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杉山愛 オリジナルコラム「愛's EYE」

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杉山愛 オリジナルコラム「愛's EYE」

第281回 デビスカップ・ワールドグループ決勝のみどころ

2016/11/22

11年ぶりの優勝を狙うクロアチアと4度準優勝のアルゼンチンの対戦です

 クロアチアとアルゼンチンによるデビスカップ・ワールドグループ決勝が、いよいよ11月25日に開幕します。

 クロアチアは団結力が高く、一体感の強いチームと見ることができます。ノバク・ジョコビッチのセルビアもそうですが、国としての歴史が浅いだけに、しかも付いたり離れたりの激動の歴史を持つだけに、選手たちには自分たちの国のためにという意識が高いと想像できます。

 今年はノーシードでしたが、初戦で第2シードのベルギーを破ると、アメリカ、フランスとすべて強豪チームを破って決勝に勝ち上がりました。その意味で、今、一番勢いがあるチームと言っていいでしょう。チームの雰囲気もいいはずです。

 何より大きいのは実力者がそろっていることです。マリン・チリッチ(単7位)、イボ・カルロビッチ(単20位)、ボルナ・チョリッチ(単48位)、ダブルスではイバン・ドディグ(複11位)と単複にトップ選手がそろいます。

 ここまでの勝ち上がりを見ると、チリッチの安定した成績がまずあって、この11月で20歳になったばかりの若いチョリッチは比較的、楽にプレーできる状況があったように見受けられます。

 私自身のフェド杯での経験でも、経験豊富で実力のある選手が上にいることで、若手は思いきりやらせてもらえます。そうして、チームで過ごす時間が実り多いものになり、自分自身のプレーも噛み合ってくれば、チームの戦力となるだけでなく、その後の個人戦にも生きてきます。フェド杯、デ杯をきっかけに個人戦でも躍進する選手がいますが、チョリッチもそうなる可能性があるはずです。いつブレークしてもおかしくない存在であるだけに、今年のデ杯がきっかけになるかもしれません。

 準決勝までの3戦ではメンバーに入っていなかったビッグサーバーのカルロビッチも、決勝で代表に復帰しました。また、頼もしいのは31歳のドディグの存在です。ツアーでは今、ダブルスのトップ選手として活躍しています。5試合のうち1試合だけですが、ダブルスが勝敗を分けることも少なくありません。今年のデ杯でドディグは3戦3勝。どの対戦でも大きな1勝をチームにもたらしています。彼は昨年のIPTLでも、チームの和を大切にする選手であることが見てとれました。チリッチも人格者ですし、チームリーダーが2人いるようなイメージです。

 一方、第6シードのアルゼンチンは、準決勝で第1シードのイギリスを破って決勝に進みました。1回戦ではポーランド、準々決勝ではイタリアを破っています。

 決勝進出の立役者は、準決勝のシングルス第1試合でアンディ・マレーを破ったフアン マルティン・デル ポトロ(単38位、複349位)でしょう。

 左手首の故障もあってチームを離れていましたが、準決勝のイギリス戦で復帰早々、大きな1勝を挙げました。復帰後、バックハンドはスライスが多くなっていますが、上から打ち下ろすフォアハンドの強打は世界でも超トップクラス。サーブ力もトップクラスで、リオ五輪銀メダルの結果が表しているように、誰にでも勝つ可能性のある選手です。相手にとっては最も嫌な存在でしょう。

 そのエースが出場しなかった1回戦と準々決勝では、選手層の厚さを見せました。アルゼンチンは、ATPランキング・トップ100に9人の選手を送り込んでいて、今年、デ杯戦に出場した選手は7人にのぼります。それだけいると、代表を選ぶ方も大変でしょう。国内でもいい競争が繰り広げられることが想像できます。

 今年のデ杯ではシングルスでレオナルド・メイヤー(単138位)が3勝しているのが目を引きます。フェデリコ・デルボニス(単41位)、ギド・ペラ(単59位)がそれぞれシングルスで2勝。デル ポトロに加え、この3人が決勝のメンバーに名を連ねます。

 アルゼンチンも団結力があり、同国選手同士、仲が良いのが特徴です。しかも、デル ポトロという、選手たちの心の支えとなる選手が存在します。デ杯決勝という独特の空気の中で、グランドスラムタイトルを取っている選手、大舞台の経験者の存在は大きいはずです。彼がいるから自分たちも大丈夫と、他の選手も力を発揮しやすい状況が生まれるでしょう。

 会場はクロアチアのザグレブ。もちろんホームチームの優位はありますが、サーフェスは両者にとってフェアなインドアのハードコートです。クロアチアは05年にワールドグループ優勝を経験していますが、アルゼンチンは過去4度決勝進出を果たしながらまだ一度も優勝がありません。どうなるか予想が付きにくい決勝ですが、それだけに接戦が予想され、好ゲームが期待できます。



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杉山 愛

杉山 愛
生年月日:1975年7月5日
出身:神奈川県
主な戦績:
WTAツアー最高世界ランク シングルス8位 ダブルス1位
国際公式戦勝利数:シングルス492勝 ダブルス566勝
WTAツアー:シングルス優勝回数6回
ダブルス優勝回数38回
グランドスラムダブルス最高成績:全豪準優勝(2009年)、ウィンブルドン優勝(2003年)、全仏優勝(2003年)、全米優勝(2000年)
公式戦通算試合数:1772試合(シングルスとダブルス)
グランドスラム連続出場の歴代2位記録(62大会・女子1位)を持つ。

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