【フラン・ルディケ ヘッドコーチ】世界屈指の名将が語る、国を超えても変わらないラグビーの本質とは?

  • 2019/02/15

【フラン・ルディケ ヘッドコーチ】世界屈指の名将が語る、国を超えても変わらないラグビーの本質とは?

日本の選手のプロフェッショナルな姿勢には感動した
南アフリカの選手は謙虚で、日本チームと補完関係を作れるんだ

2018年度のトップリーグで躍進をみせたチームがクボタスピアーズだ。
リーグ戦ではホワイトカンファレンスで5勝2敗の好成績をあげ3位となり、決勝トーナメント準々決勝ではディフェンディングチャンピオンのサントリーサンゴリアスに26-28と肉薄した。
チームを躍進に導いたのは、南アフリカ出身のフラン・ルディケHC(ヘッドコーチ)だ。スーパーラグビーでブルズを2度の優勝に導き、HCとしてスーパーラグビーで最多となる149試合を指揮した名将は、下部リーグ降格も経験したチームを就任3年でトップチームに肉薄する強豪へと変貌させた。
世界ラグビーでも屈指の名将がみた南アフリカと日本、ブルズとクボタ、そして、国を超えて変わらぬラグビーの本質とは──。

──フランさんは日本に来て3年になりましたね。

 日本のラグビーに対する僕の見方は、物凄く変わった。日本に来る前は、日本のラグビーのレベルなどについては全く知らなかった。サントリーでプレーしていたフーリー・デュプレアは南アフリカでは僕がいたブルズでプレーしていたので、彼から日本のラグビーについての印象は聞いていたけれど、実際にここに来て、僕の見方はとても変わった。

──印象はどのように変わったのですか?

 僕が持っていた日本のラグビーに対するイメージは、アマチュアの選手がゲーム愛からプレーしている、というものだった。でも違った。僕がクボタに来てとても感動したのは、選手はグラウンドに来るとプロフェッショナル選手のように自分を追い込んで走り、トレーニングしている。でも、その選手たちは日中、会社で仕事をしているんだ。
 それこそが、僕らがチームの中に築き上げたいと思っていた環境だ。立場はプロではないというだけで、アマチュアだけど、練習にきたらプロプレーヤーのように集中して、練習後にリカバリーをして、さらにビデオセッションもしている。選手は、フルタイムでラグビーにコミットしている。敢えて言えば2つの仕事をしている。彼等はフルタイムで仕事をしているけど、仕事の後でグラウンドに来て練習して、家に帰った後もビデオで試合を観て分析の作業をしている。そして週末の2日間はフルタイムプレーヤーとしてクラブハウスに通ってくるんだ。僕は、会社員としてプレーしている日本人選手の、プロフェショナルな姿勢にとても感動した。
 日本の選手たちの優れたところは、素早く学ぶところだ。僕が来たばかりの頃はコミュニケーションに少し苦労したけど、コミュニケーションの方法が確立した後は、各選手にどうやってほしいのかを明確に説明したら、選手がすぐに学び取るようになった。その速さは感動的だ。そして、進歩していった。3年前にスタートした時から今日の状態を比べると、あらゆる面で進歩した。ゲームの質、フィールドでのデシジョンメイキング、選手のスキルレベル、物凄く進歩したよ。

──ルディケさんの南アフリカでのコーチスキルは、そのまま日本でも応用できましたか?

 ラグビースタイルという意味では、物凄く違う。ブルズは身体が大きくフォワードがすごく強いし、キックの優れた選手が多い。だからとてもシンプルに、フィジカルなパワーゲームで勝てたんだ。
 でも日本に来たら、全く違った。ここでは、ボールをキープしてアタックするのが主流だよね。スピアーズには動きの良い、スキルの高い、スピードのある選手が揃っているから、こちらでは、よりスキル重視のゲームをやりたいわけだ。僕としては、その点を理解し、抱えている選手に応じて調整した。
 あと大事なのはリーダーシップだ。人間関係を構築していないと、人に対して影響力が持てない。人に対して影響力が無いなら、人の行動を変える事は出来ない。それはどこでも同じだ。日本でも、南アフリカでも、それがコーチングの基本だ。選手との間で、強くて、良い関係性を築かなくてはいけない。信頼関係が無いといけない。ビジョンについての、クリアな絵が描けないといけない。どうプレーしたいのかを選手たちがはっきりと理解したら、あとのフォローは簡単になる。関係性が築けたら、チームのカルチャーが出来上がる。カルチャーとは、一貫していて、パフォーマンスがあり、追求し、理解される事だ。そうすれば、特別な事を作り上げる事が出来る。

──南アフリカの選手は、日本のカルチャーに合う選手が多いのでしょうか。

 補完し合う関係だと思うね。企業が賢ければ、自分たちの弱点を補完するリクルートをするだろう?FWのサイズの面で不足があるなら、2メートルのLOをリクルートする。スピードが足りなかったり、ペネトレーターが足りなかったり、デシジョンメイキングを担うSHやインサイドセンターなどカギとなるポジションが不十分だったら、リクルートで補充する方法がある。
 その際は選手の質、能力、キャラクターを精査する必要がある。サイズなど外的な情報だけでどんな選手でも取るのではなく、欲しい選手については細かく精査して、自分たちのカルチャーに合う選手を選ぶ事が大事だ。チームをより良いものにするためにね。
 僕は南アフリカの選手達をよく知っているので、どの選手が日本に合うか、または合わないか、人間性という意味で、日本に合わせる事が出来るかどうかを大事にする。なぜなら、日本は南アフリカとは違う国だからね。僕が最も学んだ事は、成功するためには、リクルートの精度を高める必要があるという事だ。

──キャラクター的に日本に合う選手は、どういう選手ですか?

 僕にとっては、良い人間は、スピアーズを良くしてくれる、という事だ。賢い人間が、スピアーズを良いチームにしてくれる。タフな人間が、スピアーズを良いチームにしてくれる。
 その判断基準は、まず人間性だ。その人は、人に何かを与える人なのか、それもと、何かを奪う人なのか。僕らとしては、何かを与える人が欲しい。日本の選手の能力を上げてくれる人。そして、永遠に記憶されるために、何かを日本に残せる人だ。
 そういう選手がリクルート出来たら、より良いカルチャーが築けるし、チームスキルも上がる。なぜなら、そういう人は、チームにプラスアルファをもたらすからだ。自分たちの事だけを考えるのではなくてね。ここに来るなら、チームを思い、日本の文化を受け入れる事だ。ここは素晴らしい国なのだからね。だから、正しい選手をリクルートしないといけない。
 そういう意味でも、スピアーズは素晴らしい選手たちをリクルートできたと思うよ。2018年度で言えば、ゲラード・ファンデンヒーファー、ドウェイン・フェルミューレン、ルアン・ボタ、彼等はカギとなるデシジョンメーカーであり、フィールド上では強いリーダーシップを発揮できる。今年、我々のチームが良い結果を出せたのは、そのおかげかもしれない。

──南アフリカの中でも素晴らしい選手を連れて来ているのですね。

 南アフリカの人間にとっては、日本は溶け込みやすい国だ。僕は、南アフリカの人間は謙虚だと信じたいし、日本人は本当に謙虚だ。ハードワーカーであり、他人をリスペクトする。僕の祖国でも、皆、そういう感じだよ。だから、ここに来ても、アットホームに感じる。家族といるように感じる。日本人とは、簡単に友達になれる。
 南アフリカで僕は子供の時から、年上の人を敬う事を教わった。順番を守る事、助けを求めている人がいたら親切に対応する事、その親切な心が謙虚な気持ちにつながる。謙虚な気持ちでいる事で、人にサービスする事が出来る。人の面倒を見る事ができる。日本では全ての人が、そのように振る舞う。

──三つ子のお子さんも、日本を楽しんでいますか?

 楽しんでいるよ(笑)。私たち家族はあらゆる瞬間を楽しんでいる。自由に、自転車に乗ったり、公園に行ったり出来る。とてもエンジョイしている。安全な国で、子供を育てる上で、怖い思いをする事は決してない。さっきも言ったけど、僕らは、日本人の規律正しい所から多くを学んでいる。素晴らしい事だね。三つ子は学校にも通っていて、多くの日本人の友達が出来ている。最初の2年間は、日本の学校に通い、今はインターナショナルスクールに通っているけど、そこでも多くの日本人の友達が出来た。本当にうれしいことだ。

──南アフリカから日本に来る人は、日本の安全を求めているのですね?

 そうだね。きちんと法律が運用されているし、人々は法律を守る。日本人は、日本人である事に、誇りを持っている。日本には日本のやり方があり、それが何百年も上手く行っている理由だと思う。日本に来る誰もが驚く事は規律正しい事、それから安全だ。バスは時間通りに来るし、電車は時間通りに発車する。人は、会議に時間通りに来る。皆、ちゃんと仕事をしている。やっている事に誇りを持っている。これは僕にとって素晴らしい経験だ。


フラン・ルディケ
1968年4月24日、南アフリカ・ポロクワネ生まれ。
21歳からコーチングの道に入り、工業デザインの教師として生活しながらラグビー指導に尽力。2000年から南アフリカ代表のアシスタントコーチ、U19コーチなどを経てブルズ ヘッドコーチとしてスーパーラグビーで2009年、2010年の2度優勝を達成。2015年ワールドカップではフィジー代表のFWコーチ。2016年からクボタスピアーズのヘッドコーチとして来日した。4児の父。


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