WBC世界ヘビー級タイトルマッチ タイソン・フューリー対ディレック・チゾラ

  • 2022/11/25

8年ぶり3度目の対決
フューリーが圧倒か チゾラは乱戦に活路

 デオンテイ・ワイルダー(アメリカ)との3戦で2勝1分と勝ち越してWBC世界ヘビー級王座を獲得し、今年4月には暫定王者のディリアン・ホワイト(ジャマイカ/イギリス)に6回TKOで快勝したタイソン・フューリー(34=イギリス)が、過去に2度対戦して連勝しているディレック・チゾラ(38=ジンバブウェ/イギリス)の挑戦を受ける。コンディション調整を含めフューリーに慢心がなければ王者の圧勝が予想される。

初戦は判定 再戦は10回終了TKO いずれもフューリーが勝利

 フューリーはホワイト戦後に一度は引退を示唆するコメントを発したが、夏の終わりごろには現役続行を決めたようだ。そして前3団体統一王者のアンソニー・ジョシュア(イギリス)に「12月3日に対戦しよう。報酬の分配は6対4だ」と一方的に対戦オファーを出した。しかし、期限までにジョシュア側から返答がなかったため別の対戦相手を模索。こうした流れのなかでチゾラとの第3戦が決まったわけだ。
 フューリーとチゾラは2011年7月、ロンドンのウェンブリー・アリーナで初対戦し、フューリーが12回判定勝ちを収めている。試合前の戦績はフューリーが14戦全勝(10KO)、チゾラが14戦全勝(9KO)で、戦前のオッズはわずかにチゾラ有利と出ていた。チゾラが打撃戦を仕掛け、これにフューリーが応じたためスリリングな打撃戦となったが、ディフェンス力で勝るフューリーが確実にポイントを稼いで118対111、117対112、117対112の3-0で判定勝ちを収めた。
 再戦は3年後の2014年11月にロンドンのエクセル・アリーナで行われ、フューリーが10回終了TKOで快勝している。初戦と異なり左構えでスタートしたフューリーは右ジャブを突いて距離をとり、チゾラに付け入る隙を与えずに一方的に試合をコントロール。初戦のような打ち合いを期待したファンからブーイングも出たが、マイペースを貫いて相手を棄権に追い込んだ。

2度の戴冠を果たしたフューリーと挫折を繰り返してきたチゾラ

 その後、両者は対照的な歩みを見せてきた。再戦から1年後、フューリーはウラディミール・クリチコ(ウクライナ)を破ってWBA、IBF、WBO3団体王座を獲得。一度は引退したが2018年に戦線復帰し、2020年2月にワイルダーに7回TKO勝ちを収めてWBCで王座返り咲きを果たした。1年8ヵ月後の再戦でも11回KO勝ちを収め、今年4月のホワイト戦も右アッパー一発で快勝している。戦績は33戦32勝(23KO)1分。
 チゾラはフューリーとの初戦で初黒星を喫したあと、ロバート・ヘレニウス(スウェーデン/フィンランド)、WBC王者のビタリ・クリチコ(ウクライナ)にいずれも12回判定で敗れ、さらに元世界2階級制覇王者のデビッド・ヘイ(イギリス)に5回TKO負けを喫し、泥沼の3連敗を経験。フューリーとの再戦後は世界15傑に名前を残しながらもクブラト・プーレフ(ブルガリア)、ホワイト(2敗)、アギト・カバヤル(ドイツ)、オレクサンダー・ウシク(ウクライナ)、そしてジョセフ・パーカー(ニュージーランド)に連敗するなど多くの挫折を経験してきた。今年7月、プーレフに勝って空位のWBAインターナショナル王座を獲得したことで辛うじてトップ戦線に踏みとどまっている。戦績は45戦33勝(23KO)12敗。

歴史的な大番狂わせは起こるか?

 14対1というオッズが出ているようにフューリーが圧倒的有利であることは間違いない。11年前には打ち合って勝っているし、8年前には打撃戦を回避して快勝しており、どちらの戦い方でも勝利をつかめるという感触はあるはずだ。ワイルダーとの3試合を経て逞しさを増していることもあり、マイナス要因を探すのが難しい状態といえる。数少ない不安を挙げるとするならば引退騒動、そしてジョシュア戦が流れたことからくるモチベーションの問題ぐらいだろう。3団体王者のウシクとの統一戦を視野に入れているフューリーにとってこの試合はチューンナップという位置づけになりそうだが、その気持ちの点に落とし穴がないとは言い切れない。
 右構えであれ左構えであれ、フューリーはジャブを突いてチゾラを遠ざけ、中長距離で戦う選択をするものと思われる。これに対し激闘型のチゾラは両グローブを高めに置いたクラウチング・スタイルから飛び込み、左フック、右ロングフックで攻めたいところ。初戦のような乱打戦に持ち込めれば多少なりとも勝機は広がりそうだ。

<TALE OF THE TAPE 両選手のデータ比較表>

  • 名前

    フューリー

    チゾラ

  • 生年月日/年齢

    1988年8月12日/34歳

    1983年12月29日/38歳

  • 出身地

    マンチェスター(イギリス)

    ムバレ(ジンバブウェ)

  • アマチュア実績

    06年世界ジュニア選手権3位

    ジンバブウェ選手権4度優勝

  • アマチュア戦績

    35戦31勝(26KO)4敗

    約20戦(勝敗数は不明)

  • プロデビュー

    2008年12月

    2007年2月

  • 獲得王座

    WBA、IBF、WBO
    3団体統一世界ヘビー級王座
    WBC世界ヘビー級王座

  • 戦績

    33戦32勝(23KO)1分

    45戦33勝(23KO)12敗

  • KO率

    70%

    51%

  • 身長/リーチ

    206センチ/216センチ

    187センチ/188センチ

  • 戦闘スタイル

    右ボクサーファイター型(スイッチ)

    右ファイター型

  • ニックネーム

    「ジプシー・キング」

    「WAR」

  • トレーナー

    シュガー・ヒル

<フューリー対チゾラ①②戦>

2011年 7月23日@ロンドン 英国&英連邦ヘビー級タイトルマッチ

〇フューリー 12回判定 ●チゾラ
 115.8キロ         118.3キロ
 14戦全勝(10KO)   14戦全勝(9KO)
 ※採点は118対111、117対112、117対112


2014年11月29日@ロンドン 英国(王座決定戦)&EBU欧州&WBOインターナショナル ヘビー級タイトルマッチ(フューリーの防衛戦)

〇フューリー 10回終了TKO ●チゾラ
119.7キロ            109.5キロ
22戦全勝(16KO)        24戦20勝(13KO)4敗



<タイソン・フューリーの直近7試合の体重(計量時)>

相手の体重 フューリーの体重 体重差
2018年12月 デオンテイ・ワイルダー①戦 96.3キロ 116.3キロ 20.0キロ差
2019年 6月 トム・シュワルツ戦 111.3キロ 119.5キロ 8.2キロ差
2019年 9月 オット・ワリン戦 107.0キロ 115.4キロ 8.4キロ差
2020年 2月 デオンテイ・ワイルダー②戦 104.7キロ 123.8キロ 19.1キロ差
2021年10月 デオンテイ・ワイルダー③戦 107.9キロ 125.6キロ 17.7キロ差
2022年 4月 ディリアン・ホワイト戦 114.8キロ 120.0キロ 5.2キロ差
2022年12月 ディレック・チゾラ戦


<ヘビー級トップ戦線の現状>

WBA S
:オレクサンダー・ウシク(ウクライナ)
WBA
:ダニエル・デュボア(イギリス)
WBC
:タイソン・フューリー(イギリス)
IBF
:オレクサンダー・ウシク(ウクライナ)
WBO
:オレクサンダー・ウシク(ウクライナ)
暫定
:ジョー・ジョイス(イギリス)

 ベルト保持者が4人いるが、3団体統一王者のオレクサンダー・ウシク(35=ウクライナ)とWBC王者のタイソン・フューリー(34=イギリス)が双璧といっていいだろう。ともに技巧派だが、体のサイズが異なるため戦うとなるとフューリー有利の声が多くなりそうだ。両者が無敗のまま対戦してほしいものだが、まだ具体的な話をする段階には至っていないようだ。
 WBO暫定王者になったジョー・ジョイス(37=イギリス)は2016年リオデジャネイロ五輪の銀メダリストで体も大きく馬力自慢だが、やはり37歳という年齢が気になる。自分よりも大型のフューリーとは相性が悪そうだが、クルーザー級上がりのウシクが相手となればプレッシャーとパワーが生きそうだ。ただし、スピードで翻弄される可能性も十分にあるが。
 WBA王者のダニエル・デュボア(25=イギリス)はジョイスに10回KO負け後、3連続KO勝ちと再び調子を上げてきた。まだ世界王者としての評価は定まらないが、若くてパンチ力があるだけに2年後、3年後にヘビー級の主役になっている可能性はある。
 フューリー戦は2敗1分に終わったデオンテイ・ワイルダー(37=アメリカ)は、10月の再起戦でロバート・ヘレニウス(38=スウェーデン/フィンランド)をカウンターの右一発で眠らせて、尋常ならざる爆発力があることを印象づけた。WBCはワイルダーにルイス・オルティス(43=キューバ)に勝ったアンディ・ルイス(33=アメリカ)との対戦を課しているが、なかなか興味深いカードいえる。
 こうして名前が出てきたトップ選手と伍する力量の持ち主が前3団体王者のアンソニー・ジョシュア(33=イギリス)だが、ウシクに連敗したことで以前のような勢いや迫力が失せてしまっているのが残念だ。



WBA世界ヘビー級タイトルマッチ ダニエル・デュボア対ケビン・レリーナ

勢いを取り戻した「ダイナマイト」
クルーザー級上がりの挑戦者をパワーで圧倒できるか

 19戦18勝(17KO)1敗、89パーセントのKO率を誇るWBA世界ヘビー級王者、ダニエル・デュボア(25=イギリス)が、クルーザー級から転向して4戦目となるサウスポーのケビン・レリーナ(30=南アフリカ共和国)を相手に初防衛戦に臨む。「ダイナマイト」の異名を持つデュボアと「THE KO KID」というニックネームのレリーナ。序盤から激しい主導権争いが展開されそうだ。
 デュボアは2年前にジョー・ジョイス(37=イギリス)に10回KO負けを喫して急停車を強いられたが、再起戦でWBA暫定王座を獲得。これはWBAの方針転換により2021年8月に消滅したが、今年6月にトレバー・ブライアン(アメリカ)を4回KOで下して正王座に就いた。戦績が示すとおりのスラッガーで、相手を追い立てて繰り出す右ストレート、右フックが特に強い。
 挑戦者のレリーナは29戦28勝(14KO)1敗の戦績を残しているサウスポーで、2011年のプロデビューから2年ほどはヘビー級を主戦場にしていたが、その後はクルーザー級に落ち着いた。2017年9月にマイナー団体IBOのクルーザー級王座を獲得し、2年半に6度の防衛を果たした。2年前にヘビー級に転向し、今年3月にはデュボアに2回KOで敗れたボグダン・ディヌ(ルーマニア)に4回KO勝ちを収め、9月には世界挑戦経験者の巨漢、マリウス・ワフ(ポーランド)を翻弄、大差の12回判定勝ちを収めている。
 10対1のオッズが出ているように体格とパワーに勝るデュボア有利は当然だろう。パワーで相手を後退させて右強打を決めて派手なKO防衛を飾る姿が目に浮かぶ。その一方、スピードのある小柄なサウスポーとの対戦経験に乏しいため戸惑う可能性もありそうだ。レリーナはパンチ力こそ平均の域を出ないが、相手の打ち終わりを突くカウンター・アタックが巧みで、サイドにまわり込んだり懐に入ってから繰り出す左右のフック、アッパーはタイミングがいい。これらが王者を苦しめる、あるいはダメージを与えていく可能性も決して低くはなさそうだ。

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R15+指定に相当する場面があると思われるもの
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