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みどころ・試合内容 /
2016年12月5日 放送

みどころ・試合結果

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2016年最後のビッグマッチを緊急放送!

WBO世界S・フェザー級タイトルマッチ

ワシル・ロマチェンコ

2階級制覇王者

ワシル・ロマチェンコ

(ウクライナ)

ニコラス・ウォータース

元WBA世界フェザー級チャンピオン

ニコラス・ウォータース

(ジャマイカ)

スペシャルゲスト:4階級制覇王者 ローマン・ゴンサレス

スペシャルゲスト:4階級制覇王者 ローマン・ゴンサレス

長谷川穂積

  • みどころ

ウクライナの天才 vs ジャマイカの強打者
王者のスピードと技にアドバンテージ

 史上最速となるプロ7戦目(6勝4KO1敗)で世界2階級制覇を成し遂げたウクライナ出身の技巧派サウスポー、ワシル・ロマチェンコ(28=ウクライナ)と、27戦26勝(21KO)1分、KO率78パーセントを誇るジャマイカの強打者、ニコラス・ウォータース(30=ジャマイカ)という好対照のカードだ。11対2のオッズが示すようにロマチェンコのスピードとスキルにアドバンテージがあるが、体格とパンチ力で勝るウォータースがパワーでねじ伏せる可能性もある。
 ロマチェンコは08年北京大会、12年ロンドン大会と五輪を連覇したほか世界選手権も09年と11年を連続で制覇している。アマチュア戦績は397戦396勝1敗(諸説あり)というから驚きだ。プロ転向に際して「デビュー戦で世界挑戦させてほしい」と願い出たエピソードが残っている。その自信を表すように初陣で世界ランカーに圧勝したロマチェンコは2戦目で世界挑戦を試みたが、体重超過のオルランド・サリド(メキシコ)に12回判定負けを喫してしまった。長丁場を過剰に意識して前半をセーブし過ぎたことが敗北の主因といえた。3ヵ月後、WBO世界フェザー級王座決定戦に出場したロマチェンコは、今度はゲイリー・ラッセル(アメリカ)をスピードと技で封じ込め、最終回にはKO寸前にまで追い込んで戴冠を果たした。前戦の反省を生かした戦いぶりで、この時点ですでにプロの戦い方をマスターしたといっていいだろう。その後、3度の防衛戦で圧勝したが、期待の割に醍醐味を欠いた印象があったのも事実だ。今度はそうした声が届いたのだろうか、今年6月のローマン・マルチネス(プエルトリコ)戦のロマチェンコは見違えるほど積極的な試合運びをしたすえ、5回に鮮やかなコンビネーションで仕留めてみせた。最速の2階級制覇という記録だけでなく、見る者の記憶に刻まれる戦いをしたわけだ。プロとして確実にスケールアップし、存在感を増していることが分かる。
 対するウォータースはAXE MAN(木こり、斧)というニックネームを持つハードパンチャーで、フェザー級時代にはWBA王座を3度防衛した実績を持っている。なかでも2年前に元5階級制覇王者のノニト・ドネア(フィリピン)を倒した試合は圧巻で、一気にウォータースの評価を高めることにもなった。ドネアが「パンチが強いだけでなく賢かった」と振り返ったように、3回に右アッパーでダウンを奪うなど攻撃の幅広さをみせた試合でもあった。惜しまれるのは次戦(15年6月)のミゲール・マリアガ(コロンビア)とのV4戦で体重オーバーのため失格し、一気にブレークできなかった点である。試合ではアマ時代に苦杯を喫したマリアガからダウンを奪って圧勝したものの、その年の秋に決まりかけていたロマチェンコとの統一戦を棒に振ることにもなったからだ。もしも1年前に両者が対戦していたら、今回のような一方的なオッズにはならなかっただろう。マリアガ戦後、ウォータースはスーパー・フェザー級に転向したが、ジェイソン・ソーサ(アメリカ=現WBA王者)と引き分けに終わった。ウォータースに同情の声が集まる判定だったが、だからといって評価を上げるほどの内容ではなかった。今年6月、ウォータースにはロマチェンコと対戦するプランが再浮上したが、このときはウォータース側が報酬アップを要求して計画が頓挫したと伝えられた。そんなこともあり、ウォータースにとっては今回の試合がソーサ戦以来11ヵ月ぶりの実戦となる。
 こうしてみると近況では明らかにロマチェンコが上を行っている。特に3度の戴冠実績を持つマルチネスを手玉にとったあとだけに、ロマチェンコ有利は当然といえよう。「ハイテク」というニックネームを持つ天才サウスポーは、前後左右に忙しく動きながら機を見て飛び込み、ボディから顔面への打ち分けを狙うものと思われる。この動きに挑戦者がついていけないようだと試合は一方的なものになりそうだ。その一方、ロマチェンコが自分よりも19センチ長いウォータースのリーチ(185センチ)と並外れたパンチ力に戸惑う可能性もある。タイミングや角度を探っているときにウォータースの右強打を浴びるようだとドネアの二の舞ということもあり得る。ロマチェンコ自身「ウォータースは評価の高い強打者なので、4回までは難しい試合になると思う」と警戒している。
 スピードとスキルのロマチェンコか、それともウォータースのパワーか。序盤から一瞬たりとも目の離せない緊迫した試合になりそうだ。

 


Written by ボクシングライター原功

  ロマチェンコ ウォータース
生年月日/年齢 1988年2月17日/28歳 1986年1月4日/30歳
出身地 ウクライナ ジャマイカ
主戦場 アメリカ アメリカ
アマ戦績&実績 397戦396勝1敗
五輪連覇、世界選手権連覇
アマ戦績は不明
英連邦大会などに出場
プロデビュー 13年10月 08年8月
獲得王座 WBOフェザー級
WBOスーパー・フェザー級
WBAフェザー級(S王座)
身長/リーチ 168センチ/166センチ 170センチ/185センチ
プロ戦績 7戦6勝(4KO)1敗 27戦26勝(21KO)1分
ニックネーム Hi-Tech(ハイテク) Axe Man(木こり≒強打者)
戦闘スタイル 左ボクサーファイター 右ボクサーファイター


スーパー・フェザー級トップ戦線

WBA SC:ジェスレル・コラレス(パナマ)
WBA   :ジェイソン・ソーサ(アメリカ)
WBC   :フランシスコ・バルガス(メキシコ)
IBF    :ホセ・ペドラサ(プエルトリコ)
WBO   :ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)
WBO暫定:ミゲール・ベルチェル(メキシコ)

 昨年10月までは内山高志(ワタナベ)がWBAのスーパー王座に君臨し、WBCでは三浦隆司(帝拳)がベルトを保持していた。WBOでは苦戦続きながらローマン・マルチネス(プエルトリコ)が王位に留まっていた。ところが、三浦がフランシスコ・バルガス(メキシコ)との激闘で9回TKO負け、WBC王座を失ったところから波瀾が始まった。今年3月にはマルチネスの防衛戦が二転三転する間にWBOに暫定王座が設置され、ミゲール・ベルチェル(メキシコ)が戴冠を果たした。4月、絶対的な強さを誇っていた内山がWBA暫定王者ジェスレル・コラレス(パナマ)に2回KO負けの不覚をとると、6月にはワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)が当たり前のようにマルチネスを撃破。その12日後、今度はWBAのレギュラー王者だったハビエル・フォルトゥナ(ドミニカ共和国)が、伏兵ジェイソン・ソーサ(アメリカ)に11回逆転TKO負けを喫して王座を明け渡すことになった。
 無風状態なのはIBF王座だけといっていい状況だが、そのIBF王者、ホセ・ペドラサ(プエルトリコ)は来年1月に22歳のホープ、ジャーボンタ・デイビス(アメリカ)の挑戦を受けることが決まっている。元世界5階級制覇王者、フロイド・メイウェザー氏の秘蔵っ子でもあるデイビスは16戦全勝(15KO)と勢いがあり、ここでも波瀾が起こる可能性がある。
 このほか大晦日にはコラレスと内山の再戦が決まっており、ここでコラレスが勝つようだとロマチェンコとの統一戦が計画されそうだ。WBC王者のバルガスは激闘の疲労とダメージから休養中だが、復帰後は三浦との再戦や2位のミゲール・ローマン(メキシコ)、6月に引き分けたオルランド・サリド(メキシコ)らファイターが手ぐすね引いて待っている。