビュテは3月に7度目の防衛戦を予定している。秋にはトーナメントの優勝者との対決も計画されており、しばらくはこのクラスの動向から目が離せない。
