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真実の発信が、その雑誌の生命だった。

監督 マーティン・スコセッシ Martin Scorsese

ニューヨーク大学で映画を学び、67年初の長編映画「ドアをノックするのは誰?」で注目される。76年、「タクシードライバー」がカンヌ国際映画祭のパルム・ドールを受賞し大反響を呼んだ。以後、「ニューヨーク・ニューヨーク」「レイジング・ブル」「キング・オブ・コメディ」「グッドフェローズ」といった多くの作品を生み出す。2006年、「ディパーテッド」で第79回アカデミー賞において監督賞・作品賞を受賞。

マーティン・スコセッシ

ナレーター 渡辺 謙 Ken Watanabe

1959年生まれ。79年、演劇集団・円に入団。84年の篠田正浩監督作「瀬戸内少年野球団」でスクリーンデビュー。87年NHK大河ドラマ「独眼竜政宗」に主演し、国民的なスターとなる。03年にはトム・クルーズ主演の「ラスト・サムライ」で、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされるなど、国際的に活躍する映画俳優である。2015年春、ミュージカル「王様と私」でブロードウェイ公演の主役を務める。

渡辺 謙

監督 デヴィッド・テデスキ David Tedeschi

編集者として、TV番組「TV Nation」、「The Awful Truth」を手がけ、映画「ピネェロ」、「エル・カンタンテ」に参加。その後マーティン・スコセッシが監督するドキュメンタリーの多くに編集者として携わって来たが、今作品はスコセッシ監督との初の共同監督となった。また「ノー・ディレクション・ホーム」と「ジョージ・ハリスン・リヴィング・イン・ザ・マテリアルワールド」ではエミー賞にノミネートされている。

デヴィッド・テデスキ

編集者 ロバート・シルヴァーズ Robert Silvers

1929年ニューヨーク生まれ。報道官としてキャリアを始め、1959年〜1963年は“Harper's Magazine”で共同編集者を務める。その後1963年の創刊から"ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス"の編集者として、創刊50周年を迎えた文芸誌を支え続けている。

ロバート・シルヴァーズ

1963年の創刊からアメリカの代表的な雑誌の一つで知的層はほとんどが愛読していると言われる文芸誌を
自身も創刊当初からの定期購読者であるマーティン・スコセッシがその歴史を紐解く。

文芸誌「ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス」の表紙には「ニューヨーク・レビュー」の題字が大きく「オブ・ブックス」が小さく表記されている。理由は書評の枠を超え毎号書評でない題材も掲載しているからだ。それは編集者ロバート・シルヴァーズが興味を持つ題材で、科学やアート、文芸や人権、政治、戦争など多岐にわたる。他の雑誌や新聞の掲載するトレンドや意見に左右されず、彼は"真実"を発信し続ける。
この雑誌の寄稿者たちもロバートと同じ姿勢だ。自分自身の目で見て感じたことを他人の意見に左右されることなく記事にする。彼と寄稿者との信頼関係があるからこそどんな真実も勇気を持って掲載できるのだ。時には抗議の手紙が大量に送られてくるが、雑誌の姿勢はいつの時代も変わらない。そんな首尾一貫した信念を持ち続けるため、創刊当初から多くの困難に直面しそのたびに挑戦し続けてきた彼らの情熱と使命感であふれた50年の歴史を描く。 <制作国>日本、アメリカ、イギリス

ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックスとは

半月毎にニューヨークで刊行される老舗文芸誌。発行部数は世界で13万5千冊以上。書評の枠を越えた内容は、文学・経済・科学・芸術・政治など多岐に渡り、アメリカのインテリ層を中心に愛されている。1963年ニューヨークの出版ストライキに触発されたロバート・シルバーとバーバラ・エプステインが共同で編集し出版された。当時の社会問題や時流を反映する出版物を影響力のある作家たちが論ずるという、今までにないタイプの雑誌で、出版後も反響が高く、続刊の運びとなった。2006年にバーバラが他界、現在はロバートが単独で編集を続けている。13年に出版50周年を迎えた。60年代から21世紀初頭までアメリカ社会に多くの疑問を投げかけ、社会問題を広く国民に知らしめる役割を担った。出版当初からほかの雑誌や思想のトレンドに流されない、独自の意見の追及を徹底している。

ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス

「ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス 50年の挑戦」をより一層楽しむために…。
作中に登場する“知っておきたい”事件、人物をご紹介。

知っておきたい8つの事件

ウォール街を占拠せよ(2011年)

1.ウォール街を占拠せよ(2011年)

世界有数の金融街、ニューヨークのウォールストリートで2011年9月19日に始まった一連の集団抗議活動の総称。アラブの春の民主化運動に刺激を受け、ネットの呼びかけで集まった総勢1万〜2万人もの市民らが集まり、拡大する貧富の差や失業率に抗議運動を繰り広げた。

2.新聞のストライキ(1963年)

1962年12月8日から1963年3月31日までの114日間続いた、ニューヨークでの新聞社職員によるストライキ活動。コンピューターによって自動化された植字機能ができたことで、自らの職を失うと恐れた1万7千人もの新聞社員が、抗議目的で、ニューヨーク市内7社の日刊紙の刊行を一時的に休止した。

3.エジプトカイロ(2013年)

2013年7月、エジプトで政変が起こり、大統領が軍隊によって権限を奪われた。このときのムルシ大統領は、30年続いたムバラク独裁政権を倒し、11年に「エジプトの春」とよばれた民主的な革命で選ばれた。ところが、経済の行き詰まりで各地にデモが頻発する事態に陥ってしまった。軍の暫定政府は8月、デモ隊の約1000人を殺害、警察も死亡した。これに抗議するイスラム教徒の暴動が起き、警察署や教会が襲われるなど混乱が続いた。

4.ベトナム戦争&イア・ドラン警告の償いの代償

インドシナ戦争後、南北に分裂したベトナムで発生した米ソの代理戦争。南ベトナム解放民族戦線(ベトコン)がベトナム共和国(南ベトナム)政府軍に対する武力攻撃を開始した60年12月に開戦とされ、75年4月のサイゴン陥落によって終戦を迎えた。イア・ドラン渓谷の闘いは、ベトナム戦争中の65年11月14日 から4日間に渡り、イア・ドラン渓谷において繰り広げられたアメリカ軍と北ベトナム軍との戦闘。北ベトナム軍の戦死者は1519人、アメリカ軍は305人が戦死し、アメリカ軍の勝利に終わった。

5.ウーマンリヴ(1960年代)

60年代後半にアメリカ合衆国で起こり、世界的に広がった女性解放運動。発端となったのは公民権運動やベトナム反戦運動で、主婦や学生が中心となり、男女の平等や抑圧的な性役割からの解放、職場における性差別の撤廃を求めて立ちあがった。その後日本にも普及し男女雇用機会均等法の誕生につながっていった。

6.成り上がり者(1998年)

『A Man in Full(成り上がり者)』とは98年に出版されたトム・ウルフの小説。アトランタを舞台に、人種など様々な背景を持つ人間たちの騙し合いや事件を題材にしたアメリカの現実をノンフィクションの手法で描き、ベストセラーとなった。小説家、ノーマン・メイラーはこの小説を酷評し、『A Man Half Full(半成り上がり者)』という寄稿文をNYRBに掲載した。文学、あるいは小説と言える作品ではなく、ジャーナリズムあるいはエンターテインメントに属するものだという理由が根底にあった。ウルフもまた、アメリカの作家が現実の社会を見据え、伝えていないと、メイラーら、作家たちを批判している。

7.NYセントラルパーク事件(1989年)

1989年4月、29歳の白人女性がセントラルパークをランニング中に激しい暴行とレイプの被害にあい、14歳と17歳の黒人少年を含む数人が逮捕された。逮捕時に自白したビデオが証拠となり、少年たちに7年から11年の実刑判決が下された後、33歳の男性が真犯人であることがDNA鑑定により発覚した。少年たちの有罪の裏には人種差別の存在があったとして大きな話題を呼んだ。

8.サラエヴォ包囲(1992年)

セルビア人に設立された事実上の国家スルプスカ共和国がユーゴスラビア人民軍(VRS)とともに、ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエヴォを包囲した事件。ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争内の一戦闘であり、92年4月から96年2月まで続いた。

知っておきたい15名の人物

スーザン・ソンタグ

1.スーザン・ソンタグ

作家、批評家、小説家、社会活動家、映画製作者。1933年ニューヨーク州生まれ。「隠喩としての病い」(78年)などの著書で知られる。シカゴ大学を卒業後、ハーバード大、英国オックスフォード大などで学び、後にニューヨークに戻って教鞭を取ったり、著述業に勤しんだりした。リベラル派の人権問題のオピニオンリーダーとして注目され、ベトナム戦争やイラク戦争に意義を唱えた。

2.ノーム・チョムスキー

言語学者、哲学者。1928年フィラデルフィア生まれ。「現代言語学の父」と評され、言語学者として、数学や心理学、コンピュータサイエンスなどの学問に影響を与えたばかりでなく、政治やメディア、戦争に関する著作は100冊を超える。とくにベトナム戦争ではアメリカの外交政策をいち早く批判するなど、反体制派の思想家としても知られる。2011年同時多発テロ事件ではアフガニスタン爆撃に関する批判的発言で注目を集めた。

3.ゴア・ヴィダル

アメリカの小説家、劇作家、評論家、脚本家、俳優、政治活動家。1925年ニューヨーク州生まれ。政治、歴史、文学をテーマとしたエッセイなど数多くの著作を残したほか、挑発的な言動とアナーキーな政治活動で関心を集め、トークショーで政治批評を繰り広げたことでも知られた。アメリカ文学史上初めて同性愛を肯定的に扱った小説『都市と柱』(48年)を発表し、本人も同性愛者であることを公表した。

ノーマン・メイラー

4.ノーマン・メイラー

アメリカのノンフィクション作家、ジャーナリスト。1923年ニュージャージー州生まれ。第二次世界大戦での兵役体験をもとに『裸者と死者』(48年)を描き小説家としての地位を確立。フィクションとジャーナリズムを融合し「死刑執行人の歌」(79年)でピュリッツァー賞受賞。作品の内容は家父長制や性差別にあたるとフェミニストたちから批判の対象になった。84年の生涯で6回結婚し9人の子供がいる。 2007年病死。

5.ロバート“カル”ローウェル

詩人。1917年マサチューセッツ生まれ。第二次世界大戦時、徴兵拒否で逮捕された経歴を持つ。ボストン大、ハーバード大で教鞭をとり、著書にはピュリッツァー詩賞受賞「ウィアリー卿の城」(46年)がある。第二次世界大戦後、アメリカの詩人コミュニティで中心的な存在となった。67年にはベトナム反戦集会で自作の詩を朗読した。エリザベス・ビショップと親交が深く、影響を受け合っていた。

6.アイザイア・バーリン

哲学者、歴史家、教育家、ジャーナリスト。オックスフォード大学教授。1909年ロシア帝国の支配下だったラトビア・リガ生まれ。単一的なものの見方ではなく、多元主義を軸にした哲学は20世紀の先駆的な理論として、多くの学者に影響を与えた。代表作『自由論』では積極的自由と消極的自由という政治理念を論じ、NYRBの多数の寄稿文のなかで、彼の政治哲学の議論が引用されている。1997年88歳で病死。

7.ジェイソン・エプスタインとバーバラ・エプスタイン

ともにNYRBの創刊メンバー。1928年生まれのジェイソンは。ランダムハウスの編集ディレクターから転身、53年に文学編集者のバーバラ(28年生まれ)と結婚し、90年に離婚している。

8.ロバート・ローウェルとエリザベス・ハードウィック

ともにNYRBの創刊メンバー。詩人のローウェル(17年生まれ)と文学評論家で小説家のハードウィックは49年に結婚。夫は20世紀後半のアメリカ詩に大きな影響を与え、妻は大学でライティングの教鞭を取っていた。

ヤスミン・エル・ラシディ

9.ヤスミン・エル・ラシディ

エジプト在住の小説家・エッセイスト。代表作は『The Battle for Egypt』。中東の芸術や文化を発信する季刊誌に編集者として携わった。2010年からツイッターを始め、エジプト政変の情勢を伝えている。

10.レニ・リーフェンシュタール

1902年生まれのドイツ人映画監督、写真家。ナチス党大会の記録映画『意志の勝利』がナチによる独裁を正当化したとして激しく批判された。再評価の動きもあったが、イメージを払しょくできずに2003年に死去。

ジョーン・ディディオン

11.ジョーン・ディディオン

1934年カリフォルニア州生まれの小説家、エッセイスト。60年代アメリカのカウンターカルチャーや当時の若者たちの生態を徹底的に取材したエッセイは「ニュージャーナリズム」といわれ注目された。

12.ジェームズ・ボールドウィン

作家、随筆家、劇作家、小説家。1924年ニューヨーク生まれ。黒人で同性愛者というマイノリティの立場で、人種差別や性の問題を掘り下げ、公民権運動にも影響を与えた。

13.W・H・オーデン

詩人、作家、劇作家。1907年イギリス生まれ。20世紀を代表する詩人といわれ、イギリスからアメリカに移住した。ナチズムやファシズムを嫌悪し、反権威主義を貫いた。同性愛者であることも公にしていた。

14.メアリ・ビアード

ケンブリッジ大学古典学教授。1955年イギリス生まれ。女性を活動主体とする視点から、世界の歴史を再検討することを提案し、アメリカのフェミニストたちは、ウーマンリブの活動にも影響を与えた。

15.ヴァーツラフ・ハヴェル

劇作家、チェコスロバキア大統領、チェコ共和国初代大統領。1936年プラハ生まれ。「プラハの春」とよばれる、68年からの改革運動後、反体制の指導者として活動し、人権擁護のために活動、のちに大統領となる。