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Column コラム

杉山愛 オリジナルコラム「愛's EYE」

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杉山愛 オリジナルコラム「愛's EYE」

第202回 錦織圭選手の今シーズン序盤戦を振り返って

2015/04/23

写真:アフロ

■「(立場に)慣れていない」という言葉は過去のものに。トップ選手の貫禄を感じます

 ヨーロッパではクレーコートシーズンが始まり、全仏オープンまでレッドクレーの戦いが続きます。今回は、錦織圭選手の今季ここまでの戦いを振り返ってみます。

 シーズンが始まってもうすぐ4カ月が経とうとしています。シーズン初めは5位というランキングに関して「まだ慣れていない」と発言がありました。彼自身、その立場がまだしっくりしない感じがあるようでした。ところが今は、トップ選手の貫禄というか、その位置にいることが当たり前になりつつあるように見えます。

 メンフィスでツアータイトルを取るなど結果も出ていて、いいプレーが続いていることもあって、彼自身、ここが自分の居場所と感じ始めているのではないか--表情を見ていると、そんなふうに感じます。

 下位選手の挑戦を受ける立場であり、去年までと全然違う立場ですから、そこにかかるプレッシャーは計り知れないだろうなと見ていました。ところが、そういった気負いは少しも感じません。プレッシャーもおそらく感じているはずなのですが、それを受け入れるだけの器量、器の大きさを感じますね。

 ATPマスターズ1000のインディアンウェルズでは苦戦しながらもベスト16、マイアミでもきちんとベスト8に入っています。もちろん私ももっと上の成績を期待していたし、そうなる可能性も十分にあったと思うのですが、それでも、マスターズでベスト8というのは、簡単にパッと出せる成績ではありません。本当の実力があるからこそ、その成績を残しているわけで、本人にもその手応えはあるはずです。去年より成長している錦織選手がそこにいると私は感じます。

 それにしても、「まだ、今のランキングに慣れていない」という発言からそれほど時間も経っていないのに、すでに当たり前のようになっているというのがすごいですね。

 “マイケル・チャン効果”ももちろんあると思います。マイケルには去年、「相手をリスペクトしすぎる」と言われたそうですが、自分の気持ちに正直な錦織選手だからこそ、そう言われてもすぐにはどうにもできないところもあったと思います。それでも、マイケルの教えを素直に受け入れて、それをやってみたわけですよね。初めは違和感があったにしても、実際にやってみてばできたし、それが徐々に自然にできるようになって、ということだと思います。実際にインタビューなどでの言葉も変わってきましたよね。

 根本の部分で言うと、素直な心を持ち、コーチの声を聞く態勢ができている、それが彼の器の大きさに直結しているのだと思います。とはいえ、考え方を変えるわけですから、自然にできることではなく、意識的にやったのでしょう。そもそも、普通は意識したとしてもできることではないですよね。でも彼はそれを受け入れて、やってみて、それが自然になって--そのくり返しだと思うのですが、そこがすごいと思います。

 テニスの内容について言えば、体の使い方ももちろん去年からよくなっていますし、打ち方も改善されて力強いボールになっています。戦術面でも、相当、攻撃が早くなっていると思います。ときどきサーブアンドボレーを見せるなど、「あ! ここでもそうするか」と思わせるような積極的な攻撃が見られます。もちろん故障も減って、体も丈夫になってきています。

 全豪以降デビスカップを含め、北中米を転戦したわけですが、過酷なスケジュールをうまくこなしています。コートサーフェスも、同じハードコートでも球足が極端に遅いコートから極端に速いコートまで、目まぐるしく変わりました。そこにアジャストする能力も、トップ選手だなと感じます。


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杉山 愛

杉山 愛
生年月日:1975年7月5日
出身:神奈川県
主な戦績:
WTAツアー最高世界ランク シングルス8位 ダブルス1位
国際公式戦勝利数:シングルス492勝 ダブルス566勝
WTAツアー:シングルス優勝回数6回
ダブルス優勝回数38回
グランドスラムダブルス最高成績:全豪準優勝(2009年)、ウィンブルドン優勝(2003年)、全仏優勝(2003年)、全米優勝(2000年)
公式戦通算試合数:1772試合(シングルスとダブルス)
グランドスラム連続出場の歴代2位記録(62大会・女子1位)を持つ。

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