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杉山愛 オリジナルコラム 愛’s EYE

第329回 マクラクラン、内山ペアの活躍から探るダブルス強化

  • 2017/11/15

単複の両立、あるいはダブルスへの専念をもっと考えてもいいと思います

 日本テニス界における今年の大きな出来事の一つが、マクラクラン勉選手と内山靖崇選手の楽天ジャパンオープンテニス・ダブルス優勝でした。

 二人はまず9月のデビスカップ、日本対ブラジル戦にペアとして初出場しました。結局、敗れましたが、日本代表に二人のダブルスという心強い柱ができたと感じました。相手チームにはダブルスの強豪がいて、日本はシングルスで全勝を目指すと思われましたが、ダブルスで二人が大健闘したことで、今後のチーム事情も大きく変わったように思います。ダブルスの強化は課題でしたが、別のチームになったと言ってもいいくらいの強化ができたとも言えると思います。

 二人はその直後に楽天オープンで優勝。試合内容も良かったと思いますし、この優勝は本当に大きかったと思います。ワイルドカードでの出場でしたから、失うものも何もない、思いきりチャレンジできる精神状態で臨んだと思われますが、一つずつ勝利をものにしていく過程で、試合ごとに強くなったという印象です。いいタイミングで、いいプレーができて、いい成績が出ると、選手には自信になって、すごいスピードで実力がついていくものです。その意味で、あのような経験は重要なものなのです。

 マクラクラン選手のプレーはデ杯で初めてじっくり見たのですが、チームに選ばれたときには、どんな選手なんだろうと興味を持ちました。他競技も含めてハーフの選手の活躍が目立ち、日本人らしさを持ちながら、海外の力強さやスピード、体格のメリットも生かす例が増えていますが、まさにマクラクラン選手もその一人です。

 内山選手がシングルスで実力がついたこともダブルスにいい影響を与えていると思います。今回の楽天オープンではシングルスでも勝っていますが、それも自信になったと思います。ダブルスはもちろん固定ペアで戦う強みがありますが、シングルスプレーヤーが一人いるのも一つの強みです。技術的に安定感が増し、プレーに核ができるというプラスアルファがあるからです。二人のダブルスも、そこがうまく噛み合ったように思います。もちろん内山選手がダブルスをよく知っている選手であることも大きかったと思います。

 私も単複両方やっていましたが、シングルスとダブルスは別のものと捉えていました。雁行陣の時はシングルスで必要とされるストローク力も求められますが、それを別にすれば、ダブルスには特有の動きがあるので、シングルスプレーヤーが二人立っていても、いくらその選手たちに実力があっても、怖くないのです。やはり、プレーの引き出しの数とか動き方にはダブルスならではのものがあるのです。二人はそこを考えても力のあるペアだなと思いました。

 内山選手は単複両方プレーする選手ですが、両立の難しさがあります。シングルスのランキングが上がってもダブルスが上がらなかったり、逆にダブルスのランキングが上がってもシングルスが上がらない、ということは珍しくありません。すると、単複で出られる大会が違ってくるので、出場する大会を決める難しさもあります。両方こなすのは難しいのですが、それよりも私は両方やる利点を感じていました。何よりプレーの幅が広がります。今の日本男子では単複をこなす選手は多くありませんが、うまく両立させることは選手の頭の中にあってもいいと思います。  また、マクラクラン選手のようなダブルススペシャリストがいると、デ杯やフェド杯ではチームがガラッと変わります。チーム戦におけるダブルスの重要性はこのコラムでも何度もお話しさせていただいていますが、そこでスペシャリストをあてにできるかできないかで、まったく違うチームになるのです。

 ダブルスに専念するとなると、選手としての将来が狭まるのは確かです。特に若い頃は、なかなか専念する決断は難しいでしょう。ただ、色々な要素を踏まえると、ダブルス専門という選択もアイディアとしてはありだと思います。グランドスラムで活躍できれば、高額の賞金も夢ではありません。プロとして不自由なく活動できますし、魅力ではあると思います。  世界ランキング・トップ30、20に入れば十分やっていけます。最初から世界のトップを目指してダブルス専門でやっていく、というアイディアは海外では大いにありうることですし、日本でもあっていいと思います。


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