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Column コラム

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【錦織圭レポート】想定できた完敗。その背景と意味を探る

2014/05/29

 全仏では1回戦敗退となった錦織圭。しかし、この完敗は想定できたものだった。

全仏では1回戦敗退となった錦織圭。しかし、この完敗は想定できたものだった。(写真提供:Getty Images)

 ここは完敗と言うしかない。

 5月初めのマドリッドでの故障から2週間。治療に戻ったフロリダでの練習はやっと球出しまで。パリ入りしてからもポイント練習は一度もなく、サーブ練習も前日に少し試みただけだった。確かに今年のクレーコート・シーズンではATP500の優勝、マスターズ1000で初の決勝進出、しかもダビド・フェレールを倒しラファエル・ナダルを追い詰めるという素晴らしい結果を残し、クレーコート・テニスの面白さを思い出した。それでも、故障の不安を抱え、練習もままならずにクレーコートの5セットマッチを戦うのは難しい。

 ダンテ・ボッティーニ、マイケル・チャンの2人のコーチとの練習を見ながら、特に後方への脚さばきの不安を指摘する声は多く、横に振る練習もほとんどなかった。敢えて出場する意味に首を傾げる人も多かった。錦織が最も得意とするのはハードコート、すなわちウィンブルドンの先に控える、全米オープンを頂点としたアメリカン・シリーズだ。昨年、クレーコート・シーズンからの流れで躓いて肝心の夏を棒に振っているだけに、今回の出場はいかにもギャンブルに見えた。なぜ???

 その理由は簡単明白で、テニスはコートに立つことが原点だからだ。

 改めて「故障」を考えてみたい。

 プロスポーツ選手のケガ、「故障」は私たちのケガや病気とは違う。私たちの治療には明確な期限がない。早く治る方がいいが、それよりも完全に治すことが優先される。しかし、プロスポーツの治療は「いま」が最優先だ。錦織圭の腰痛が10年後に治っても意味はないという、過酷な条件に縛られている。さらにその中で、痛みには個人差があり、その痛みにもコート上とコートサイドでの違いがある。錦織は前日の会見で、マイケル・チャンから、痛みが徐々に消えていったという経験談を聞かされたと話していた。選手たちがよく「アドレナリン」を口にするように、試合現場に入った際の集中力が一時的に痛みを忘れさせる。また、練習から遠ざかることで、プレー感覚が薄れていることから来る「痛み」もあるだろう。フィジカルであり、メンタルでもある。本人の不安を尊重して復帰を先延ばしにすれば、その選手のピークを逃す危険性がある……。

 彼らが「故障」を克服するということは、単に治療を施すだけではなく、プロスポーツの環境で心身をどうコントロールし、その選手の才能を旬の時期に花開かせるか――マネージメント、コーチングといったチームワークの問題になってくる。昨年の苦い経験があるだけに、今回の錦織チームの決断の難しさはそこにあった。

 今回の錦織の敗因は、はっきりしている。このストレート負けにはいくらでも言い訳が成立する。錦織自身も悔しそうに練習不足を口にしていた。確かに相手のマルティン・クーリザンは、本調子なら負ける相手ではなかっただろうが、やはりここは完敗としか言いようがないというのは、クーリザンが故障を抱えていなかったと、誰も言えないからだ。大なり小なり、選手は同じような背景を背負ってコートに立っている。その上で、戦術を立てて挑んでくる。

 クーリザン陣営は間違いなく錦織の状態、サーブ練習ができていない情報を持っていた。敗因として10本のダブルフォルトが指摘されるのだろうが、練習不足でサーブが入らなかったのではない。錦織はプロだ。セカンドサーブを狙われているのが分かったから、こうなった。セカンドサーブからのポイント獲得率は38%、第3セットに至っては25%だった。第1セットのタイブレークも、セカンドを狙い打たれて先にミニブレークを許して落としている。

いまのテニスはチーム戦であり総力戦であり、それは記録だけをなぞっていても見えてこない。今回は紛れもない完敗だったが、錦織がさらに前に行くためにはどうしても通らなければならない「山場」でもあった。百戦錬磨のマイケル・チャン、IMGがそのことを知らないはずはないのだ。試合後の会見で、さすがに錦織の表情は冴えなかったが、こう言っていた。

「試合を終えることができてホッとしています」

 この選手は本当に正直者だ。こんなに正直なテニス選手を見たことがない。テニスの世界の良さは、正直者がバカを見ることはないことだ。まだシーズン半ば、まだテニス・キャリアの半ば……試合を見どころ満載で終え、これからが楽しみになる完敗と言いたいくらいだった。

文:武田薫



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