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コラム

【錦織圭レポート】体調万全のエース錦織、単複3勝で日本は初のベスト8進出

2014/02/03

錦織の活躍で初めてデビスカップのワールドグループ1回戦を突破した日本。さらなる躍進が期待される。(写真提供:Getty Images)

 デビスカップのワールドグループ1回戦、エース錦織圭はシングルス2勝に加え、ダブルスでも貴重な1勝をもたらし、日本は初めて準々決勝に進出した。

 2勝1敗で迎えた2月2日の最終日、会場の有明テニスの森は早朝から長蛇の列。錦織のプレーを一目見ようと期待したファンには、しかし、ちょっと物足りなかったかもしれない。カナダのフランク・ダンシェビッチは強烈なサーブの持ち主だったが、錦織は第3ゲーム、いきなりリターンエースを決めて追い込み、3本目のブレークポイントで先手を奪った。第5ゲームも連続ブレークして第1セットは6-2。第2セットの第1ゲーム、3度のデュースの末にサービスブレークに成功すると、ここでダンシェビッチが腹筋痛で棄権を申し出て、試合は43分であっけなく幕を下ろした。

 日本は大正時代にデ杯のチャレンジ・ラウンドに勝って準優勝したことがあるが、1981年に現行ルールになってからは初めてのベスト8進出だ。

 今回のカナダ戦は、日本に勝機があった。相手の第1シングルのミロシュ・ラオニッチはランキングこそ錦織より上だが、2年前に同じ有明で勝っている相手。今回はラオニッチ対策の一環としてコート・サーフェスを塗り替え、よりスピードを殺した条件を整えて待ち構えていた。そのラオニッチが来日後に足首の故障を悪化させ、さらに世界ランキング30位で第2シングルスのバセック・ポスピショルまでもが背中の故障で欠場――主力の離脱で錦織のシングルス2勝はより確実になり、問題は残る1勝だった。

 初日、錦織が世界ランク135位のピーター・ポランスキーを6-4、6-4、6-4のストレートで破り、添田豪は122位のダンシェビッチに敗れて1勝1敗。ここで植田実監督はダブルスに錦織の投入を決意した。錦織にとっては2011年のウズベキスタン戦以来のデ杯でのダブルスになったが、十分に準備していたという。

「大会前から、ダブルスに出る可能性も言われていて、その練習もしていました。体力的な不安が少しはありましたが、第1試合がストレートで終わったこともあったので、自分でも出ることに躊躇はありませんでした」

 カナダはダブルス・ランキングで世界1位になったこともあるダニエル・ネスターを擁し、ダブルスで実績のあるポスピショルとのペアならば2日目の1勝は堅いと言われていた。ここに錦織を投入し、前週のツアーでダブルス優勝した内山靖崇とのペアで勝負に出た。最終日の4試合目、すなわち錦織のシングルスで一気に決着という狙いは、ラオニッチの不在から発生した作戦の変更。しかも、カナダはポスピショルの故障が意外に重くベスト・ペアを組めなかった。相手はリズムに乗れず、逆に日本は錦織のリターン、ネットプレーが冴え、予定外の2勝目を奪うことができたのは大きい。王手をかけてしまえば、そもそも来日した段階で出番予定のなかったダンシェビッチに、最終日の逆転まで託すプレッシャーは大きすぎた。

 錦織の単複3勝の活躍はいまの日本の男子テニスそのものを映したと言っていいだろう。チームが運に恵まれたことも事実だ。ラオニッチが機能していれば、錦織のダブルス投入はなく、最終の5試合目までもつれ込んだ可能性は高い。そして、このツキは暫く続きそうな気配もある。次の準々決勝は4月の第1週末に、このカードの勝者のホームで行われることが事前に決まっていた。ホームの有明で昨年の覇者チェコと対戦することになったが、これで9試合連続のホーム開催というのも珍しい好運。しかも、チェコの第1シングル、トマーシュ・ベルディヒと第2シングルでダブルスの名手ラデク・ステパネクは、いずれのアウェー戦にも出ないだろうというウワサが流れていた。

 今年、錦織にとっては特別なデビスカップ・イヤーになる可能性がある。

 日本にとって今年が願ってもないチャンスであり、と同時に、今年は24歳になった錦織にとって世代交代の進むツアーでの躍進はますます重要になっている。全豪オープンからデ杯を通じ、錦織は体調をキープしてきた。植田実監督は「ツアーでより高いレベルの選手とプレーすることによって、体力も確実についてきた印象がある」と話したが、シーズンはこれからタフになっていく。出来る限り、エースに3勝を期待するような状況は避けたい。ツアーの成功がデ杯の結果にも結び付く。その意味でも、添田、杉田祐一、今回は代表を外れた伊藤竜馬のレベルアップ、ダブルスの内山の成長は、エースをフル回転させる必要条件だろう。歯車がかみ合えば、さらなる幸運が転がってくるかもしれない。

文:武田薫





放送カード

3月放送予定
ジョコビッチ、マレーら現役トップ選手に加えて、アガシ、サンプラスらレジェンドたちも出場。
往年のチャンピオンたちが集う男子ATP公式シニアツアーの2013シーズンを放送。
4月放送予定
ワールドグループ制になって初のベスト8進出を果たした日本代表が3連覇を狙う王者チェコとの一戦に挑む!
往年のチャンピオンたちが集う男子ATP公式シニアツアーの2013シーズンを放送。
母国の名誉と威信を懸けて、強豪国が激突する“テニスのワールドカップ”。ワールドグループ準々決勝の模様をハイライトでお届け
女子テニスの国別対抗戦・フェドカップ。
強豪8カ国による熱戦を1回戦から決勝まで放送

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