スペインサッカー リーガ・エスパニョーラ|WOWOWオンライン

岡田ノート

2011年12月22日更新

岡田武史が独自の視点でリーガを斬る!日本代表をW杯ベスト16へ導いた岡田武史が、世界最高峰のリーガ・エスパニョーラを試合ごとに分析。岡田の目が見た、スペインサッカーの神髄とは?

岡田ノート 最終回 ◆現地解説クラシコで改めて感じたバルセロナの凄まじさ

今シーズン、リーグ戦初対戦となったレアル・マドリード対バルセロナの伝統の一戦クラシコ。雪辱に燃えるレアル・マドリードがバルセロナと勝ち点3差(暫定)で、首位で迎えた決戦となった。しかし、またもや歴史は繰り返す。前半は拮抗したゲームながらも、後半バルセロナが牙を剥いた。この大一番を現地で目の当たりにした岡田武史の口から飛び出した言葉は「本当にバルサは凄い」だった―――。

今節のPick Up Match

レアル・マドリード 1‐3 バルセロナ
全世界のサッカーファンが注目した、伝統の一戦クラシコ。試合は予想外にもバルサのミスで幕を開ける。GKビクトル・バルデスがパスをミスキック。これをディ・マリアが繋ぎ、エジルのシュートのこぼれ球をベンゼマが蹴り込んで、R・マドリードが先制。わずか開始から、23秒の出来事だった。まさかの失点にペースを乱されたバルセロナだが、徐々にリズムを取り戻すと、前半29分にメッシのスルーパスを受けたアレクシス・サンチェスがゴール。そのまま同点で前半を終えた。後半に入ると、バルセロナがさらに勢いづき、52分にシャビの放ったミドルシュートがマルセロに当たって、そのままゴール。逆転に成功したバルセロナは、65分にセスクがダイビングヘッドで追加点。R・マドリードはC・ロナウドがチャンスを決めきれなかったのも響き、開始直後に決めた1ゴールのみでタイムアップ。トータルスコア1‐3で、アウェイのバルセロナが快勝を飾った。

“後半はバルサの一方的な展開だった

――前評判ではホームのR・マドリード有利との声が高かった中、バルセロナが3‐1で勝利しました。まず、その先発メンバーについてお聞かせください。ご自身の予想通りだったでしょうか?

レアルに関して、ケディラとコエントランが僕の中の予想とは違うくらい。ポジションとしては、コエントランを右サイドバックに持ってきて、ラサナ・ディアラをピボーテ(ボランチ)に置いたっていうのが、ちょっと予想外だったかな。

――バルサについてはいかがですか?

最初はビックリした。アレクシス・サンチェスが真ん中で左にイニエスタ、右にメッシ。普通、いろいろなテストをして、勝負どころでそのいい形を持っていくんだけど。今までアレクシス・サンチェスを真ん中で使ったことはないわけだよね。何でそうするのだろうっていうのが、僕には理解できないところだった。

――それでは試合の感想をお聞かせください。

前半は重苦しい雰囲気で、どちらも自分たちの良さを出し切れていなかった。レアルは早くに先制してしまったからかもしれない。本当はもっと攻めようと思ったのかもしれないけど、あれが入ってしまったから守りに入ってしまったのかな?
一方バルサは、相手のプレッシャーとカウンターをケアして、ダニエウ・アウヴェスが後ろからオーバーラップしていくなんてなかったし、少し怖がっているような印象を受けた。
レアルが、ラサナ・ディアラ、ケディラとシャビ・アロンソを真ん中に使うのは止めた方がいいと思っていたし、エジルを使ってきたから、メンバーを見た時に喜んだ。でも両方が良さを出し合ってぶつかると思ったら、前半は逆になってしまったよね。

――後半の印象はどうでしょうか?

後半になったらガンガン動き出すのだろうと思っていたら、バルサの一方的な展開になった。レアルもチャンスはあったけど、内容としてボールをとれなくなった。攻めになっても4人ぐらいでしか攻めない。前に速く攻めるから、後ろの選手がついていけない。そうすると前の4人が戻れなくなったスペースが空いて、やられてしまう。本当にバルサは凄いと思った。

グアルディオラだけは本当に分からない

岡田武史

――モウリーニョ采配についてはどうでしたか?

モウリーニョについてエッと思ったのは、先にエジルからカカーに代えたことかな。2点目取られた後、最初に外すのはラサナ・ディアラかコエントランかと思った。 だって点を取りにいくっていう姿勢をみんなに示さなくてはいけないじゃない。それが役割の変わらないエジルとカカーだからね。

――モウリーニョは弱気だったと思いましたか?

僕はモウリーニョらしくないなと思ったよね。いつもは、ああいうところ強気でやるのに。あそこでラサナ・ディアラを右サイドバックに置いて、ケディラを入れるとか、またはカカーを入れてシャビ・アロンソの1枚にするとか、それくらいのことをやらないと、あのバルサには勝てないと思うんだよね。
勇気がなかったように思える。モウリーニョはこの試合で、指導者としての限界みたいなものをチラッと感じたと思う。今年はコンビネーションも上がってきた、メンバーもよくなった、ディフェンスも昨年より前からプレッシャーかけるようになった。誰もが昨年より強くなったと思っている。モウリーニョも今年こそバルサを倒せると思った。倒せないにしても通用すればいい。でもまた一緒だったじゃない!?今、モウリーニョ自身が一番苦しいと思うよ。

――グアルディオラの采配はいかがでした?

バルサの場合は交代よりも後半のシステム、ポジション変更だね。あれは強烈で的確だったよ。セルヒオ・ブスケツを下げて4バックにして、中盤はダニエウ・アウヴェス、セスク、シャビ、イニエスタ、FWにはメッシとアレクシス・サンチェス。2トップみたいなものだからね。これは今までやっていないよ。相手の思わないことをやるのが一番だとか、基準が違うのだと思う。そうでなければ神様みたいに、こっちの方がいいとか分かるのかもしれない(笑)グアルディオラだけは本当に分からない(笑)

――メンバー変更はありませんでした。

そう。その時メンバー交代はせず、右に一番スピードのないプジョルを持ってきてクリスティアーノ・ロナウドと対面させていた。上げたダニエウ・アウヴェスのところからリズムができていたね。逆サイドのイニエスタもいい形で出てきたし、レアルはそれに振り回されていた。

バルサはわざと遅攻してレアルの選手を守備に戻らせる

――クラシコのキーマンは誰だったとお考えですか?

今日の試合を見て、改めてメッシは凄いなと思った。みんなが「メッシ、メッシ」と言うのが分かる。バルサは後半、みんながいいところを出したし、イニエスタも素晴らしかった。ただ、メッシはちょっと違うよね。あんなに狭いところで相手を引きつけるのか、と。3点目だって普通ボールを持ったらフリーのダニエウ・アウヴェスにすぐ出すんだよ。ところがギリギリまで持つ。そうすることによって、逆サイドまでずれてくる。

岡田武史

――試合前に注目の選手とおっしゃっていたセスクはどうだったでしょうか?

悪くなかったと思うよ。でも、メッシに比べるとやっぱり違う。シャビが「バルサの戦術はメッシだ」って言ったのが分かるよ。

――レアルの選手についてお聞かせください。

何でクリスティアーノ・ロナウドは、バルサ戦になると活躍できないのだろう。ああやって回されてボールがとれないから、なんかプライドがズタズタにされているのかな?

――試合前に注目とおっしゃっていたシャビ・アロンソのプレーはどうでしょうか?

ほとんどボールを散らす場面がなかったな。他のチームとやった時はポゼッションしてうまくやるのに、ほとんどできなかった。サイドチェンジも出なかったし。何なんだろうね、バルサって(笑)。

――それをさせないバルサのサッカーには何か秘訣があるとお考えですか?

僕の推測に過ぎないのだけど、バルサは前にいけても、そんなに急いでいかないんじゃない。
サッカーの常識として「敵が組織を作る前に攻めろ」とか、「得点の70%はパスが3本以下で決まっている」とか、いろいろ言われている。速攻で全部いってもチャンスになるのは5回に1回くらいなわけよ。でもバルサが考えるのは、その1回を取るのではなく、5回をもっといい形にすることだと思う。

――具体的にはどのようなことでしょうか?

バルサが中盤でゆっくりボールを回したら、レアルの選手はディフェンスに戻らないとならない。戻ってからカウンターを仕掛けてもかなり遠いし、後ろの選手も追いつけない。ボールをとっても深いところにいるから、バルサの選手が押し上げてきている。レアルの選手としては、バルサがみんな前に来ているからボールを取った時、目の前に敵がたくさんいるけど、その裏にはスペースがあるように見えてしまう。それでベンゼマとかが一人で前にいたら、そこに出してしまう。
レアルの選手もやろうと思えばポゼッションサッカーができると思う。でもバルサはその心理をついているのではないかと、今日、思わされてしまった。わざと遅攻してレアルの選手を戻らせるというね。

岡田武史

――今日のゴールは速攻もありましたが?

たしかにバルサもプレッシャーをかけ、ボールをとり返して速攻で決めることは結構あるけど、トータルで考えれば時間をかけているよね。それを結果につなげている。例えば、メッシ不在であのサッカーをやって結果につながらないこともあるとする。それでも彼らがそれをやる理由のひとつに、僕はカタルーニャというのを感じるんだ。「俺たちは結果につながらなくてもレアルと一緒のサッカーは絶対にやらないんだ」というね。バルセロナには虐げられていた過去があるわけだから。だからサポーターもみんな、それを許すわけだよ。レアルと同じサッカーをやったら許さないけどね。何かカタルーニャ人の血を感じるんだよね。

――今日の結果をふまえて、リーガの行方はどうなると思いますか?

バルサが逆転する可能性は十分あると思うよ。レアルは5‐0の時に落ち込んだけど、今回もかなりいくと思う。今日の試合がターニングポイントになるかもしれない。これは強烈だったと思う。

――最後にクラシコを日本で見た方へのメッセージをお願いします。

是非クラシコを一度は生で見た方がいい。バルサがすごい、レアルがすごいって言うけど、生で見ると5倍すごく感じることができる!

※1年以上に渡る岡田ノートの連載も、中国スーパーリーグ杭州緑城の監督就任に伴い今回をもって終了させて頂くこととなりました。ご覧頂いた皆様有難うございました!

1956年8月25日大阪府生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。日本代表としてロサンゼルス五輪予選、メキシコワールドカップ予選などに参加した(24試合1ゴール)。97年に日本代表監督に就任しフランスワールドカップの指揮をとる。99年にコンサドーレ札幌の監督に就任。2000年にはJ2優勝を果たしJ1昇格を決める。03〜06年には横浜F・マリノスの監督を務め、2003年、2004年と2年連続で年間王者のタイトルを獲得。07年12月より日本代表監督に再び就任。 南アフリカワールドカップでは 日本人監督として初となる勝利を記録し、日本代表を海外開催で初となるベスト16に導いた。

Photo: Koichiro MATSUI
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