ドキュメンタリー

ノンフィクションW 神様のビリヤード　～フィリピン・運命を変えた1本のキュー～

知られざるビリヤード大国・フィリピンのスター選手、エフレン・レイズに密着。国民的人気を追うとともに、圧倒的な強さの秘密や、ビリヤードに懸けるレイズの思いを探る。

　日本で今、ブームが再燃しているビリヤード。アメリカで盛んな競技だが、アジアの知られざるビリヤード大国がフィリピンだ。その理由は太平洋戦争後のアメリカによる占領政策にある。「3B」と呼ばれるスポーツ「Basket Ball（バスケットボール）」「Boxing（ボクシング）」「Billiard（ビリヤード）」を民衆に普及させ、新米感情を高めたのだ。以来、ビリヤードはフィリピンの代表的なスポーツのひとつに成長した。それを象徴する国民的英雄が、世界最高峰のプレーヤー、エフレン・レイズ。相手のプレーを徹底的に読むタフな心理作戦、手玉を糸で操っているようなテクニック…。レイズのプレーは独特で、フィリピン国民たちは、本場アメリカのビリヤードシーンも席巻するその飛びぬけた強さに熱狂する。かつてアジア最大の米軍基地があり、アメリカの影響下から自らの道を模索しながら発展してきた国、フィリピン。そのひとつの側面をレイズの半生を通してあぶり出していく。

＜番組解説＞
2011年7月、東京で行なわれたビリヤード「ジャパンカップ」でひときわ観客の注目を集めた選手がいた。“ビリヤードの神様”57歳のエフレン・レイズだ。フィリピン出身のレイズは貧しい少年時代からビリヤードを始め才能を発揮、9歳にして専属スポンサーを獲得し、30代でアメリカに渡ると、1999年、ついに世界選手権で優勝を果たし世界の頂点に立った。
フィリピンの国民的スターになったレイズは、今でも下町をまわり、子どもたちにビリヤードを教えて回っている。その姿に密着するとともに、英雄レイズに憧れる人々に話を聞く。そして2011年9月、世界選手権「ワールド・プールマスターズ」がマニラで開催された。フィリピン国民の大声援に包まれて躍動するレイズのプレーを追う。次世代の選手も台頭してくる中で、レイズの背負うものとは何か？その熱い思いに迫る。