大賞 2012年3月ドラマ化
「エンドロール 〜伝説の父〜」福島カツシゲ(ふくしま かつしげ)氏
- あらすじ:
- もし、人生が一本の映画だったとしたら、エンドロールに流れる名前は、いったい、どんな名前が出てくるのだろうか?父(タダシ)の七回忌で実家に帰ってきた息子(ケンジ)は、本棚にあったアントニオ猪木の本を手にして、父が亡くなる前に現れたユウジの事を思い出していた。「俺が子供だったからって、よくあんなウソついたよな。」父と母の同級生だったユウジは、ケンジにとっては衝撃的にムチャクチャな男だった。そんなユウジが仕切る父の七回忌『タダシ祭』が、もうすぐ始まろうとしていた。
- プロフィール:
- 1966年生まれ、大阪府出身。コメディアン。
<ドラマW「エンドロール〜伝説の父〜」>
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- 脚本 :
- 福島カツシゲ、石井裕也
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- 監督 :
- 石井裕也(川の底からこんにちは、ハラがコレなんで)
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- 音楽 :
- 渡邊崇
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- 出演 :
- 中村獅童、萩原聖人、板谷由夏、池松壮亮、村川絵梨、梶原善、稲川実代子、田島令子、螢雪次朗、六平直政 ほか
- 放送予定日:2012年3月
優秀賞
「オーバーホール」 澤 美奈(さわ みな)氏
- あらすじ:
- 裏社会の案件ばかりを扱う弁護士、橘リサ。15年前に保険金目的で殺された妹の形見の懐中時計と共に、リサの時間は止まっていた。ひょんなことでアンティーク時計を偏愛する喫茶店店主に出会い、オーバーホール(分解修理)を頼むことに。一方、リサは無差別通り魔事件の犯人、深沢紗枝の弁護人となる。何も語ろうとしない紗枝の過去を追うリサ。形見の懐中時計が再び時を刻み始めた時、紗枝の事件と妹の死の真相が明らかになる。
「猫を探しています」 多和田 久美(たわだ くみ)氏
- あらすじ:
- 迷子の愛猫・クロを探す遼子。だがいつしか自身の思いや過去を探すことに。断ち切れない不倫の恋人への思い、自殺したはずの父との再会。失意しかない。傷心の井本やクロ探しで出会った人々の哀しみと強さ、いつも悠々としていたクロの姿が、だが行き場のない思いを変える。恋人に別れを告げる遼子。クロがくれた出会いと別れ。そして哀しかった思い出が今、奇跡となって現れた。猫を探して、遼子はこれからの大切な時間を見つけた。
第4回WOWOシナリオ大賞 概況
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- ●応募資格 :
- プロ・アマ問わず、共同脚本可
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- ●募集期間 :
- 2010年2月23日〜2010年9月30日
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- ●応募総数 :
- 587編
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- ●選考委員長:
- 崔 洋一氏(映画監督)
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- ●選考委員 :
- 奥寺佐渡子氏(脚本家)、椋樹弘尚氏(プロデューサー)、野村正昭氏(映画評論家)、
峯崎順朗(WOWOWドラマ制作部長)
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- ●過去の大賞:
- 第1回「Go Ape ゴー・エイプ」 杉山嘉一氏(『HIRAKATA』『南の島のフリムン』)
第2回「蛇のひと」 三好晶子氏
第3回「仄かに薫る桜の影で」 福島敏朗氏
選 評
- 選考委員長:崔 洋一氏(映画監督)
- 映像化される前提が作品全体のレベルアップに繋がっていることは喜ばしい限りである。それは、同時に安易な“傾向と対策”に厳しい視点を持つ選考基準ともなる。時代の息吹きを受け現在進行形の様々な“ドラマ”を描くこととは、作者たち(応募者たち)がトレンドや鋭い観察眼を持ってシナリオに具現化する質が何よりも大切であるということだ。作品の瑞々しさと力とは、作者の切り口、すなわちこの世界をどう捉えているのかということを様々なジャンル、スタイルで伝えてくれているのか否か、ということだろう。
大賞に選ばれた『エンドロール 〜伝説の父〜』(福島カツシゲ)は文句のないエンターテインメントであり、受け手の喜びを職業的な計算とは違うスピーディーなテンポで活写し、小気味が良い。余命いくばくない、極々平凡な父が、息子に残したい遠慮がちな個人史がいつの間にか、かつての級友と妻により変質し、トリックスターならぬ、英雄譚に化けていく様は笑え、そして泣ける。優秀賞『猫を探しています』(多和田久美)は人間の内面を力づくではなく、ひとのやさしさを日常的でリアルな筆致で描いた秀作である。人生の伴侶とも呼べる猫の失踪と我が身の不倫をパラレルな事象ではなく、等身大の女の人生の一こまとして、哀切感から希望へと導いている。大人のドラマとして読み応えがあった。同じく優秀賞『オーバーホール』(澤美奈)は、文明の歪みに生きる“現代人”を複雑な関係性からあぶり出す意欲作である。幼児期の家庭内暴力がすべての始まりであるが、そこには荒んだ心象風景を今ある人生から乗り越えようとする、ひとびとの葛藤劇が確かにある。
【崔 洋一氏 プロフィール】
1983年『十階のモスキート』で映画監督デビュー。1993年『月はどっちに出ている』で各映画賞を総なめに。2005年『血と骨』では日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞。2009年『カムイ外伝』では初のアクション時代劇に挑戦した。現在、日本映画監督協会理事長。
- 選考委員:奥寺 佐渡子氏(脚 本 家)
- 依然、応募にあたり「この賞の傾向と対策」を考えている方々もいるかもしれない。結果からいえば今回も「傾向はない」。なんでもありだ。次回もそうあることを願う。
『エンドロール〜伝説の父〜』スピーディーな掛け合いの妙、行間ににじむ情、大いなる茶目っ気。風通しのよい好編だ。 『猫を探しています』肉親との別れ、他人との出会いそれぞれに個性が光る。主人公の心のうちをつぶさに描きながら、同時に映像的拡がりを感じさせた。『オーバーホール』傷つけられた子どもたちのその後という今日的な問題に、易きに流れることなく取り組んだ。キャラクターの入念な作り込みに説得力がある。
【奥寺 佐渡子氏 プロフィール】
1993年『お引越し』にてデビュー。同年TVドラマ「お茶の間」を全話手掛ける。1995年『学校の怪談』で日本アカデミー賞優秀脚本賞受賞。近作は、『時をかける少女』、『しゃべれどもしゃべれども』、『サマーウォーズ』など。
- 選考委員:椋樹 弘尚氏(プロデューサー)
- 今回の選考には良い意味で、大変苦戦させられた。例年以上に、どの作品も映像化して観られることを意識していたように感じた。そんな選ばれし脚本の中でも、大賞の『エンドロール 〜伝説の父〜』は軽妙な中にも計算された会話のキャラクターたちに、映像を連想させる躍動感があった。ラストの裏切り方も心地よく魅力的な脚本だった。『猫を探しています』は猫を探す主観世界と社会の希薄な接点のみで読ませる作者の力量は圧巻。無理にお話を展開させない所に作者の明確な視点を感じた。『オーバーホール』の気の利いたセリフ回しやキャクターも魅力的。一見無謀な人物設定は確実にテーマを掴みにいった結果なのだろう。
【椋樹 弘尚氏 プロフィール】
映画『居酒屋ゆうれい』『小さき勇者たち〜ガメラ〜』『ブタがいた教室』、WOWOWドラマW「結婚詐欺師」「Go Ape ゴー・エイプ」プロデューサー。現在、株式会社ジャンゴフィルム製作部長 兼 エグゼクティブプロデューサー。
- 選考委員:野村 正昭氏(映画評論家)
- 最終選考に残った候補作は11本。最終選考委員は5名。本賞を含めて今までにも幾つかの脚本賞に関わった経験があるが、驚いたことに今回は最終選考に残った11本の作品全てについて、5人のうち誰かから推薦の声があがった。こんなことは初めて。これは全体のレベルが高かったという事実と事務局の面白い作品を逃したくないという熱意と努力とが一致した結果だと思う。大賞受賞作『エンドロール 〜伝説の父〜』はラストの仕掛けも含めて、その映像化が本当に楽しみな剛腕の一作だし、『猫を探しています』も『オーバーホール』も、よく練りあげられた秀作だった。惜しくも賞は逃したが『僕はビニール傘でいい』『ココロマリの手毬唄』『お母ちゃん』『バージン・ヘルス』なども、今後の活躍に期待したい。
【野村 正昭氏 プロフィール】
東映洋画宣伝室、広告代理店勤務を経て映画評論家に。「キネマ旬報」「月刊シナリオ」などに執筆。毎日映画コンクールや城戸賞の審査員としても活躍中。




