バンタム級トーナメント決勝戦!
IBF世界バンタム級タイトルマッチ
IBF世界バンタム級チャンピオン
ジョセフ・アグベコ
(ガーナ)
WBCシルバー・バンタム級チャンピオン
アブネル・マレス
(メキシコ)
バンタム級トーナメント決勝戦
オッズは11対4で新星マレス有利
このカードはアメリカのケーブルテレビ・ネットワーク、ショータイムが企画した「バンタム級最強決定トーナメント」の決勝戦。4人が参加して行われた昨年12月の準決勝戦は、ジョセフ・アグベコ(ガーナ)が判定勝ちでヨニー・ペレス(コロンビア)からIBFタイトルを奪回。もう1試合はアブネル・マレス(メキシコ)が元2階級制覇王者ビック・ダルチニャン(アルメニア)に判定勝ちという結果だった。
このアグベコ対マレスの決勝戦は当初、ダルチニャン対ペレスと同日(4月)に行われる予定だったが、試合数日前にアグベコが坐骨神経痛になったため延期になった経緯がある。
こうして実現することとなった頂上決戦だが、オッズ(賭け率)は11対4で挑戦者マレス有利と出ている。意外なほど開いているという印象だが、このところのマレスの充実度を考えれば十分に考えられる数字ともいえる。
マレスはアテネ・オリンピックに出場するなど120戦112勝(84KO、RSC)8敗の戦績を残し、ゴールデン・ボーイ・プロモーションズと契約して05年1月にプロデビュー。ここまで22戦21勝(13KO)1分と順調に成長を続けてきた。唯一の引き分けはペレスへの挑戦試合でのもの。先のダルチニャン戦でも、すでにチャンピオンと同等以上の力があることは証明済みだ。スピードを生かして積極的に切り込む右のボクサーファイター型で、最近の数戦で長丁場の戦い方も身につけてきた。25歳と上り調子にあり、近い将来のスター候補生として期待を集めている。
そんなホープの挑戦を受けるアグベコは30戦28勝(22KO)2敗の戦績を誇る31歳。故国ガーナをはじめ現在の拠点アメリカ、トーゴ、ベニン、セネガル、ナイジェリア、ドイツ、イギリスなど10ヵ国で試合をした経験を持っている。また、「キングコング」の愛称で知られるが、これはミドルネームなのだという。
頑丈な体を生かした積極的な右ボクサーファイターで、7割超のKO率でも分かるようにパンチ力もある。2年前、ペレスにタイトルを奪われた試合では集中力を欠いた際にパンチを食ってダウンを喫し、それが致命点となって敗れた苦い経験を持っている。苦労して奪回したベルトだけに、そう簡単に手放すわけにはいかない。
しかし、オッズほどではないにしてもマレス有利は動かしがたいところ。アングルを変えながらスピードを生かしたボクシングを展開できればポイントを奪っていくことは可能だろう。ただし、アグベコのポテンシャル、対応能力も極めて高いものがあるだけに、予断は禁物だ。序盤、中盤、終盤とラウンドを重ねるごとにヒートアップしていくのではないだろうか。
Written by ボクシングライター原功
ノニト・ドネア
バンタム級トップ戦線の現状
WBA:亀田興毅(亀田)
WBA暫定:ウーゴ・ルイス(メキシコ)
WBAスーパー:アンセルモ・モレノ(パナマ)
WBC:ノニト・ドネア(フィリピン)
IBF:ジョセフ・アグベコ(ガーナ)
WBO:ノニト・ドネア(フィリピン)
このクラスの主役がノニト・ドネア(フィリピン)であることに異論を挟む余地はないだろう。同じ3階級制覇の亀田興毅(亀田)も、2度の戴冠実績を持つジョセフ・アグベコ(ガーナ)も、90パーセント近いKO率を誇るウーゴ・ルイス(メキシコ)も、ドネアとの比較となると厳しい。このWBC・WBO王者はS・フライ級からの参入者オマール・ナルバエス(アルゼンチン)の挑戦を受けることになっており、その仕事が終われば4階級制覇を狙ってS・バンタム級に転向する計画だ。
次期チャンピオン候補の筆頭は今回登場するアブネル・マレス(メキシコ)だろう。元王者ビック・ダルチニャン(アルメニア)、山中慎介(帝拳)、アレクサンデル・バクティン(ロシア)らが続く。