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Column コラム

杉山愛 オリジナルコラム「愛's EYE」

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杉山愛 オリジナルコラム「愛's EYE」

第221回 楽天ジャパンオープンのみどころ

2015/10/01

(右から時計回り)錦織圭、グリゴール・ディミトロフ、スタン・ワウリンカ、マイク・ ブライアン Getty Images、ボブ・ブライアン 写真:アフロ

■デ杯で精神的に切り替わった錦織選手。いい準備で大会を迎えるはずです

 楽天ジャパンオープンは10月5日に開幕します。選手のエントリーを見ると、錦織圭選手をはじめ、去年から今年にかけて四大大会のタイトルを獲得したワウリンカ、チリッチ両選手、さらにガスケ、シモン、アンダーソン、F.ロペスと、近年、四大大会での活躍が際立つ選手、乗りに乗っている実力者が勢揃いという印象です。

 また、年齢を重ねて実力をつけ、今、自分のベストのパフォーマンスを出している選手が多いような印象です。

 ガスケも一時、低迷する時期があって、そこを乗り越えたことでまた一つレベルが上がっているのを感じます。アンダーソンも全米でマレーを破ってグランドスラム初のベスト8。ロペスも2015年はベストのシーズンと言えます。こうして、キャリアを積み重ねてキャリア最高の時期を迎えている選手がそろったなという気がします。

 それに加えて、ディミトロフやキリオス、コリッチといった期待の若手、旬の選手も参戦しています。

 「厚み」を感じられるエントリーリストと言っていいでしょうね。大会が行われる有明のハードコートが得意な選手がそろっているという感じもします。この顔ぶれなら1回戦から見応えのある試合が期待できそうです。

 錦織選手も初戦からタフな試合になることでしょう。

 全米では1回戦敗退でしたが、敵地でコロンビアに勝ったデビスカップは彼にとって大きなターニングポイントになったと思います。選手は嫌な流れはできるだけ早く断ち切りたいものです。デ杯は時期としてもいいタイミングだったし、実際、プレッシャーの中で自分の力を出してチームを勝利に導いた、このことで精神的にうまく切り替えることができたでしょう。

 人間って、どうしても悪いことほど記憶に深く刻まれるので、それをいい経験で上書きすることが重要になります。早い時期にパッと塗り替えられたのは、今後のツアー、キャリアを考えても彼にとってすごく大きかったと思います。こういうきっかけから、いい流れがやってくるはずです。楽天オープンに向けて、いろいろな面で、いい準備ができていると思います。

 錦織選手は去年の大会で優勝しているだけに、もし今年、優勝できなければ多くのポイントを失ってしまいます。でも、ポイントのディフェンドはトップ選手の宿命です。毎年、守るべきポイントがたくさんあるのがトップ選手ですから、それをいちいち考えていたら、余計な力も入るでしょうし、プレッシャーも感じるでしょう。今季の錦織選手は、もちろんポイントをディフェンドしてランキングを維持することも一つの目標ではあると思いますが、シーズン最終戦「ツアーファイナル」への2年連続出場を大きな目標に掲げています。これはゴール設定として正しいと思います。

 私自身、最終戦出場の経験がありますが、「自力で出場にたどりつくにはこの大会で○ポイント獲得しなくてはいけない」という目標ができるので、ディフェンドより自然に先のことに目がいくのです。「これだけポイントを取らなくてはいけない」という意識はあったとしても、「去年のポイントを守らなきゃいけない」というのとは違うメンタリティですから、選手にはプラスに働くはずです。

 ものごとをどう見るかで、いろいろ変わってくるんですよね。テニスに限らずビジネスでも同じだと思います。同じことが起こっていても、それをどう見るか。トップの選手あるいはトップのビジネスマンというのは、画を大きく描いてプラスの方向に見る、自分の力を出しやすいように考えるということができる人たちだと思います。錦織選手もそれができる選手で、だからこそツアーファイナル出場を目標に掲げているのです。

 全米では1回戦負けを喫しましたが、1年を通してしっかり頑張れているので、ランキング6位、トップ10にとどまっています。ものごとを広く見る、プラスに見るということができる彼だからこそ、この状況が生まれているのだと思います。
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杉山 愛

杉山 愛
生年月日:1975年7月5日
出身:神奈川県
主な戦績:
WTAツアー最高世界ランク シングルス8位 ダブルス1位
国際公式戦勝利数:シングルス492勝 ダブルス566勝
WTAツアー:シングルス優勝回数6回
ダブルス優勝回数38回
グランドスラムダブルス最高成績:全豪準優勝(2009年)、ウィンブルドン優勝(2003年)、全仏優勝(2003年)、全米優勝(2000年)
公式戦通算試合数:1772試合(シングルスとダブルス)
グランドスラム連続出場の歴代2位記録(62大会・女子1位)を持つ。

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