全勝王者ガンボア vs 経験豊富な王者サリド、フェザー級王座統一戦!
WBA・IBF世界フェザー級王座統一戦

WBA世界フェザー級チャンピオン
ユリオルキス・ガンボア
(キューバ)

IBF世界フェザー級チャンピオン
オルランド・サリド
(メキシコ)
超エリート王者 VS 雑草派王者 ガンボアのスピードとパワーにアドバンテージ
このカードは当初7月に予定されていたが、IBF王者のサリドが負傷したために一度は消滅。これを受けガンボアは9月にWBC王者エリオ・ロハス(ドミニカ共和国)を相手に統一戦を行うことになったが、今度はロハスが負傷。そこで傷が癒えたサリドと再交渉し、対戦がまとまったという経緯がある。
7歳でボクシングを始めたガンボアはアマチュア時代、父親のカルロスに次いで親子2代のキューバ・ナショナル・チームのメンバーとして活躍。アテネ・オリンピック金(フライ級)、05年世界選手権3位(フェザー級)など245戦230勝15敗(122勝19敗3分説もある)の戦績を収めている。06年12月にナショナル・チームの一員としてベネズエラに遠征中、ヘビー級のオドラニエル・ソリス、L・フライ級のヤン・バルテレミと金メダル3人組で亡命。ドイツでプロ転向を果たした。
いまはアメリカ・マイアミで妻ドゥニア、3歳の娘ブレンダと暮らしているが、母親や兄弟姉妹は現在もキューバに残っている。世界チャンピオンになる前は経済的に困窮状態が続いたらしく、娘の誕生日に金メダルを1500ドルで売却したという逸話が残っている。
プロでの活動は順調で、昨年4月にWBA世界フェザー級暫定王座を獲得し、のちに正王者に昇格。すでに3度の防衛を果たしている。身長は166センチとフェザー級では小柄だが、スピードを生かして鋭く踏み込み、思い切りのいい強打でKOの山を築いてきた。その戦いぶりは「サイクロン」(熱帯低気圧=台風)と称され怖れられているが、攻撃偏重の傾向があり自身もプロ18戦で計4度のダウンを喫している。2年前からイスマエル・サラス・トレーナーに師事し、攻防のバランス矯正に取り組んでいると伝えられる。
アマとプロで世界一に輝いたガンボアが超エリートなのに対し、IBF王者のサリドは対照的に雑草派といえよう。12歳のときにボクシングを始め、アマチュアで16戦(全勝)を経験したのち15歳でプロ転向。足かけ15年のキャリアで47戦34勝(22KO)10敗2分1無判定の戦績を残している。敗北の多さが気になるところだが、10敗のうち8敗は15歳から21歳までの間に喫したもの。相手もアレハンドロ・ゴンサレス(メキシコ=元WBC世界フェザー級王者)をはじめ実力者が多い。
世界戦も4度経験している。ファン・マヌエル・マルケス(メキシコ ※判定負け)、ロバート・ゲレロ(アメリカ ※無判定試合)、クリストバル・クルス(メキシコ ※判定負け)と3度の失敗後、今年5月にクルスに雪辱して戴冠を果たした。元世界2階級制覇王者ダニエル・サラゴサ(メキシコ)の指導を仰ぎ、上げ潮状態にある。ガンボアほどではないもののサリドも攻撃的な選手で、スタミナや耐久力にも定評がある。
ともに好戦的なスタイルを持つが、スピードとパワーで勝るガンボア有利は動かせない。早い段階でWBA王者がペースを握るようだと、中盤で攻め落としてしまう可能性もありそうだ。サリドが先に主導権を握りガンボアの焦りを誘う展開になると番狂わせも考えられる。
Written by ボクシングライター原功

ファン・マヌエル・ロペス
フェザー級トップ戦線の現状
WBAスーパー:クリス・ジョン(インドネシア)
WBA:ユリオルキス・ガンボア(キューバ/アメリカ)
WBC:エリオ・ロハス(ドミニカ共和国)※休養チャンピオン
IBF:オルランド・サリド(メキシコ)
WBO:ファン・マヌエル・ロペス(プエルトリコ)
実績ではV12王者ジョンが頭ひとつリードしているが、昨年9月以来リングから遠ざかっており、やや影が薄くなっている。その分、ガンボアやロペスの存在感が増している。
このほか無冠組としては3階級制覇をかけて11月にロペスに挑むラファエル・マルケス(メキシコ)、同じく下のクラスから転級してきたジョニー・ゴンサレス(メキシコ)とダニエル・ポンセ・デ・レオン(メキシコ)がいる。
また、ロハスが負傷のため戦線離脱するのにともない王座決定戦に臨む長谷川穂積(真正)と、25戦全勝(18KO)のファン・カルロス・ブルゴス(メキシコ)もいる。
群雄割拠の様相を呈し始めたフェザー級戦線。はたして誰が抜け出すのか。
WBA世界ライト級挑戦者決定戦

WBA世界ライト級3位
ブランドン・リオス
(アメリカ)

WBA世界ライト級2位
アンソニー・ピーターソン
(アメリカ)
無敗ホープ同士の世界先陣争い 速いテンポの攻防展開か
幼少時からボクシングに親しみ、アマチュア経験は豊富。プロでは無敗の快進撃を続けている――リオスとピーターソンには共通項が多い。
リオスは8歳でグローブを手にし、アマチュアで400戦以上を経験。04年のアテネ・オリンピック アメリカ国内予選ではフェザー級で最終のボックスオフまで残ったが敗れ、本選出場はかなわなかった。それを機にプロ転向を果たし、これまで6年間で25戦24勝(18KO)1分と無敗を誇る。今年2月にはNABF北米王座を獲得している。この8月に結婚したばかりとあって、家族(夫人と一男一女)にベルトをプレゼントしたいところだ。
ピーターソンは幼少時に1歳上の兄レイモントと路上生活を送っていたが、バリー・ハンター・コーチの援助を受けてボクシングの道に進んだという逸話を持つ。アマチュア時代にはアテネ・オリンピックのアメリカ国内予選ライト級準決勝で、ビクター・オルティスに24対13のポイント勝ちを収めている。しかし、決勝でビセンテ・エスコベドに敗れたため本大会出場の夢を絶たれている。
こちらも6年のプロキャリアで30戦全勝(20KO)と快進撃を続行中だ。NABOとNABFの北米王座を獲得したほか元世界王者ハビエル・ハウレギ(メキシコ)にも勝つなど、実績ではリオスを上回る。攻防の展開が速く、パンチ力もある右のボクサーファイター型だ。
ともにスピードがあり、攻防のテンポが速いタイプだけにスタートから目の離せない戦いになりそうだ。
Written by ボクシングライター原功
WBO世界フェザー級挑戦者決定戦

元WBO世界S・バンタム級チャンピオン
ダニエル・ポンセ・デ・レオン
(メキシコ)

WBA・WBO世界フェザー級2位
アントニオ・エスカランテ
(メキシコ)
ロペス対マルケスの勝者への挑戦権をかけた戦い
デ・レオンの経験と強打にアドバンテージ
デ・レオンはシドニー・オリンピックに出場後、01年にプロ転向。05年にはWBO世界S・バンタム級タイトルを獲得するなど順調に成長。6度の防衛後、いまをときめくファン・マヌエル・ロペス(プエルトリコ ※現WBO世界フェザー級王者)に敗れて無冠になったが、以後はフェザー級に上げて5連勝(2KO)と復調している。サウスポーの変則スラッガーで、41戦39勝(32KO)2敗と8割近いKO率を誇る。一見するとスピード感やリズム感に欠けるが、独特の間合いとテンポから強打を当てて相手を葬り去ってしまうことが多い。
エスカランテは03年のプロデビューから25戦23勝(15KO)2敗の好戦績を収めている25歳のホープ。06年から07年にかけてNABO北米S・バンタム級王座をキープしていたことがあり、V3戦で元世界王者マウリシオ・パストラーナ(コロンビア)に敗れたものの奪回を果たしている。このところ10連勝(6KO)と好調で、現在はWBA、WBOで2位にランクされている。
伸び盛りのエスカランテの勢いは無視できないが、経験やパンチの破壊力など総合的な戦力ではデ・レオンが上回る。ロペスへのリベンジというモチベーションもデ・レオンの背中を強く押すはずだ。25歳のホープが潜在能力を最大限に引き出して番狂わせを起こす可能性もあるが、元王者の経験とパワーが若手の希望を捻じ伏せる可能性のほうが、より高いとみる。
Written by ボクシングライター原功
