怒涛のビッグマッチ タイムリーオンエア!
クリチコ兄弟の兄ビタリ、4度目の防衛戦!
WBC世界ヘビー級タイトルマッチ

WBC世界ヘビー級チャンピオン
ビタリ・クリチコ
(ウクライナ)

欧州ヘビー級チャンピオン
アルバート・ソスノウスキー
(ポーランド)
“FISTS OF STEEL” 鋼鉄の拳 VS 欧州のドラゴン
弟のウラディミール・クリチコとともに圧倒的なパワーでヘビー級を支配するビタリ・クリチコの4度目の防衛戦。豪快なKO劇が見られそうだ。
クリチコは膝の故障が癒えた08年10月に戦線復帰。いきなりサミュエル・ピーター(ナイジェリア/アメリカ)を屠ってWBCの頂点に返り咲くと、ファン・カルロス・ゴメス(キューバ/ドイツ)を9回TKO、クリス・アレオーラ(アメリカ)を10回終了TKOで下し、昨年12月にはケビン・ジョンソン(アメリカ)を一方的な判定で退けている。
7月に39歳になるが、顕著な衰えは見られない。以前のような右強打に頼ったボクシングから、丹念に左ジャブを突いてリスクを低く抑えたうえで勝負に出る堅実なボクシングに変わりつつあり、むしろ総合力はアップしている印象さえ与える。身長202センチ、リーチ203センチの巨人、しかも超ド級の強打者に慎重に構えられたのでは、相手は攻略の糸口を捜すことが極めて困難になってしまう。現に前出の4選手は、まったくチャンスをつかめずに軍門に下っているのである。
今回も圧倒的有利の声が多いが、クリチコ自身は「ソスノウスキーは経験が豊富で、速くてタフな相手」と自らを戒めている。
そのソスノウスキーはポーランド出身の31歳。ダリウス・ミハエルゾウスキー(元L・ヘビー級&クルーザー級王者)やトーマス・アダメク(元L・ヘビー級&クルーザー級王者 ※現ヘビー級)のように、国外に活躍の場を求めるポーランド選手が多いなか、ソスノウスキーは地元の「ポーリッシュ・ボクシング・プロモーション」と契約を結んで自国をベースに、イギリスやドイツ、アメリカなどを転戦しながら地道に活動を続けてきた。
なかなかスポットの当たらない存在だったソスノウスキーだが、昨年12月にパオロ・ビドス(イタリア ※96年アトランタ五輪出場&2000年シドニー五輪銅)を破って欧州タイトルを獲得。4月にはオードリー・ハリソン(イギリス)との防衛戦も決まっていたが、世界戦の話が舞い込んだためキャンセルしたという経緯がある。
「ドラゴン」の異名を持つ右のボクサーファイターで、小まめにポジションを変えながら左ジャブで切り込み、右ストレートからの連打で攻勢を印象づけるスタイルを持つ。パワーは平均的だが、スピードは最重量級では上の部類といえよう。
「客観的な予想として私が不利なことは承知している。でも、私はクリチコを倒してポーランド初の世界ヘビー級チャンピオンになってみせる」挑戦者に臆した様子はない。
しかし、ソスノウスキー自身も認めるようにクリチコ有利の予想は揺るがない。左ジャブで突き放し右ストレートで仕留めるという必勝パターンが、そのまま当てはまる可能性が極めて高いのではないだろうか。挑戦者が左右に忙しくポジションを変えながらワンツーを放って出入りすることができれば、あるいは試合は長引くかもしれない。
Written by ボクシングライター原功

デビッド・ヘイ
ヘビー級トップ戦線の現状
WBA:デビッド・ヘイ(イギリス)
WBC:ビタリ・クリチコ(ウクライナ)
IBF:ウラディミール・クリチコ(ウクライナ)
WBO:ウラディミール・クリチコ(ウクライナ)
クリチコ兄弟の天下に変わりはないが、WBAの支配者がニコライ・ワルーエフ(ロシア)からヘイに替わったことで、独占状態の表現は「旧ソ連勢」という括りから「欧州勢」という括りに変化した。ちなみにヘイに対しては、カリー・ミーハン(ニュージーランド)とルスラン・チャガエフ(ウズベキスタン)が挑戦者決定戦を予定。ビタリに対してはオドラニエル・ソリス(キューバ/ドイツ)、ウラディミールに対してはアレクサンデル・ポベトキン(ロシア)が最優先挑戦権を有している。
そんななか、ヘイとウラディミールの直接対決の噂も出ている。9月開催の線で交渉中とも伝えられる。
期待のエディ・チャンバースが倒され、ベテランのジョン・ルイスも完敗……とうとうヘビー級の世界挑戦14連敗となったアメリカ勢。生きのいい若手の台頭が待たれるところだ。
