WBA世界ライト級タイトルマッチ ジャーボンテイ・デービス対エクトル・ルイス・ガルシア

  • 2022/12/30

3階級制覇の「装甲戦車」 vs 「カリブの人造人間」
デービスがガルシアをパワーで粉砕か

 3階級制覇の実績を持つWBA世界ライト級王者、ジャーボンテイ・デービス(28=アメリカ)が、1階級下のWBA世界スーパー・フェザー級王者、エクトル・ルイス・ガルシア(31=ドミニカ共和国)を迎えて5度目の防衛戦に臨む。27戦全勝(25KO)のデービスに対し、2016年リオデジャネイロ五輪に出場した実績を持つガルシアもプロで19戦16勝(10KO)3無効試合と無敗をキープしているが、経験とスピード、そしてパワーで勝るデービスが圧倒的有利といえる。

世界戦11戦全勝10KOのデービス 敵は自分自身?

 デービスは2019年から2021年にかけてスーパー・フェザー級、ライト級、スーパー・ライト級と約4.5キロの間で体重を上げ下げしてきたが、いまはライト級に落ち着いている。身長166センチ、リーチ171センチと体は大きくないがスピードとパワーは秀でており、左構えから左ストレート、右フック、左アッパーを顔面とボディに自在に打ち分ける。
 まだ28歳だが、すでに世界戦のリングに11度も上がっており(11勝10KO)、試合ごとに経験値もアップしている。特に2020年以降はレオ・サンタ・クルス(メキシコ)を6回KO、マリオ・バリオス(アメリカ)を11回TKO、ローランド・ロメロ(アメリカ)を6回TKOで下しており、いずれも観戦者が戦慄をおぼえるような倒し方だった。戦力面で不足しているものは見当たらないが、強いて不安点をあげるならばコンディション調整だろうか。5年以上前のスーパー・フェザー級時代とはいえ防衛戦で体重超過というミスを犯したことがある。また、結果として規定体重内に収めたとはいえ4年前の試合(ウーゴ・ルイス戦)では計量をパスするために3度トライした苦い経験もある。

幸運+実力で王座を獲得したガルシア

 1年前のいまごろ、ガルシアがデービスに挑戦することを予想した人は皆無だったのではないだろうか。2022年1月時点でガルシアはWBA世界フェザー級5位にランクされてはいたものの、世界的には無名に近い存在だった。ところが2月に予定されたロジャー・グティエレス(ベネズエラ)対クリス・コルバート(アメリカ)戦のWBA世界スーパー・フェザー級タイトルマッチがキャンセルになったことでガルシアに幸運な追い風が吹く。新型コロナウィルス検査で陽性反応だったグティエレスに代わりガルシアが試合に出場するチャンスをつかみ、しかもコルバート戦が挑戦者決定戦として認定されたのだ。この試合でガルシアはベストパフォーマンスを披露した。16戦全勝(6KO)の前WBA暫定王者を手玉にとり、7回にはダウンを奪って大差の12回判定勝ちを収めたのだ。
 こうした流れで半年後にグティエレスの王座に挑み、ここでも前戦の再現のような戦いをみせて大差の判定で快勝、世界王座を獲得した。戦前のオッズが11対4でガルシア有利と出ていたように、この時点で王者を凌ぐ評価があったことが分かる。53パーセントのKO率が示すようにガルシアはパワー型の選手ではないが、相手が攻めてきたときは守り、出て来ないときは自ら踏み込んでいくメリハリのきいたボクシングをする。テンポのいい攻撃に加え上下の打ち分けも巧みなサウスポーだ。

ボディと顔面に強打を打ち分けてデービスがKO勝ちか

 実力アップに加え運も味方している印象のガルシアだが、さすがにデービスが相手となると厳しい予想は仕方ないだろう。数字上はわずかにガルシアに体格の利があるが、デービスが自分よりも大きな相手との試合に慣れていることを考えると、そこにアドバンテージがあるとは思えない。ガルシアは懐深く構えながら右ジャブで牽制して左のカウンターを狙うことになりそうだが、その網にデービスがかかるとは考えにくい。デービスはスーパー・フェザー級王者が予想する以上の俊敏な動きで角度と距離をつくり、自慢の強打をボディ、顔面に打ち分けるのではないだろうか。「El Androide(人造人間)」というニックネームを持つガルシアだが、「TANK(装甲戦車)」の攻撃を止めることは難しいだろう。

<TALE OF THE TAPE 両選手のデータ比較表>

  • 名前

    デービス

    ガルシア

  • 生年月日/年齢

    1994年11月7日/28歳

    1991年11月1日/31歳

  • 出身地

    米国メリーランド州ボルティモア

    サンファン・デラ・マグアナ(ドミニカ共和国)

  • アマチュア実績

    12年全米GG大会優勝

    16年リオデジャネイロ五輪出場

  • アマチュア戦績

    220戦205勝15敗

  • プロデビュー

    13年2月

    16年12月

  • 獲得世界王座

    WBA、IBF Sフェザー級
    WBA ライト級
    WBA Sライト級

    WBA Sフェザー級

  • 身長/リーチ

    166センチ/171センチ

    175センチ/170センチ

  • プロ戦績

    27戦全勝(25KO)

    19戦16勝(10KO)3無効試合

  • KO率

    93%

    53%

  • 世界戦の戦績

    11戦全勝(10KO)
    ※計量で失格の試合含む

    1戦1勝

  • 直近の試合

    22年5月(6回TKO勝ち)

    22年8月(12回判定勝ち)

  • 戦闘スタイル

    左ファイター型

    左ボクサーファイター型

  • ニックネーム

    Tank(装甲戦車)

    El Androide(人造人間)

<ジャーボンテイ・デービスの全世界戦>

17年 1月
ホセ・ペドラサ 〇7回TKO IBF Sフェザー級王座獲得
17年 5月
リアム・ウォルシュ 〇3回TKO 防衛①
17年 8月
フランシスコ・フォンセカ 〇8回KO ※自身が体重超過⇒王座剥奪
18年 4月
ヘスス・クェジャル 〇3回TKO WBA Sフェザー級王座獲得
19年 2月
ウーゴ・ルイス 〇1回KO 防衛①
19年 7月
リカルド・ヌネス 〇2回TKO 防衛②
19年 12月
ユリオルキス・ガンボア 〇12回TKO WBA ライト級王座獲得
20年10月
レオ・サンタ・クルス 〇6回KO WBA Sフェザー級王座獲得 ライト級防衛①
21年 6月
マリオ・バリオス 〇11回TKO WBA Sライト級王座獲得 ⇒ 返上
21年12月
イサック・クルス 〇12回判定 WBA ライト級王座防衛②
22年 5月
ローランド・ロメロ 〇6回TKO WBA ライト級王座防衛③
※11戦全勝(10KO) ※自身が体重オーバーしたフォンセカ戦を含む

<ライト級トップ戦線の現状>

WBA S
:デビン・ヘイニー(アメリカ)
:ジャーボンテイ・デービス(アメリカ)
WBC
:デビン・ヘイニー(アメリカ)
IBF
:デビン・ヘイニー(アメリカ)
WBO
:デビン・ヘイニー(アメリカ)

 2020年秋までは文句なしに3団体王者のワシル・ロマチェンコ(34=ウクライナ)の天下といえたが、IBF王者のテオフィモ・ロペス(25=アメリカ)に惜敗して失冠。新時代を築くかと期待されたロペスだが、初防衛戦でジョージ・カンボソス(29=オーストラリア)に敗れWBC“フランチャイズ王座”を含む4本のベルトを明け渡してしまう。一方、WBAはジャーボンテイ・デービス(28=アメリカ)がレギュラー王座を堅守。WBCは暫定王者のデビン・ヘイニー(24=アメリカ)が正王者昇格 ⇒ 初防衛戦後に肩を手術 ⇒ 休養王者に格下げ と団体の迷判断に巻き込まれたが、2020年春に正王座復帰が認められ、以後は地味に防衛を重ねてきた。この時点でベルト保持者はカンボソス、デービス、ヘイニーの3人に絞られたわけだ。
 そして2022年6月、カンボソス対ヘイニーの王者対決が行われ、相手国に乗り込んだヘイニーが快勝(12回判定勝ち)、文句なしの4団体統一王者になった。再戦でもヘイニーが勝ち、これでライト級のベルト保持者はヘイニーとデービスの2人だけとなったわけで、ファンの関心は両者の決勝戦に向けられつつある。
 その前にヘイニーはロマチェンコとの対戦プランが浮上してきており、これも興味深いカードといえる。
 さて、デービスだが、今回のエクトル・ルイス・ガルシア(31=ドミニカ共和国)戦も注目されているが、これを無傷でクリアした際には春にライアン・ガルシア(24=アメリカ)とのパンチャー対決が具体化しそうだ。29戦全勝(27KO)のデービス、23戦全勝(19KO)のガルシア。KO決着が約束されたカードといえる。
 このほかデービスを苦しめたイサック・クルス(24=メキシコ)、さらに2階級制覇を成し遂げているシャクール・スティーブンソン(25=アメリカ)もこのクラスに参入してきた。すぐに勝負に出る可能性は低いが、注目していきたい。
 ヘイニー=24歳、デービス=28歳、ライアン・ガルシア=24歳、クルス=24歳、スティーブンソン=25歳 と多くの若手が台頭してきたなか、2月に35歳になるロマチェンコがどう絡んでいくのか。2023年、ライト級トップ戦線は大きく動きそうだ。




IBF世界ウェルター級暫定王座決定戦 ジャロン・エニス対カレン・チュカジャン

30戦無敗のスター候補に戴冠の好機
20連勝中のチュカジャンを圧倒か

 ウェルター級のWBAスーパー王座、WBC王座、IBF王座を持つエロール・スペンス(32=アメリカ)とWBO王者のテレンス・クロフォード(35=アメリカ)との統一戦が延び延びになるなか、痺れを切らしたIBFが暫定王座の設置を決定。指名挑戦権を持つ1位のジャロン・エニス(25=アメリカ)と、4位のカレン・チュカジャン(26=ウクライナ)がベルトを争う。
 エニスは体格(身長178センチ、リーチ188センチ)と才能に恵まれたスイッチヒッターで、2016年4月にプロ転向を果たしてから30戦29勝(27KO)1無効試合の戦績を残している。この無効試合は2020年12月のクリスバン・ヘーデン(カナダ)戦で、エニスが一方的に攻めている最中に偶然のバッティングで相手が負傷、続行不能となったもの。エニスの事実上のKO勝ちといってもいい内容だった。その後、エニスは元世界王者のセルゲイ・リピネッツ(カザフスタン)を6回、世界挑戦経験者のトーマス・デュロルメ(フランス領グアダルーペ/プエルトリコ)を1回、さらにIBF挑戦者決定戦でカスティオ・クレイトン(カナダ)を2回、いずれも圧倒的なKOで屠ってきた。25歳という若さに潜在能力の高さ、それにほどよく経験が加わり、いよいよ楽しみな存在になってきたところだ。
 そんなエニスに比べるとチュカジャンが実績、総合力で見劣りしてしまうのは仕方ないだろう。チュカジャンはアマチュアを経て19歳でプロデビューしたが、その初陣はトーナメント参戦だったために一日に3回戦を3試合こなしている(2勝1敗)。その後は7年半に20連勝を収めている。WBAインターナショナル王座やIBFインターコンチネンタル王座を獲得するなどしてトップ戦線に割り込んできたが、世界的な強豪との対戦は皆無といっていいだろう。適度に動きながら左ジャブで煽り、タイミングのいい左右フックを狙うボクサーファイター型だが、エニスのようなパワーや閃きなどは感じられない。22戦21勝(11KO)1敗と戦績は立派だが、アメリカのリング初登場ということもあり荷が重い試合といえそうだ。
 すべての面で勝るエニスが初回から積極的に飛ばすようならば勝負は前半で決まる可能性がある。

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劇場公開時、PG12指定(小学生以下は助言・指導が必要)されたもの
2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R-15指定(15歳未満鑑賞不可)されたもの
R-15指定に相当する場面があると思われるもの
劇場公開時、R15+指定(15歳以上鑑賞可)されたもの
R15+指定に相当する場面があると思われるもの
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