映画

バルカン超特急

走行中の列車からひとりの乗客が忽然と消え失せた。はたして彼女はいずこに？　「三十九夜」などと並んでＡ・ヒッチコック監督のイギリス時代の頂点をなす傑作サスペンス。

原題を直訳すると「貴婦人消失」。同じ列車に乗り合わせたはずの老婦人が走行中に突如姿を消し、ヒロインは不審がるものの、周囲の人々は、はじめからそんな客はいなかったと言うばかり。はたしてこれは一体？と怪奇ミステリー仕立てで進行する物語は、スリルと刺激満点。いよいよ翌年に渡米するヒッチコック監督の、イギリス時代の総決算ともいうべき屈指の傑作に仕上がった。その後、リメイク映画の「レディ・バニッシュ／暗号を歌う女」や、列車を旅客機に置き換えた「フライトプラン」なども生み出された。