全勝王者アレキサンダー、元王者コテルニクと激突!
WBC・IBF世界S・ライト級タイトルマッチ

WBC・IBF世界S・ライト級チャンピオン
デボン・アレキサンダー
(アメリカ)

前WBA世界S・ライト級チャンピオン
アンドレアス・コテルニク
(ウクライナ)
23歳の「大王」 VS 五輪銀の元王者 充実の王者に死角なし?
個性的なスター選手が集結するS・ライト級戦線の主役のひとりアレキサンダーに、前WBAチャンピオンのコテルニクが挑む一戦。アレキサンダーがすんなりと次のステージに駒を進めるのか、それともコテルニクが番狂わせを起こして主役の座を奪うのか。
アレキサンダーは才能溢れる23歳。13人兄弟の一人としてセントルイスの下町で生まれ育った。幼少時にふたりの兄と一緒に元警察官のケビン・カニンガム・トレーナーが主宰するボクシングジムに通い始めた。同トレーナーとは現在も師弟の良好な関係にある。「タフな環境下だったので、俺が家族を裕福にしてやるんだと誓ってボクシングで頑張ってきた」とアレキサンダーは話す。オリンピックとは縁がなかったが、アマチュアでは310戦300勝10敗という戦績を残している。
17歳でプロ転向を果たし、現在まで20戦全勝(13KO)と負け知らず。同じカニンガム・トレーナーに師事するコーリー・スピンクス(IBF世界S・ウェルター級王者)とは、たびたびスパーリングをする間柄だ。生来の左効きで「距離をとったときはシュガー・レイ・レナード(元5階級制覇王者)のように戦い、接近したときはマイク・タイソン(元世界ヘビー級王者)のように戦える」とアレキサンダーは自己分析してみせる。なかなかの自信家でもあるといえそうだ。
コテルニクはチャンピオンよりも9歳年長の32歳。こちらはウクライナ生まれで、現在はドイツに在住している。95年に欧州ジュニア選手権フライ級優勝、97年には世界選手権にも出場(フェザー級3回戦敗退)したあと、2000年のシドニー・オリンピックではライト級で銀メダルを獲得している。アマチュア戦績は150戦135勝15敗。
オリンピックの2ヶ月後にプロ転向を果たし、地域タイトルを獲得後の08年にギャビン・リース(イギリス)を12回TKOに下してWBA世界S・ライト級タイトルを手に入れた。このタイトルは木村登勇(横浜光)、現WBA暫定王者マルコス・マイダナ(アルゼンチン)を退けて2度防衛後、昨年7月にアミール・カーン(イギリス)に敗れて失った。
ともにアマチュア経験が豊富とあって基本技術のレベルは高いが、戦闘スタイルはまったく異なる。アレキサンダーは左構えから前後左右にポジションを変え、瞬時にアングルを探って回転の速い左右のパンチを繰り出すタイプ。コテルニクはガードをしっかりと固め、その構えから左ジャブ、右ストレートを繰り出す正攻法の選手といえる。堅実さではコテルニクが勝るが、潜在能力や創造性など総体的な総合力ではアレキサンダーが上を行く。
カーン戦後13ヶ月のブランクがあるコテルニクと、その13ヶ月の間にジュニア・ウィッター(イギリス)、ファン・ウランゴ(コロンビア)を連破しているアレキサンダー。12対1という賭け率はサービスし過ぎとしても、チャンピオン有利の予想は当然であろう。
ただし、コテルニクのガードを割れずにアレキサンダーが折々で戸惑いを見せるようだと流れが挑戦者に傾く可能性もある。才能溢れる若いチャンピオンにとって、コテルニクは越えなければならない大きな関門といえるだろう。
Written by ボクシングライター原功

アミール・カーン
S・ライト級トップ戦線の現状
WBA:アミール・カーン(イギリス)
WBA暫定:マルコス・マイダナ(アルゼンチン)
WBC:デボン・アレキサンダー(アメリカ)
IBF:デボン・アレキサンダー(アメリカ)
WBO:ティモシー・ブラッドリー(アメリカ)
カーン、マイダナ、アレキサンダー、ブラッドリーと戦闘スタイルの異なる個性的かつ魅力的なチャンピオンが揃っている。すでにカーンとマイダナ、アレキサンダーとブラッドリーの間では統一戦のプランが進行中と伝えられる。それだけにアレキサンダーはコテルニク戦でつまずくわけにはいかない。
ランカー陣では、オスカー・デラ・ホーヤの秘蔵っ子、ビクター・オルティス(アメリカ)、27戦全勝(25KO)の中南米暫定王者ルーカス・マティセ(アルゼンチン)がタイトル挑戦の機会を狙っている。マイダナ、マティセと同国人で対照的に異常にKO率の低いセサール・レネ・クエンカ(41戦39勝1KO無敗2無効試合)にも注目したい。
WBC世界L・ヘビー級王座統一戦

WBC世界L・ヘビー級チャンピオン
ジャン・パスカル
(カナダ)

WBC暫定世界L・ヘビー級チャンピオン
チャド・ドーソン
(アメリカ)
エリート王者同士の統一戦
体格とパワーでドーソンにアドバンテージ
暫定王者のドーソンが正規王者パスカルの地元モントリオール(カナダ)に乗り込んで統一戦に臨む。ともにスピード主体のボクシングを身上としているだけに、序盤からテンポの速い攻防が展開されそうだ。
チャンピオンのパスカルはカリブのハイチ出身の27歳。幼少時に同じフランス語圏のカナダ(ケベック州)に移住し、13歳でボクシングを始めた。アマチュア戦績は121戦103勝18敗。世界ジュニア選手権や英連邦大会、アテネ・オリンピックにも出場を果たしている。
その後、05年2月にプロ転向。以来26戦25勝(16KO)1敗の戦績を収めている。唯一の敗北は2年前、WBC世界S・ミドル級王座決定戦でカール・フロッチ(イギリス)に喫したものだ。スピードを主体に自在な動きと防御技術を駆使する右のボクサーファイター型で、高い潜在能力を有している。
一方のドーソンは「バッド」(凄いやつ)と呼ばれるサウスポーのパンチャー型。元ボクサーの父リックに7歳のときから手ほどきを受け、世界ジュニア選手権で3位に入るなどアマチュアで80戦67勝13敗の戦績を残している。
プロ転向は01年8月。これまでにWBC、IBFのL・ヘビー級タイトルを手にした実績を持つが、いずれも後に返上。現在のWBC暫定王座は昨年11月に獲得したものだ。身長185センチの細身の体から鞭のようなパンチを放つパンチャー型。以前は耐久面が不安視されたが、最近は強豪との連戦を経て逞しさを増している。
ともに強引な攻撃型ではないため、序盤から虚々実々の駆け引きを含めた技術戦になる可能性が高い。パスカルには地元の利、ドーソンにはサウスポーのアドバンテージがある。体格とパワーでも暫定王者が優位にある。総合力ではドーソンが上を行くが、パスカルが先手をとってリズムに乗れば接戦になるだろう。
Written by ボクシングライター原功
