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Column コラム

杉山愛 オリジナルコラム「愛's EYE」

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第259回 ウィンブルドン見どころ 日本選手編

2016/06/22

錦織圭 写真:アフロ、フェデラー 写真:AP/アフロ、マレー 写真:ロイター/アフロ、ジョコビッチ Getty Images

錦織選手には前哨戦の棄権をプラスに転じてほしいと思います

 いつものように、ウィンブルドンの展望を2回に分けて書いていきます。今回は日本選手編です。

 錦織圭選手は、全仏オープンの4回戦敗退は少し残念な結果でしたが、気持ちを切り替えてウィンブルドンに向けて調整を積んできたはずです。フランスから一度、アメリカの自宅に帰ったそうですが、切り替えという意味で、リフレッシュの時間も必要だったのでしょう。以前と違って全仏からウィンブルドン開幕までのインターバルが2週間から3週間に増え、アジャストの時間がもう1週間できました。これは選手にとって大きいと思います。

 ただ、残念なことに前哨戦のハレ(ドイツ)の大会で左脇腹を負傷、大事をとって2回戦を棄権しました。昨年のウィンブルドンでは、やはり前哨戦で負傷した左ふくらはぎの影響で2回戦棄権という結果に終わっています。1か月間以上もプレーしてきたクレーから芝にサーフェースが変わり、その大きなギャップで体には大きな負担がかかります。選手にとって、一番難しい調整が強いられる時期なのです。

 ハレの大会ではダブルスにもエントリーしていました。芝での前哨戦は数が限られるため、大会数を積んで調整していくことは難しく、試合数をこなす意味でダブルスにエントリーしたものと思われます。芝は特殊なサーフェースなので、試合の中で慣れていく必要があり、ダブルスも含め、グラスコートでプレーする一つ一つの機会が重要なのです。その意味で、芝で公式戦を1試合しかこなしていないことは不安要素と言えます。

 もともと、プレースタイルと芝との相性はベストとは言えないかもしれません。錦織選手はハードコートやクレーでは、リターンから自分のペースと展開に持っていくのですが、芝ではサーバー側が圧倒的な有利さを持っているため、他のサーフェースに比べてブレークするのが難しくなります。なので、相手がビッグサーバーであれば、自分自身のサービスキープが鍵となり、その中でいかにブレークチャンスをものにできるかが勝敗の分かれ目となります。

 リターンゲームでは特に集中力が必要です。錦織選手は精神的に乗っていると、動物的な感覚も研ぎ澄まされて、相手のコースがピタリと読める選手です。したがって、精神面の充実、さらに体力面での充実が求められます。疲れが溜まっていると、どうしても反応が鈍くなるからです。

 そこで、いかにフレッシュな状態で臨めるかが、結果を大きく左右するはずです。体の中にあるエネルギー量も問われます。その意味では、前哨戦での棄権とそれによって調整の時間が増えたことを、どれだけプラスにもっていけるかにかかっていると思います。

 大坂なおみ選手は、グラスコートと相性のよいプレースタイルであるだけに、欠場はとても残念です。

 彼女は日本選手としてツアーに参加していますが、日本とともに活動のベースにしているアメリカでもファンから応援されています。そうして注目されるのは、大舞台での強さを見せているからでしょう。今年の全豪オープンでは予選を勝ち上がってグランドスラム初出場を果たし、本戦3回戦に進出しました。さらに初出場の全仏でも3回戦に進出し、第6シードのハレプをあそこまで追い込みました。まさにセンセーショナルで、初めての大舞台でこれだけ活躍できる選手はそうはいないと思います。だれもが勝ちたい舞台で、こうして力を発揮できるのは、テニスの質自体が高いからでしょう。次の四大大会、全米オープンには万全の状態で臨んでほしいと思います。


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杉山 愛

杉山 愛
生年月日:1975年7月5日
出身:神奈川県
主な戦績:
WTAツアー最高世界ランク シングルス8位 ダブルス1位
国際公式戦勝利数:シングルス492勝 ダブルス566勝
WTAツアー:シングルス優勝回数6回
ダブルス優勝回数38回
グランドスラムダブルス最高成績:全豪準優勝(2009年)、ウィンブルドン優勝(2003年)、全仏優勝(2003年)、全米優勝(2000年)
公式戦通算試合数:1772試合(シングルスとダブルス)
グランドスラム連続出場の歴代2位記録(62大会・女子1位)を持つ。

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