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【錦織圭レポート】ツアーファイナルへの最終バトル、自力で出場権つかむベスト4

2014/11/05

準決勝でジョコビッチに敗れはしたものの、見事な勝負強さを見せ、自らツアーファイナルへの切符を掴んだ錦織圭。

準決勝でジョコビッチに敗れはしたものの、見事な勝負強さを見せ、自らツアーファイナルへの切符を掴んだ錦織圭。(写真提供:Getty Images)

 バレンシアの〈500〉を欠場したのは、今となっては賢明だったと思われるが、勇気の要る決断だっただろう。痛めていた右臀部の完治を待って、よりベストコンディションに近づけて臨んだパリ・マスターズ。ロンドンでのツアーファイナルズ出場を懸けたラストバトルが繰り広げられる地だ。

 大会が始まった時点で出場枠はあと4つ。ラファエル・ナダルのロンドン欠場が決まって残り枠が1つ増えたとはいえ、5位(大会開幕時点)のアンディ・マレー以下、錦織圭、トマーシュ・ベルディヒ、ダビド・フェレール、ミロシュ・ラオニッチ、グリゴール・ディミトロフまで可能性があるというスリリングな状況である。初戦負けは許されない。

 その初戦となる2回戦の相手はトミー・ロブレド(スペイン)だった。世界5位だったのは8年以上も前だが、錦織が欠場したバレンシアで準優勝するなど、まだまだ元気な32歳。ノーシードの中ではもっともランキングの高い17位という、3週間ぶりの実戦には厳しい相手だった。しかし得意の速い攻撃で主導権を握った錦織。しぶといロブレドとのラリーでアンフォーストエラーが目立った第1セットはタイブレークで落としたが、肩ならしを終えたかのように第2セット2-2からギアを上げていく。第3セット3-0まで7ゲームを連取し、勝負を決めた。

 地元フランスのジョーウィルフライ・ツォンガとの3回戦は完全アウェー戦となったが、ミスを繰り返すツォンガからわずか30分で第1セットを奪う。ツォンガにはもうツアーファイナルへの望みはなかったが、観客の「ツォンガ」コールに後押しされて生き返り、第2セットは6-4でツォンガ。第1セット6-1という錦織の楽勝ムードは一転、互いにブレークポイントをセーブし合う緊迫の展開になった。が、「我慢し続けたことで最後にチャンスが訪れた」という錦織の言葉通り、5-4で迎えた第10ゲームでツォンガのサービスが崩れた。ファーストサーブが入らない。ダブルフォルトも2つもらった。リターンの達人・錦織がこのチャンスを逃すはずはない。最後は渾身のリターンに気圧されるようにツォンガのフォアがネット。これでベスト8入りを果たした。

 3回戦が終わったところでマレーがまずロンドンへの切符を手にした。そしてマレーに敗れたディミトロフのチャンスが潰えた。残る椅子はあと3つ。錦織、ベルディヒ、フェレール、ラオニッチ…皆、勝ち残っている。まさにサバイバルゲーム。毎試合毎試合が山場だ。

 そんな山場の中の山場ともいえたのが準々決勝、フェレールとの一戦だろう。この試合に勝てば自力でツアーファイナル出場を決めることができる。対するフェレールにもまだツアーファイナルへの道は開かれていた。譲れない立場は同じだ。負けてもまだチャンスがある錦織に対し、フェレールはあとがなかった。そういう意味ではフェレールのほうが必死だっただろうか。〈壁〉と称される32歳のボールを追う執念はすさまじかった。第1セットは6-3でフェレール。第2セットは互いに3度ずつブレークするブレーク合戦でタイブレークへ。4-2、5-3と先にブレークする錦織だが、すぐにブレークバックを許すもどかしい展開だった。精神的には追いついてタイブレークに持ち込んだフェレールのほうが優位だっただろう。実際、フェレールが4-0とリードする。だがそののち錦織は2-5のビハインドから5ポイントを連取。フェレールのミスではなく、連続するフォアのウィナーに、ボレー、スマッシュ、最後はサービスウィナーと、全て自らポイントを仕留める会心の逆転劇だった。

 最終セットも第4ゲームでブレークしてすぐにブレークバックを許すなど、最後まで気が抜けなかったが、第9ゲームでもう一度ブレークして5-4とすると、もうブレークバックは許さなかった。

 楽な試合など1つもなかった。全てフルセット。5セットマッチ、3セットマッチにかかわらず今年の錦織の最終セット成績はこれで20勝2敗になった。9割を上回る勝率だ。数字から自信を得ているところもあるだろうが、勝負強さ、スタミナ、パワーに頼らない技術力の高さ、さまざまなものが見えてくる。

「自分の力で決められたことがうれしい」。接戦続きの中でのこの達成感は、ツアーファイナル本番での戦いに影響するに違いない。

 準決勝では王者ノバク・ジョコビッチ(セルビア)に2-6 3-6で敗れたが、スコア以上の戦いだった。ただ、疲れがサービスに影響したようだ。ロンドンでもう一度ネットをはさむチャンスがあるだろうか。

 アジアから初めて出場者を迎えるツアーファイナル。開幕は9日だ。

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