3階級制覇王者ソト、2度目の防衛戦に臨む!
WBC世界ライト級タイトルマッチ

WBC世界ライト級チャンピオン
ウンベルト・ソト
(メキシコ)
WBC世界ライト級11位
フィデル・モンテローサ
(コロンビア)
3階級制覇王者 VS 南米の未知の強豪
王者の経験か挑戦者の若さか
ソトは05年にフェザー級で世界の頂点を極めたのに始まり、S・フェザー級、ライト級でもタイトルを獲得。この5年間で3階級制覇を成し遂げた。この間、ホアン・グスマン(ドミニカ共和国)の持つWBO世界S・フェザー級タイトルに挑んで敗れたり、フランシスコ・ロレンソ(ドミニカ共和国)とのWBC世界S・フェザー級暫定王座決定戦で反則負けを喫したりといった躓きもあるにはあったが、まずは順調かつ安定した歩みを見せているといっていいだろう。
今回は、今年3月にデビッド・ディアス(アメリカ)との王座決定戦を制して手に入れたWBCライト級タイトルの2度目の防衛戦となる。ノンタイトル戦を含めて最近の3戦でKOを逃しているだけに、ここは自国のリングで派手なリング・パフォーマンスを披露したいところだ。
ソトは懐深く構える右のボクサーファイター型で、距離をとっても接近しても戦える万能型といえる。自ら踏み込んで打つパンチも、そして相手を誘い込んでカウンターで放つパンチも強く巧みだ。パンチに耐える力も十分で、経験値も高い。もし不足しているものがあるとすれば、アピールの点ぐらいだろう。もう一段上のステージで戦う機会を得るためにも、このあたりでインパクトの強い勝ち方が求められる。
挑戦者のモンテローサは06年11月にプロデビューした22歳のホープ。昨年7月のWBCユース&NABF北米S・ライト級タイトルマッチでは敗れているが、その前年にはライト級でコロンビアのナショナル・タイトルを獲得している。今回は4連続KO勝ちの勢いに後押しされての世界初挑戦である。
自国を離れて戦うのはこれが2回目ということでデータが乏しく、その戦力はベールに包まれている。さしずめ"未知の強豪"といったところか。身長は175センチと伝えられるから、ライト級では大柄な部類に入る。24戦23勝(18KO)1敗というレコードも不気味さを感じさせる。75パーセントのKO率は、その数字だけで相手に警戒心を与えるはずだ。
攻防ともに安定度の高いソトだが、特に序盤は要注意といえそうだ。早い段階で大きな動きがなければ、ラウンドを重ねるごとに経験や総合力の差が出るのではないだろうか。
ところで、ソトをはじめメキシコからは7人の3階級制覇王者が誕生しているが、下記のように6人が現役で奮闘中だ。
<メキシコの3階級制覇王者たち>
| (1) | フリオ・セサール・チャベス | S・フェザー⇒ライト⇒S・ライト 達成:89年5月 |
|---|---|---|
| (2) | エリック・モラレス | S・バンタム⇒フェザー⇒S・フェザー 達成:04年2月 |
| (3) | マルコ・アントニオ・バレラ | S・バンタム⇒フェザー⇒S・フェザー 達成:04年11月 |
| (4) | ホルへ・アルセ | L・フライ⇒フライ⇒S・フライ 達成:08年9月 |
| (5) | ファン・マヌエル・マルケス | フェザー⇒S・フェザー⇒ライト 達成:09年2月 |
| (6) | フェルナンド・モンティエル | フライ⇒S・フライ⇒バンタム 達成:09年3月 |
| (7) | ウンベルト・ソト | フェザー⇒S・フェザー⇒ライト 達成:10年3月 |
今回登場するソトを含め、誰が最初にメキシコ人初の4階級制覇を成し遂げるのか。こちらの記録争いにも注目したい。
Written by ボクシングライター原功

ファン・マヌエル・マルケス
ライト級トップ戦線の現状
WBAスーパー:ファン・マヌエル・マルケス(メキシコ)
WBA:ミゲール・アコスタ(ベネズエラ)
WBC:ウンベルト・ソト(メキシコ)
IBF:ミゲール・バスケス(メキシコ)
WBO:ファン・マヌエル・マルケス(メキシコ)
WBO暫定:マイケル・カチディス(オーストラリア)
お馴染みのマルケス、ソトのメキシコ勢にこの夏、金智勲(韓国)とのIBF王座決定戦を制したバスケスが加わった。バスケスはソトに善戦したリカルド・ドミンゲス(メキシコ)との防衛戦が予定されている。まだ23歳と若く、アントニオ・マルガリート(元世界ウェルター級王者)がマネージメントを担当する選手でもある。このまま伸びれば面白い存在になりそうだ。
ランカーでは、3階級制覇を狙うロバート・ゲレロ(アメリカ)とホルへ・リナレス(帝拳)の動向に注目したい。また、アンソニー・ピーターソン(アメリカ)との無敗対決を制したブランドン・リオス(アメリカ)、元WBC暫定王者アントニオ・デマルコ(メキシコ)にも要注目だ。
WBO世界S・バンタム級挑戦者決定戦

元3階級制覇チャンピオン
ホルヘ・アルセ
(メキシコ)
元WBA世界フライ級チャンピオン
ロレンソ・パーラ
(ベネズエラ)
メキシコの人気者 VS ベネズエラの技巧派
アルセが4階級制覇に王手か
L・フライ級、フライ級、S・フライ級の3階級を制覇した実績を持つアルセと、フライ級で3年3ヵ月の在位とV5を誇ったパーラの元チャンピオン対決。かつて両者が君臨していたクラスよりもはるかに重いS・バンタム級でのWBO挑戦者決定戦である。アルセがメキシコ人で最初の4階級制覇に王手をかけるのか、それともパーラが待ったをかけ自身が2階級制覇の挑戦権を握るのか。
アルセは08年9月に三つめの世界タイトルを獲得後、ベスト・パフォーマンスからほど遠い試合が続いている。ビック・ダルチニャン(アルメニア)にストップ負けを喫したり、シンピウェ・ノンガイ(南アフリカ)に完敗を喫したりと、歴戦の疲れが出ているともいえる。本人も自覚しているらしく「あと数戦でリタイア」と口にしているほどだ。もちろん、その前に4階級制覇を成し遂げるという目標を掲げているが。
対するパーラは07年3月、坂田健史(協栄)との3度目の対決を前に計量失格の失態を犯してフライ級タイトルを剥奪されたが、以後は階級を上げて現役を続けている。2年前にはセレスティーノ・カバジェロ(パナマ)の持つWBA世界S・バンタム級タイトルに挑んだこともある(11回終了TKO負け)。
攻撃力を誇るファイター型のアルセと、技巧と戦術に長けたパーラ。賭け率は7対1でアルセが圧倒的有利と出ているが、そこまでの差はないはず。パーラがアルセの攻撃を空回りさせるような展開に持ち込めれば、番狂わせもあり得る。
Written by ボクシングライター原功
