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杉山愛 オリジナルコラム 愛’s EYE

第324回 加藤未唯選手のジャパン・ウイメンズ・オープン準優勝を振り返って

  • 2017/10/05

精神的に成長し、一つ上のレベルに行けたという印象です

 ジャパン・ウイメンズ・オープン(JWO)、東レ・パン・パシフィック・オープンと続いた女子の国際大会で最も印象に残る活躍を見せたのが、JWO準優勝の加藤未唯選手でした。
 予選の最初から、いくつも競り合いを制しました。計8試合、ダブルスを含めると10試合。予選では少し疲れも見えましたが、本戦では最後までよく動いていましたし、よく集中し、自分のやるべきことを全て出せたと思います。一つ上のレベルに行けたという印象です。

 準々決勝のクルニッチ戦、準決勝のファット戦では、どちらが勝ってもおかしくない接戦をしっかり勝ちきりました。予選から勝ち上がったからこそ、思い切ってできるところもあったと思いますが、のびのびと、チャレンジしながら自分のテニスを最後まで信じてプレーしていました。
 何より精神的な成長が見られ、それが試合を左右したと感じました。加藤選手は全米オープンの予選決勝で敗れ、くやしさのあまりラケットを投げ、電子スコアボードを壊す事件を起こしていました。コーチ陣やフェドカップの土橋登志久監督からも厳しいお叱りを受けたそうです。確かに、あのような態度は選手として人間として魅力的ではありません。そうして試合態度を見直し、それをこの大会では試合の集中に生かしました。真摯に受け止めて反省できたことが今回の結果につながったのだと思います。

 ある意味、そういう激しさを持ち合わせていることも選手には必要です。選手は誰もが負けず嫌い。ただ、それをどうやって消化し、どうやって自分のプレーに生かし、どう表現するか、起爆剤として使うかというところなのです。
 今回の加藤選手は感情を押し殺し、プレーに集中しました。感情のコントロールは選手には重要です。いい状態なら、たとえ嫌なゲームの落とし方をしてもすぐに切り替え、次のポイントに集中できますが、うまく切り替えられなくて引きずって、落ち込んだり、逆にカッカしすぎて冷静さを失ったり、ということがあり、それが自分の力を出せない要因になります。

 実際、準決勝でも大ピンチが何度もありました。第1セットを落として、第2セットも2ブレークダウンというかなり決定的な瞬間もありました。第3セットも0-3になりましたが、しっかり持ちこたえました。試合後に話を聞きましたが、耐久戦に持ち込めばなんとかなる、向こうが体力的に限界に来ている、と戦況を冷静に見ていたようです。そんな話からも、しっかりした精神状態で戦えていたことがうかがえます。
 どうしたらいい精神状態にもっていけるか、そこを今大会で習得したのだと思います。こうやるといいんだなという一つの基準が得られたことが何より大きな収穫でしょう。


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