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Column コラム

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【錦織圭レポート】錦織圭の〈史上初〉の背景を探る

2014/09/12

全米オープンでアジア人初の決勝進出という快挙を果たした錦織圭。

全米オープンでアジア人初の決勝進出という快挙を果たした錦織圭。(写真提供:Getty Images)

 錦織圭が日本選手としては初、アジアの男子選手としても第1号のグランドスラム決勝進出を果たした。こうした例は過去、ゴルフの青木功がジャック・ニクラウスと優勝を争った全米オープンが浮かぶくらいだが、1980年のことだから、いまとはメディアの規模が格段に違う。海外イベントにまで取材が及ぶのは80年代後半の格安チケットの登場以降。インターネットが飛び交ういま、国内の沸騰ぶりは海を越えてNYの錦織にも伝わった。「前日から興奮しすぎた」と反省していたのも、仕方のないところだ。

 繰り返し報道されるマイケル・チャンのコーチ就任、盛田正明さんの援助について書きたいと思うが、まずは「日本の伝統」に触れる必要がある。

 「テニスはマイナースポーツ」と言われ、錦織もそうだが、クルム伊達公子ら日本の選手たちもそうした認識を口にする。現役選手の感覚ではそうなのだろうが、戦前の新聞をめくれば驚くほどテニスの報道は多かった。戦前のテニスは、野球、陸上競技に優るとも劣らないスペースを与えられたメジャースポーツだったし、戦後も、デビスカップは国内スポーツの最大行事の一つで、今上天皇と美智子皇后のテニス・デートとその後のブームはあまりにも有名だ。プロ化、国際化が進んだ80年代以降も、ビヨン・ボルグ、ジョン・マッケンロー、あるいはナブラチロワとエバーが来日すればダフ屋が登場するほどの人気だった。マイナーになったとすれば、90年代以降のことで、その背景はまた別の機会に分析したいと思う。

 1975年に沢松和子がウィンブルドンのダブルスで優勝し、これもアジア初の快挙だった。中国のリー・ナの女子シングルス優勝という例もあるが、日本の男女が世界の舞台で「アジア初」を記録み出した理由は、こうしたテニスの伝統抜きには語れない。国民のテニスへの理解度、関心度の深さである。錦織は島根県松江市という地方出身。この伝統がなければ、たぐい稀な素質が明るみに出ることもなかった。

 そうした背景を前提に、二つの要因を挙げたい。

 錦織は14歳からフロリダのテニス・キャンプに預けられて育った。錦織は全国小学生選手権大会で優勝しているが、一般に国内のエリートたちの道筋は全国中学生選手権、インターハイを軸にして進んでいく。この学校体育の中心の流れでは、どうしても目先の勝敗主義に囚われ、大きな目標の下での技術開拓はできない。またテニス協会や地方協会や学校の行事、各用具メーカーなどの様々な縛りも発生してくる。しかし、海外でのトレーニングを受けるためには莫大な費用が必要で、一般家庭の子女には不可能だ。錦織圭は今回、最大の恩人として盛田正明氏の名前を挙げた。ソニー元副社長の盛田氏の援助があって初めて、フロリダのキャンプに移ることもできた。盛田氏は日本テニス協会の会長も務めたが、ジュニア育成の盛田ファンドは私財を投げ打った個人的な機関で、こうした篤志家は日本のスポーツ界では極めて珍しい。

 もう一つ、マイケル・チャンの存在がある。チャンは現役時代に日本でなじみの選手だったから、メディアにも頻繁に登場する。ただ、彼が陣営に加わったのは昨年暮れのことで、まだ1年も経っていない。それまでのコーチは現在もツアーに帯同しているアルゼンチン人のダンテ・ボッティーニだった。錦織は、メディアがチャンばかり取り上げることを非常に気にしていて、チャンの名前が出されると、必ずダンテの名前も付け加える。チャン自身も、そのことは意識しているのだろう、日本のメディアとは一切接触していない。

 チャンの存在意義を挙げるとすれば、戦術、技術面よりも体力トレーニングだろう。小柄だったチャンは、猛烈な自己犠牲と体力作りを基礎に、全仏オープン優勝など世界のトップで活躍した選手だった。ナダルあるいはジョコビッチといった現在のトップ選手も、素質に加えてそうしたトレーニングを積んできた。天才肌の錦織には、そのストイックな部分が欠けていた。そこにチャンの存在は影響を与えたはずだ。今シーズン、錦織は故障も多々あったが、クレーコートでの優勝など成長著しく、そのたびに「体が強くなった気がする」と口にしてきた。この全米オープンの激闘も、体力面での強化なしには語れない。マイケル・チャンの影響は、先ずそこにある。

 グランドスラムは4大大会で、1年に4大会ある。これからも期待されるが、残念なことに、それを伝えるマスメディアの力が余りにも弱い。メディアはこれまでテニスを「マイナー」として扱ってきたため言葉を持っていないし、言葉はそう簡単には獲得できない。これから錦織もその辺には苦労するだろう。活躍の結果だろうが、幸い、英語力も抜群に向上している。テニスファンにとっては英語を勉強するいい機会である。

文:武田薫



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