S・ライト級王者ブラッドリーvs強打者アブレグ、無敗対決!
ウェルター級12回戦

WBO世界S・ライト級チャンピオン
ティモシー・ブラッドリー
(アメリカ)

WBC・IBF世界ウェルター級5位
ルイス・カルロス・アブレグ
(アルゼンチン)
砂嵐 VS 南米の荒馬
ブラッドリーのウェルター級進出初戦は危険がいっぱい
WBO世界S・ライト級チャンピオンのブラッドリーが、タイトルを保持したまま1階級上のウェルター級進出を図る。スピードやパンチの回転力などで勝るブラッドリーが5.5対1で有利と伝えられるが、はたして予想どおりに行くかどうか。待ち受けるアブレグはWBC、IBFで5位にランクされる27歳。「南米の荒馬」といわれる強豪だ。
この2年でブラッドリーはS・ライト級の主のような存在になった。08年5月にジュニア・ウィッター(イギリス)を攻略してWBCタイトルを獲得。昨年はWBO王者ケンドール・ホルト(アメリカ)にも勝って2団体を統一。WBCのベルトは剥奪されたが、WBOタイトルはネート・キャンベル(アメリカ)、レイモント・ピーターソン(アメリカ)を相手に堅守している。「アグア・カリエンテ・カジノ・リゾート・スパ」(カリフォルニア州ランチョ・ミラージュ)での試合も慣れたもので、今回がキャンベル戦、ピーターソン戦に続いて3度目の登場となる。
身長168センチ、リーチ175センチのブラッドリーは体格面では恵まれた方ではないが、にも拘らずウェルター級進出を図るのは大きな野望があってのことだ。S・ライト級のみならずウェルター級のスター選手との対戦を熱望しているのである。今春、マニー・パッキャオ(フィリピン)対フロイド・メイウェザー(アメリカ)の試合が流れた際には「それなら俺がパッキャオと対戦する。いつでも戦う準備はできている」と名乗りを挙げたほどだ。
そのブラッドリーを迎え撃つアブレグは身長178センチ、リーチ183センチという大柄な選手。馬力で押し込んでいく好戦的なタイプで、29戦全勝(23KO)の戦績どおりワーもある。05年から08年にかけて17連続KO勝ちを記録したことがあるほどだ。ニックネームは「EL POTRO」(子馬、若馬)だが、その戦闘スタイルは荒馬といった方がいいかもしれない。07年以降は自国を離れて戦うことも多く、アメリカのリングに上がるのは今回が6度目となる。地域タイトル獲得の実績も持っており、ブラッドリーほどではないものの経験値も高いものがある。
アブレグがプレッシャーをかけ、ブラッドリーが俊敏な動きで応戦するパターンが予想される。リングを四角く使いたいアブレグと丸く使いたいブラッドリー。序盤から激しいせめぎ合いが見られそうだ。スピード、パンチの回転力、俊敏な身のこなし、経験値で勝るブラッドリーがそつなくポイントを重ねるだろうという見方ができる一方、アブレグの馬力に押されて対応が不十分になって体力負けするのではないかという見方もある。ブラッドリーにとっては危険の多い試合といえそうだ。
Written by ボクシングライター原功

マニー・パッキャオ
ウェルター級トップ戦線の現状
WBA:ビアチェスラフ・センチェンコ(ウクライナ)
WBA暫定:ソーレイマヌ・ムバーヤ(フランス)
WBC:アンドレ・ベルト(アメリカ)
IBF:ヤン・サベック(スロベニア)
WBO:マニー・パッキャオ(フィリピン)
センチェンコ、ムバーヤ、サベックという欧州勢もそれぞれにストーリー性やアピール・ポイントのあるチャンピオンだが、さすがにパッキャオの前では陰が薄くなってしまう。全勝のベルトは伸びしろを残しているが、今後、どこまでビッグマッチに絡んでくることができるか。
このクラスにはパッキャオと並ぶ5階級制覇者フロイド・メイウェザー(アメリカ)もいる。11月に計画された両雄のスーパーファイトは先送りになったが、直接対決を迎えるまでこのふたりが世界のボクシング界の主役であることは間違いない。
11月にパッキャオ戦が予定される元王者アントニオ・マルガリート(メキシコ)や無敗のホープ、サウル・アルバレス(メキシコ)は直近の試合ではS・ウェルター級の体重で戦っているが、いつでもウェルター級に戻せるだけに、彼らの動向も併せて見て行きたい。
WBC世界S・ウェルター級挑戦者決定戦

元WBA世界S・ウェルター級チャンピオン
ジョアシム・アルシン
(カナダ)

前WBO暫定世界S・ウェルター級チャンピオン
アルフレド・アングロ
(メキシコ)
注目の元チャンピオン対決
アングロの勢いと馬力にアドバンテージ
07年7月から08年7月までWBA世界S・ウェルター級タイトルを保持していた34歳のアルシンと、09年11月から今春まで同じクラスのWBO暫定王座に君臨していた27歳のアングロ。総合力では大差ないが、年齢や勢いからみてアングロに若干のアドバンテージがあるといえる。
アルシンはカリブのハイチ出身だが、同じフランス語圏ということもあってかカナダのケベック州ラバルに移住後、99年にモントリオールでプロデビューした。トラビス・シムズ(アメリカ)に勝って世界の頂点に駆け上がる前にもステファン・ウェレ、カルロス・ボホルケス、カール・ダニエルズ、エリオ・オルティス、マルコ・アベンダニョ、ハビエル・ママニなど強豪を連破しており、経験値は高い。慎重に左ジャブを突いて相手をコントロールしておいて打ち込む右が最大の武器だ。
対するアングロは「メキシコの闘犬」と呼ばれる勇敢な攻撃型で、リスキーな打撃戦を得意としている。17歳のときにオスカー・デラ・ホーヤ(アメリカ)対フリオ・セサール・チャベス(メキシコ)の再戦を見てボクサーを志し、アマ時代には04年のアテネ・オリンピックに出場した経験を持つ。五輪の大陸予選では現WBC世界L・ヘビー級王者ジャン・パスカル(ハイチ/カナダ)にポイント勝ちした後、アンドレ・ディレル(アメリカ)にポイント負けという記録が残っている。
プロ転向は05年。以後は19戦18勝(15KO)1敗の戦績を残している。その数字が示すとおりパンチは左右とも破壊力がある。ディフェンス面で難があるが、それを攻撃力で補っている。
距離を保った落ち着いた戦いに持ち込めばアルシンの洗練されたボクシングが生きてくるだろうが、アングロが易々とそれを許すとは思えない。若く勢いのあるアングロが強引に距離を潰し、乱戦に巻き込む可能性が高いと見た方がいいだろう。
Written by ボクシングライター原功
WBCシルバー・S・ウェルター級王座決定戦

WBC世界ウェルター3位
サウル・アルバレス
(メキシコ)

WBC世界ウェルター級14位
ルシアーノ・クエジョ
(アルゼンチン)
メキシコの新伝説 VS 南米の伏兵
アルバレスのパワーに注目
アルバレスは13歳でボクシングを始め、なんと15歳でプロデビュー。まだ19歳の若さだが、すでに33戦(32勝24KO1分)をこなしている。昨秋、親交のある亀田兄弟の試合の際に来日したこともある。愛称の“CANELO”(カネロ)はシナモンのことで、頭髪が赤いため子供のときに親しみを込めてつけられたのだという。アルバレスは兄弟ボクサーとしても知られ、WBA暫定世界S・ウェルター級王者、石田順裕(金沢)に挑戦が決まっている兄のリゴベルトとともに兄弟チャンピオンを目指している。
一方、S・ウェルター級とウェルター級で中南米タイトルを獲得した実績を持つクエジョは26歳。アルゼンチン生まれだが、現在はスペインに住んでいる。27戦26勝(12KO)1敗という戦績の持ち主で、WBCウェルター級14位に名を連ねている。上位のアルバレスを倒せば一気に頂点が見えてくるだけに、高いモチベーションを持ってリングに上がるはずだ。
ゴールデン・ボーイ・プロモーションズと契約して将来が嘱望されるアルバレス。一戦ごとに成長を続ける大型ホープが、どんなリング・パフォーマンスを見せるのか。そのパワーに注目したい。
Written by ボクシングライター原功
