



シネマトゥデイ/高野広美

小学生のころ、黒澤明監督の映画の撮影現場を見学した行定少年。スクリーンに映し出されたいつも目にしている風景は、まるで戦国時代そのもののように感じられたという。深い感銘を受けた行定少年はやがて成長し、「20世紀少年」の堤幸彦監督のアシスタントとして映像の世界に入った。
上京して間もない行定監督がアルバイトしていたのは、なんとAKB48のプロデューサー、秋元康の事務所。当時は秋元氏が手掛けたおニャン子クラブの全盛期。残念ながら、秋元氏は行定監督のことを覚えていなかったとか。

行定監督の映像へのこだわりようは、ワンシーンのために何テイクも何テイクも撮ることでも有名。極寒の北海道で撮影された「北の零年」では、国民的大女優である吉永小百合にも行定式スパルタを敢行! 吉永のシーンももちろん、50テイクを超えるほど撮り重ねたという。
三島由紀夫の大河ロマン、「豊饒の海」四部作から第一巻を映画化した「春の雪」。三島最後の作品で代表作ともいえる本作には、かねてよりフランシス・フォード・コッポラ監督やチェン・カイコー監督が映画化への意欲を見せていた。しかし、「日本の監督で」との製作側の強い希望から、行定監督に白羽の矢が立てられたのだ。