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杉山愛 オリジナルコラム 愛’s EYE

第313回 ラケットを壊すという行為について

  • 2017/07/24

ストレスと闘う選手たち。いかに心を整理するかが問われます

 ラケットを故意に壊すことは「ラケットや用具の乱用」という違反行為にあたり、警告の対象になります。そもそもスポーツマンにふさわしい行為ではありません。
 その事実は動きませんが、では、なぜ選手はラケットを折ってしまうのか、選手は試合中、どんな精神状態にあるのでしょうか。

 試合中の選手の気持ちには本当に大きな幅があります。いい精神状態は、よく「ゾーン」という言葉で表されます。ただ、私の場合、ゾーンはテニス人生で2回くらいしか経験していません。
 これは、頭と心は冷静ですが、熱く燃えるもの、パッションは十分にあり、すごく心地よい状態です。冷静ですから、すべてのものごとがきちんと見えています。もちろん、ボールも--遅く見えるというのは大げさですが--「捕れないボールがない」という感覚です。このショットは絶対に入るとか、ここに来たら絶対にウィナーになるという確信があります。
 精神が充実している状態ですから、何が起こっても、たとえヤジを飛ばされても受け流せるでしょう。

 それに対し、悪いときは、何に対してもイライラしてしまいます。審判のジャッジにもイライラするし、観客が動くのも気になります。ボールパーソンとのボールの受け渡しのタイミングにさえ苛立つことがあります。
 普段は気にならない小さなことが気になってしまうのは、精神的に不安定な状態だからです。

 このように、試合中の心理状態は、普通の生活ではありえないくらい揺れ幅が大きいのです。
 ただでさえ自分のプレーが思い通りにいかないのに、試合では相手が“嫌なこと”をしてきます。それらが積もり積もってリミットを超えると、ラケットを投げたり、暴言を吐くような、やってはいけない行為に走ることになります。

 私は試合ではラケットを折ったことはありませんが、実は練習で思い通りにいかなくて、一度だけ折ったことがあります。
 今、引退して穏やかな生活に戻ると、あんなにピリピリすることは普段は絶対にないなと、あらためて感じます。それくらい、日常では起こりえないことがコート上では頻繁に起きている、というのは一つの事実です。

 ただ、その中でも、調子のいい選手やトップの選手は、うまくいかなくても気持ちを落ち着け、精神面をコントロールします。多くの選手がその術を持っているからこそ、ラケットを折る選手は多くないのです。
 そうは言っても、怒りをうまく処理できない若手、中堅選手もいますし、ベテランでも、あのフェデラーでさえ--ラケットを折ることはありませんが--調子がよくない時はイライラしているのが伝わってきます。

 このように、自分の精神が行動によってそのまま映し出されてしまうのがテニスの試合です。見ている方にはそこが一つの面白さでもあるのですが、選手にしてみれば、観客の前で(精神的に)裸にされているようなものなのです。
 それでも、ナダルはラケットを折ったところを見たこともありませんし、想像もできません。彼のように、そこのところを大事にしている選手は少なくありません。

 よくラケットを折る姿が見られるワウリンカも、試合のあとで用具を提供する会社に直接電話をして謝るという話を聞きました。このように、普通の精神状態に戻れば正しい行動ができる人も、コートではストレスがかかり、感情を爆発させてしまうことがあるのです。
 繰り返しますが、ラケットを壊すのはよくないことです。しかし、それくらいストレスがかかるのがテニスの試合です。したがって、精神面をコントロールする、心を整理することこそ、選手がやらなくてはいけないことなのです。

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