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Column コラム

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錦織圭という社会現象にどう参加するか

2015/07/03

日本国内ではもはや一選手の枠を超えた錦織圭。錦織の飛躍のためにも、我々ファンも一考する必要がある。(写真:Getty Images)

 大会第3日の7月1日、私が会場に着いたのは午前11時を回った頃だ。錦織関係者とすれ違うと、慌てて携帯電話で話し始めた(ようだ)。会場のレストランに昼食に入ったのが12時半頃。顔見知りの解説者と、何となくぎこちない会話を交わしてからパスタを頼んだ。食べ終わってデザートを考えていた12時47分頃、館内アナウンスで「錦織圭の記者会見がすぐ開かれる」と告げられた。この日は日本人選手による女子のダブルス3試合が11時半に始まっていたから、コートに出ていた真面目な記者たちはこの告知を聞けなかったわけだ。

 錦織の2回戦はこの日、センターコートで午後1時スタートの2試合目に予定されていた。11時半に練習に入り、前日同様、前後左右の動きは入れずに感触を確かめただけで切り上げている。そこから1時間弱の間に棄権を最終決断し、私が会った関係者は既に知っていたのだろう。振り返れば、不自然な対応だった。

 予想はしなかったが、驚く出来事でもなかった。錦織は前哨戦のドイツのハレ大会で準決勝まで勝ち進み、アンドレアス・セッピ(イタリア)との対戦中に左ふくらはぎの負傷で途中棄権していた。ドイツでの検査結果は筋膜炎で、筋肉断裂(肉離れ)の前段階の症状だ。肉離れなら動けない。どの程度の痛みか……ハレでの途中棄権まで時間を巻き戻しても、選手のケガの実態は藪の中で、推測の域を出ることはない。

 錦織圭は、テニス選手にはきわめて珍しくウソを言わない。それがこの選手の魅力の原点だとさえ思うが、それでもプロの世界に話せないことはある。その時は、笑いながら「言えません」と言う。会見でのコメントを要約すると、こうだ。

・大会前日の時点で痛みは引いていた。
・1回戦がフルセットになったことで、痛みがぶり返した。
・この日の朝に痛みがあり、練習で動きを点検した結果、自分自身で判断した。
・筋肉の断裂ではないが、ハレの痛みと同じ症状で戦い切れる確信はなかった。
・急な症状だったので原因は分からないが、長い欧州遠征で疲れはたまっていた。
・次のワシントン大会まで、フロリダに戻って米国シリーズに備える。
・コーチのマイケル・チャンには連絡していない。
・芝でいいプレーが出来ていたと思っていただけに残念だ。

 昨年の全米オープンは病み上がりで決勝まで勝ち進んだが、あの時は足の親指の嚢胞除去手術という一過性の外科治療。今回は筋肉の故障で性格が違う。これまで錦織は多くの故障を抱え、棄権も繰り返して来た。一昨年暮れにマイケル・チャンがコーチに就任してからのトレーニングが実を結び、ハレでの棄権は昨年4月のマドリード大会決勝以来、1年2カ月ぶりだった。ふくらはぎの故障は反復するため、陣営としては目前の結果より、かつてのように故障の連鎖に嵌ることを恐れているだろう。25歳の錦織にはまだ時間がある。問題は錦織を取り囲む環境だ。

 今の錦織は、何をやっても「日本テニス史上初」と言うことになる。グランドスラム大会に限らず、出場する一般ツアー大会のテレビ放映も始まり、いまや錦織圭は日本の社会現象となってしまった。それはこの日の関係者の微妙な動きからも窺えたが、こうした過剰な期待が負のスパイラルの原因になりかねない。日本テニス協会は9月1日から10月の楽天ジャパンオープンまでを「JAPAN TENNIS WEEKS」と銘打って盛り上げを図っている。その間に行われるデビスカップのプレーオフが日本開催になった場合は、植田実監督の地元、北九州での開催が決まっている。何もかも錦織の存在がキーで、こうした国内の目論見が、錦織の国外スケジュールにも影響を与える。

 米国フロリダを拠点としているとはいえ、情報化社会の今、地理的条件だけで物事が運ぶわけではない。世界ツアーのテニスでは、国内外の基準の差をしっかり理解しなければ、有望選手に無為なプレッシャーをかける結果になるだろう。こうした日本特有の内外の温度差を、身をもって経験したのがクルム伊達公子だった。日本協会の要求だけでなく、自分の内なる日本との葛藤が、26歳での早い引退に繋がったと私は考える。そのクルム伊達が、ダブルスの試合後にこう印象を話した。

「勇気ある判断だったと思います」

 勇気ある――伊達の言葉だからこそ、深い意味を感じた。

 錦織は日本の社会現象なのだ。恐らく、それを鬱陶しいと思っているテニスボーイに丸投げせず、私たちも、大人らしく社会現象に向かい合わなければいけない。具体的には、錦織が負けてもウィンブルドンを見守ることだ。世界のプレーヤーがどんなドラマをかけて戦っているのかを理解した先に、錦織のXデイが訪れるはずだ。

文:武田薫



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