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杉山愛 オリジナルコラム 愛’s EYE

第319回 全米オープンの見どころ②

  • 2017/08/28

大坂選手、杉田選手は前哨戦で上位選手を破って全米に乗り込みます

  2回に分けて全米オープンの見どころを書いていきます。

 今回は日本選手の全米オープンを展望します。大坂なおみ選手は、前哨戦の一つ、プレミア5のトロントで予選から勝ち上がってベスト16に入りました。2回戦では第15シードのアナスタシア・セバストワ(ラトビア)に勝っています。予選を勝ち上がり、さらに上位選手を破るというのは、選手には自信になります。痛めている腹筋の状態が気になりますが、前哨戦で試合数をこなせたことは全米に向けて大きかったと思います。

 本格的なツアー参戦、そしてグランドスラムデビューを果たしたのが去年。あまり注目されていない中で大きく飛躍しました。ところが今季の前半戦は、周囲に研究され、どこか噛み合わないところもあって、2年目のタフさを感じたことでしょう。その中で、ウィンブルドンからテニスがまとまってきて、後半戦のスタートでもしっかり戦えています。
 アメリカで育った彼女にとって、全米はホームと言ってもいい大会です。去年は初出場で3回戦進出。やりやすい場所、力を発揮しやすい環境なのでしょう。うまく噛み合えば、3回戦、4回戦、準々決勝も狙える選手です。期待したいと思います。

 杉田祐一選手は、20代後半にきて精神的な成長がそのままテニスの成績に表れていて、私もうれしく思います。気持ちの持ち方が一つも二つも上のレベルに行ったなというのが、見ていてわかります。彼自身、その変化を感じていることでしょう。
 もともと持っているものはあったと思います。すぐに上の舞台で戦えると思っていたのですが、いいときはいいけれど、悪いときはなかなか這い上がって来られないところがありました。それくらい、精神的なアップダウンが激しかったのです。そこに気づくことができて、自分で変えたのだと思います。
 これだけ変われるんだ、変わったことでこんなに違うレベルに来られるんだと、彼自身感じられたでしょう。これは彼に続く選手にも、いいお手本、教科書になると思います。テニスというスポーツはそれくらいメンタルの占める部分が大きい、ということを表す好例でもあると思います。

 サーフェスも全部で通用していますね。特にクレーで成績を出せたことが自信になったと思います。もちろんツアー初優勝も自信になったでしょう。USオープンシリーズでも、シンシナティでマスターズ1000初のベスト8入りを果たしました。しかも、第13シードのジャック・ソック(アメリカ)や「Next Gen」の一員で将来を期待されるカレン・カチャノフ(ロシア)に勝っています。こういう勢いのある選手を逆転で破るというのは素晴らしいと思います。
 杉田選手の活躍は、下の選手にも「俺も!」と刺激になったことでしょう。錦織選手は若くして海外に出るなど別格という感じですが、それとは違う視線で「国産」の杉田選手を見ているはずです。

 もう一人、土居美咲選手にも注目したいと思います。しっかりランキングをキープしていますが、最近はグランドスラムであまり勝てず、日本のみなさんにはいいところを見せられていません。彼女のポテンシャルの高さは、最近の結果とはかけ離れたところにあるはずです。
 彼女は常に冷静にクールに戦える選手で、そこが魅力でもありますが、今後は自分から気持ちを盛り上げていくことも求められると思います。淡々としているのはいいことですが、そこは紙一重で、調子がいいときはよくても調子が悪くてリズムに乗り切れないときは、自分を鼓舞したり、元気を表に出していくこと、また、そういう姿を演じる部分があってもいいと思います。

 私自身、調子の悪いときは周りから元気がないように見えていたようで、コーチでもあった母に「元気出して」と言われると、「そうか、元気ないのか、よし!」と、意識して元気を出していきました。それにつられて調子が出てきたこともあります。テニスは躍動感のスポーツなので、元気さは大事。あえてそう振る舞うことで、乗っていけるし、自分をもだませるのです。
 トップ10を見てもエネルギッシュな選手ばかりです。カロリーナ・プリスコバは一見、静かなようでいて、内側の闘志を垣間見ることができます。セレナ・ウイリアムズはもちろん、ガルビネ・ムグルッサもシモナ・ハレプも、熱いものを心に秘めているイメージです。土居選手もそうした熱さは持っていると思うので、クールさの中にも、どこかで熱さを表現してほしいですね。


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