1位対8位の対戦は、ややもすれば勝敗が見えているものだが、この対戦はそういう事を抜きにして純粋に面白い。何と言っても、開幕間際に電撃的なトレードを行った両軍の対戦だ。NBAナンバーワンのスコアラーであるケビン・デュラントと、シックスマンとして彼を支えた元僚友ジェイムス・ハーデンが激突する。
デュラントは今季、彼の定位置とも言えた得点王の座から退いた。それによってデュラントの価値が下がるわけではなく、チームは今年もウェスタン1位の勝率を記録。ハーデンの穴はトレード相手だったケビン・マーティンが埋め、デュラントとラッセル・ウェストブルックのコンビは今年も機能した。サージ・イバカは2年連続でブロック王に輝き、のみならず初の平均2ケタ得点をマークして選手としてのグレードを一層アップさせた。
かように、サンダーはハーデンを失っても充実している。一方のロケッツはどうか。ハーデンは今季、平均25.9得点を記録して得点ランキング5位に入った。上の4人はカーメロ・アンソニー、デュラント、コービー・ブライアント、レブロン・ジェイムス。NBAを代表するスーパースターたちと肩を並べる活躍だった。シックスマンからスターターに昇格してハイスコアを挙げるとは予想されていたが、これほどまでの大躍進はなかなか想像できなかったのではないか。
ハーデンだけでなく、ロケッツには他にもスターがいる。昨季彗星のようにNBAの世界に現れ、世界中で熱狂を起こしたジェレミー・リンに加え、2年目のチャンドラー・パーソンズも甘いマスクと大きな成長を見せた得点力でブレイク中。もちろんこれだけの要素でサンダーを打倒するのは容易ではないが、1位と8位の対戦とは思えない見所溢れるシリーズになりそうだ。