強打の王者バスケス・ジュニア、全勝の挑戦者べダックを迎え撃つ!
WBO世界S・バンタム級タイトルマッチ

WBO世界S・バンタム級チャンピオン
ウィルフレド・バスケス・ジュニア
(プエルトリコ)

WBO世界S・バンタム級1位
ゾルト・ベダック
(ハンガリー)
カリブの親子鷹 VS ハンガリーのエリート
無敗対決は王者に地元の利
バスケスは今年2月、マルビン・ソンソナ(フィリピン)に4回KO勝ちを収めてWBO世界S・バンタム級王座に駆け上ったばかり。
世界3階級制覇王者の父親とともに史上4組目の「親子世界王者」(実子)となったわけだが、その余韻に浸る間もなく指名挑戦者を迎えることとなった。アマチュア時代にアテネ・オリンピックに出場した実績を持つベダックを相手に、真価が問われる試合となる。
ときに「WV2」(ウィルフレド・バスケス2世)と略されるバスケス・ジュニアは06年12月にプロデビュー。当初は父親の興行も手掛けたトゥト・サバラ・プロモーターの庇護もあって比較的イージーなマッチメークが多かったが、2年ほどまえから強豪との手合わせが増えていった。地域タイトルも獲得し、09年には世界挑戦経験を持つセシリオ・サントス(メキシコ)やヘナロ・ガルシア(メキシコ)らと対戦。これらを難なく突破してソンソナとの王座決定戦に臨んだという経緯がある。
身長、リーチとも168センチの右ボクサーファイター。ここまで19戦18勝(15KO)1分と負け知らずだ。父親同様、左フックは重量感と硬質感がある。「地元ファンの前で防衛する準備は整っている。親父とチームのみんなには感謝している」と話している。
挑戦者のベダックは、イストバン・コバチ(WBOフェザー級)、ゾルト・エルデイ(WBO L・ヘビー級&WBCクルーザー級)、カロリー・バルザイ(WBO S・ミドル級)に続くハンガリー4人目の世界戴冠を狙う。ベダックはアマチュア時代に01年ジュニア選手権3位、04年アテネ・オリンピック出場、06年欧州選手権3位(いずれもバンタム級)の実績を持つ26歳。アテネでは2回戦で敗退したが、初戦では現世界上位ランカーのアブネル・マレス(メキシコ)に36対27のポイント勝ちを収めている。
06年10月、ドイツの「ウニベルスム・ボックス・プロモーション」と契約してプロ転向を果たし、これまで15戦全勝(5KO)を記録している。ハンガリーの先輩王者エルデイ、バルザイと一緒に練習に励んでいると伝えられ、トレーナーには元世界ライト級V17王者アルツール・グレゴリアン(ウズベキスタン)を招聘。こうした環境下で、2歳違いの弟パル(フライ級 ※8戦全勝5KO)とともにハンガリー初の兄弟世界王者も視野に入れている。
「ハンガリーの多くの国民が期待しているので、絶対にタイトルを持ち帰る。バスケスはパンチの強い選手だが、私は怖れてはいない」と、自信をのぞかせている。
無敗をキープしている者同士の対決だが、戦歴の中味はバスケス・ジュニアが勝っている。戦力面でも、特に攻撃力、決め手という部分でバスケス・ジュニアが上を行く。ベダックは序盤で距離と流れをつかんでリズムに乗りたいところだが、若く勢いのあるチャンピオンが易々と主導権を渡すとも思えない。競り合いのラウンドが続くかもしれないが、徐々に攻撃力の差が出るのではないだろうか。
Written by ボクシングライター原功

西岡利晃
S・バンタム級トップ戦線の現状
WBAスーパー:セレスティーノ・カバジェロ(パナマ)
WBA:プーンサワット・クラティンデンジム(タイ)
WBC:西岡利晃(帝拳)
IBF:スティーブ・モリター(カナダ)
WBO:ウィルフレド・バスケス・ジュニア(プエルトリコ)
長身のスラッガー(カバジェロ)もいればサウスポーのパンチャー(西岡)もいる。同じくサウスポーの技巧派(モリター)、さらに親子2代王者(バスケス・ジュニア)や頑強なボクサーファイター(プーンサワット)もいる。このクラスのトップは個性派が揃っているといえよう。実績ではカバジェロと西岡、プーンサワットといった順だが、近い将来の可能性という点ではバスケス・ジュニアがトップか。
彼らを脅かす存在としてはゾルト・ベダック(ハンガリー)、リカルド・コルドバ(パナマ)といったテクニシャンがいる。それ以上にチャンピオンたちが意識しているのが、五輪連覇のギジェルモ・リゴンドー(キューバ)であろう。来年あたり、一気にトップをうかがうことになるはずだ。
WBO世界S・フェザー級タイトルマッチ

WBO世界S・フェザー級チャンピオン
ローマン・マルチネス
(プエルトリコ)

WBO世界S・フェザー級10位
ゴンサロ・ムンギア
(ニカラグア)
カリブのロッキー VS ニカラグアの破壊者
王者に選択肢の幅
マルチネスは「ロッキー」と呼ばれる27歳。昨年3月にニッキー・クック(イギリス)を倒して手に入れたタイトルの2度目の防衛戦となる。24戦23勝(14KO)1分と比較的高いKO率を誇る割に強打者の印象が薄いのは、その慎重な戦闘スタイルにあるのかもしれない。ジャブを飛ばしながら距離の測定を行い、相手が出て来るタイミングにカウンターを合わせることが多い。リスクを最小限に抑えながら戦うため派手さはないが、安定感は十分だ。
挑戦者のムンギアは「El Destructor」(破壊者)の異名を持つ30歳。過去にニカラグアの国内タイトル、WBO中南米タイトルを獲得した実績を持っている。「ロッキー(マルチネスのこと)が打ち合ってくれればしめたもの。なぜなら私の方が打ち合いには強いからさ」と自信をみせる。
ムンギアの希望どおり、地元の声援に押されマルチネスが早い段階から打撃戦に応じる可能性は十分。チャンピオンはそれ相応のリスクを負うことになるが、打ち勝てば存在感を示すことにもなる。序盤から目の離せない打ち合いになるか。
Written by ボクシングライター原功
WBO暫定世界ライト級タイトルマッチ

WBO暫定世界ライト級チャンピオン
マイケル・カチディス
(オーストラリア)

WBO世界ライト級1位
ケビン・ミッチェル
(イギリス)
豪州のグレート VS 英国のデストロイヤー
オッズは3対2でミッチェルを支持
世界的な強豪との対戦を重ねるカチディスに、31戦全勝(23KO)の新星ミッチェルが挑む注目カード。挑戦者の地元イギリスでの試合ということもあり賭け率は3対2でミッチェル有利と出ている。
カチディスはシドニー・オリンピックに出場(ライト級2回戦敗退)するなど、アマチュアで81戦75勝6敗の戦績を残して01年にプロデビュー。数々の地域タイトルを手にした後、07年にWBO暫定世界ライト級タイトルを獲得。ホエル・カサマヨル(キューバ/アメリカ)、ファン・ディアス(アメリカ)に連敗したものの、昨年9月には世界トップの座に返り咲いている。
一方のミッチェルは「マイティ」「デストロイヤー」などと称される25歳の新進気鋭。03年のプロデビュー時から31個の白星を並べてきたイギリス期待の選手だ。耐久力に疑問は残るが、戦力的にはまとまっているといえる。アミール・カーン(イギリス=現WBA世界S・ライト級王者)の後継者と目されているだけに、きっちりと結果を出したいところだ。
現在のミッチェルの勢いをもってすればカチディスを撃破することは決して難しくはないだろうが、簡単なことでもなさそうだ。スタートから猛攻を仕掛けると思われるカチディスに対し、ミッチェルがどう出るか。正面からの打ち合いを巧妙に避けて距離を掴むことができれば戴冠の可能性は膨らむだろうが、乱戦に巻き込まれると苦しくなる。
Written by ボクシングライター原功
