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第10回WOWOWシナリオ大賞 概要

第10回「WOWOWシナリオ大賞」最終選考対象作品

「洛中洛外ソロウェディング」新井 まさみ
「戦力外のエース」内野 行雄
「変らない太陽」韓 忠民
「BABY YOU CAN」木村 真生
「月面のエチュード」竺原 寛明
「のぼる」高島 麻利央
「名もなき蛇」滝澤 晶子
「食い逃げキラー」舘澤 史岳
「Heal Hero School」宮上 幹也
「沈黙の審判」和田 康友

(応募者名50音順で掲載)

最終選考は、映画監督の崔洋一氏、脚本家の大石哲也氏、渡辺千穂氏、映画評論家の野村正昭氏、当社ドラマ制作部長・井上衛 の計5名が行います。
大賞作品(1編)には、500万円が贈られ、2017年度中の映像化を予定しております。また、優秀賞作品(3編)には、それぞれ100万円が贈られます。
最終選考の結果については、2017年3月に発表する予定です。

第9回WOWOWシナリオ大賞 受賞作一覧

大賞2017年3月ドラマ化決定/賞金500万円贈呈

「稲垣家(いながきけ) の喪主(もしゅ) 」 小山(こやま) ゴロ氏

あらすじ:
宙太はあがり症が悩みの小学2年生。大好きなジイジの葬儀の日、父・幸太郎が極度に緊張し喪主の挨拶をする姿を見て、自分のあがり症は遺伝だと確信する。宙太が喪主の挨拶をする日はまだずっと先の話だが、稲垣家には男運がないアラフォーの伯母・杏子と売れない漫画家の叔父・脩二がいる。このままだと将来、両親以外に伯母と叔父の喪主も務める事になる…そう思うと不安になる宙太は、2人に早く結婚してもらおうと奮闘する。

優秀賞賞金各100万円贈呈

「50才(さい)で、カフェ始(はじ)めました。」 さいこ りえ氏 山口(やまぐち) 智(さとし)氏

あらすじ:
舞台は京都。母親の介護に追われ、何もしないまま50才を迎えてしまった片桐さわ子。母親が認知症になったことを、これ幸いと施設に預け、会社を辞め、夢だったカフェを勢いでオープンさせるが、現実は厳しく客は来ない。そんなある日、東京で女優をしていた妹、貴子が仕事がなくなり帰ってくる。「母を捨てた」と貴子に責められるさわ子だが、心折らずカフェを続ける。そんな姿が、夢破れた貴子や周りの人々に変化をもたらす……。

「刑務所(けいむしょ)の土(つち)」 牧(まき) 圭一(けいいち)氏

あらすじ:
岡山刑務所の無期囚、花田は刑務作業で備前焼を作る工場に配役される。花田は指導役で受刑者の八巻、刑務官の黒石などの元で、備前焼を作る技術を上達させる。備前焼の質は高く、理由は刑務所内で採掘する土が稀有に良い土であったからだ。しかし土の評判は所外に広まり、危機をむかえる事もあったが、花田や八巻、黒石の必死な想いで土を守り抜く。時は流れ、仮釈放になった花田は四十年ぶりに出所する。備前の名人になっていた。

「mind(マインド) dive(ダイブ)」 薮野(やぶの) ゆうき氏

あらすじ:
狭い部屋に気絶している少女と、男の死体。男はなぜ死んでいるのか、少女の回復を待てば謎は明らかとなるはずであった。が、少女は全く目覚めない。少女の昏睡の原因を求め、特殊医療機関の不入斗は少女の記憶への潜入を行う。少女の記憶の中で、少女の数々の醜悪な悪行が明らかとなるも、不入斗は昏睡の原因特定と除去に成功する。 が、少女は全く目覚めない。どうすれば少女を救えるのか、少女の記憶で見た事実の本当の意味を探る、2度目の潜入が実行される。

第9回WOWOWシナリオ大賞 概要

  • ●応募資格 :
    プロ・アマ問わず、共同脚本可
  • ●募集期間 :
    2015年3月19日~2015年9月30日
  • ●応募総数 :
    424編
  • ●選考委員長:
    崔洋一(映画監督)
  • ●選考委員 :
    大石哲也(脚本家)、渡辺千穂(脚本家)、野村正昭(映画評論家)、青木泰憲(ドラマ制作部長)
  • ●過去の大賞:
    第1回「Go Ape ゴー・エイプ」 杉山嘉一氏(『HIRAKATA』『南の島のフリムン』)
    第2回「蛇のひと」 三好晶子氏
    第3回「仄かに薫る桜の影で」 福島敏朗氏
    第4回「エンドロール ~伝説の父~」 福島カツシゲ氏
    第5回 該当なし
    第6回「愛の告発」 香坂隆史氏
    第7回「十月十日の進化論」栄 弥生氏
    第8回「双葉荘」川崎 クニハル氏

選 評

選考委員長:崔 洋一氏(映画監督)
 レベルの平均化と、物語の安定化が少々気になった。残念ながら最終選考対象作品に10代、20代の若き書き手がいなかった。もちろん、若ければ良い、と言うことではない。だが、急進的で、実験性にとみ、既存のテレビドラマを凌駕するような質と出会うことを求める私たち選考委員は新しい世界観と出会うことを厭わないのである。
 大賞の「稲垣家の喪主」は、少々小生意気で小心者の子供が主人公であり、その家族が彩りと群像劇を構成するのだが、くすりとくる暖かい笑いを評価したい。久世光彦の様な演出家と組めたら、もっともっと面白くなる。優秀賞「mind dive」は、もしかしたら、別の媒体、例えばコミック化され、それを原作としてドラマ化などを考えると、スリリングな脳内コントロール展開が生きてくる。  同じく優秀賞「刑務所の土」。書き手の誠実な筆致が高い評価を得た。まさしく、正統派の重厚なドラマと言える。「50才で、カフェ始めました。」。何だか、身につまされつつ、ボケツッコミの乾いた笑いもあり、主人公の心の移ろいは好感が持てる。淡泊な味わい、つまり大人のドラマである。
 さて、本賞は、来年には10年の節目を向かえる。すべての応募者にとっては正念場であるのは当たり前。この一作でテレビドラマを変えてやる、との気高き冒険者を心より待っている。

【崔 洋一氏 プロフィール】
1983年『十階のモスキート』で映画監督デビュー。1993年『月はどっちに出ている』で各映画賞を総なめに。2005年『血と骨』では日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞。2009年『カムイ外伝』では初のアクション時代劇に挑戦。2014年「銀河英雄伝説 第四章 後篇 激突」の舞台演出も手掛けた。現在、日本映画監督協会理事長。WOWOWシナリオ大賞創設時より選考委員長を務める。

選考委員:大石 哲也氏(脚本家)
 残念ながらシナリオライターとして脅威を感じる作品は殆どありませんでした。構成力や台詞のテクニックはある程度あっても、如何せんドラマと人間が薄い。もっともがき苦しんで推敲を重ねることが大切なのではないでしょうか。大賞作『稲垣家の喪主』は読み手に面白がってもらいたいという作家の想いが強く感じられました。ありがちなお話を子供目線で描いてる点もユニーク。『刑務所の土』は構成もしっかりしており、台詞も所々深いものが感じられました。悪人が一人も出ないという問題点を差し引いてもプロとして十分通用するレベルだと思います。正直僕はこれが一推しでした。『50歳で、カフェ始めました。』は題材に派手さはないけれど、一番展開感があり、ヒロインの悲哀から滲み出るシリアスさとユーモアのバランスが絶妙でした。『mind dive』はどこかで観たような設定、お話の羅列でしたが、ユーモアのセンスは魅力的だと感じました。

【大石 哲也氏 プロフィール】
脚本家。第一回読売テレビシナリオ大賞受賞。代表作に映画「デスノート前後編」「BECK」、テレビドラマ「ドン★キホーテ」「遺留捜査」「連続ドラマW スケープゴート」他。

選考委員:渡辺 千穂氏(脚本家)
 全体的に平均点は高かったです。ですが、何かが突出しているという脚本はなかなか見受けられませんでした。新しさを感じない、既視感がある脚本も多かった。勿論、新しさを一番に求めているわけではありません。普遍的な物語を描くのもアリだし、「○○っぽい脚本」を書いてはいけないわけではない。ただ、本家の「○○」を大きく超えなければ勝ち目はないということです。
 大賞の「稲垣家の喪主」の強みは、子供目線でこの物語が描かれていたことと映像が目に浮かぶという部分にあったと思います。 「刑務所の土」は、自然な会話の中で様々なことが説明されており、完成度が高かった。静かな物語でしたが惹き付けられました。
 次回は、「これが書きたいんだ!」「これを伝えたいんだ!」「これが作りたいんだ!」という叫びが思い切り聞こえて来るような脚本を読みたいです。

【渡辺 千穂氏 プロフィール】
2002年連続ドラマ「天体観測」で脚本家デビュー。主なテレビ脚本に「名前をなくした女神」「ファースト・クラス」、主な映画脚本に「レインツリーの国」「植物図鑑」など。今秋放映のNHK連続テレビ小説「べっぴんさん」の脚本を担当。

選考委員:野村 正昭氏(映画評論家)
 全体的な水準としては、前回を明らかに上回り、最終選考に残った作品は、どれも読み応えがあった。…しかし、どれも決定打に欠けるというのが、正直な感想だった。
 これが脚本のみを議論の対象にするのならば、事態は全く別の方向に進むのだろうが、WOWOWシナリオ大賞受賞作は、映像化が絶対の前提条件になる。願わくば、受賞作が例年以上の細心の配慮のもとに映像化されることを祈りたい。
 その記念すべき受賞作「稲垣家の喪主」は、主人公である小2の子供の存在が、大人の雛型になりかねないのではと懸念した。いわゆる、すれた子役の芝居しか想像できなかった筆者の不明を恥じるばかりだが、その点さえクリアすれば文句なし!優秀作3作は、その着想といい、構成力といい、大賞にひけをとるものではなく、惜しくも選にもれた6作も実に面白かった。来る第10回では、さらなる未知の世界への飛躍を望みたい。

【野村 正昭氏 プロフィール】
映画評論家。東映洋画宣伝室、広告代理店を経て現在に至る。毎日映画コンクール、城戸賞、芸術選奨文部科学大臣賞(映画部門)の選考委員を務め、「キネマ旬報」「月刊シナリオ」などに執筆。