ライト級12回戦 ワシル・ロマチェンコ対ジャメイン・オルティス

  • 2022/10/21

「ハイテク」の再起第3戦
元世界王者を破って勢いづくオルティス

 かつての「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」NO,1、3階級制覇の実績を持つワシル・ロマチェンコ(34=ウクライナ)の再起第3戦。相手のジャメイン・オルティス(26=アメリカ)は今年5月、前WBO世界スーパー・フェザー級王者のジャメル・ヘリング(アメリカ)を10回判定で破ってトップ15入りを果たしたスイッチヒッターで、17戦無敗のホープだ。ただ、パワーに欠ける傾向があるためロマチェンコ有利は絶対的なものといえる。

18戦中15試合が世界戦のロマチェンコ

 ロマチェンコは2008年北京五輪(フェザー級)、2012年ロンドン五輪(ライト級)で金メダルを獲得後、トップランク社と契約してプロに転向。3戦目で世界王座獲得、7戦目で2階級制覇、12戦目で3階級制覇を果たすなどスピード出世しながら評価と知名度を上げ、一時はPFPトップに位置づけられるほどだった。身長170センチ、リーチは166センチと体格に恵まれているわけではないが、瞬時に立ち位置を変えながら完璧に近い防御をしつつ多彩なコンビネーションで相手を翻弄。近代ボクシングのなかでも最高位にランクされるほどのテクニシャンといっていいだろう。
 しかし、近年は右肩をはじめ故障が目立つようになり、また2020年10月には若くてパワーのあるテオフィモ・ロペス(アメリカ)に12回判定負けを喫して王座から陥落。以来、2年以上も無冠状態が続いている。昨年6月に中谷正義(帝拳)に9回TKO勝ちを収めて再起を果たし、半年後に元IBF王者のリチャード・コミー(ガーナ)に12回判定勝ちを収め、通算戦績を18戦16勝(11KO)2敗に伸ばしている。18戦のうちプロデビュー戦と中谷戦、コミー戦を除く15試合は世界戦という中身の濃さを誇る。

前王者へリングに勝って世界15傑入りのオルティス

 オルティスもアマチュア出身で、2015年には全米選手権で3位、全米ゴールデングローブ大会では準優勝している。同じ年の五輪予選ではジャロン・エニス(アメリカ=現ウェルター級世界ランカー)に3回判定負けを喫している。
 2016年5月、20歳になった直後にプロデビューし、WBCユース王座、WBCユース インターコンチネンタル王座、WBCシルバー王座などを獲得してキャリアアップしていった。昨年4月には15戦無敗のジョセフ・アドルノ(アメリカ)とのホープ対決に臨んだが、8回引き分けという結果に終わった。2回と7回に喫したダウンを挽回してのドローは評価が分かれるところだ。
 今年2月の初10回戦でNABF北米ライト級王座を獲得し、その3ヵ月後、ライト級で再出発を図るヘリングの再起戦の相手に選ばれた。この試合、オルティスは構えを頻繁に左右に変えながら前王者に的を絞らせず、左右のジャブから飛び込んでは離れるという戦いぶりでポイントを重ねた。一見すると番狂わせのようにみえるが、戦前のオッズが2対1でオルティス有利だったことを考えると当然の結果だったといえよう。この勝利で戦績を17戦16勝(8KO)1分に伸ばしたオルティスはWBCとWBOで世界挑戦圏内の15傑入りを果たした。

ロマチェンコがスピードとスキルで圧倒か

 26歳と若く着実に総合力を上げてきているオルティスを軽視することはできないが、勝負の行方を占うとなるとロマチェンコが圧倒的に有利であることは間違いない。オルティスが頻繁に構えを変える変則的なスイッチヒッターだという点が気にはなるが、経験値の高いロマチェンコの引き出しのなかに対応策はあるはずだ。相手の動きに戸惑って後手に回り失点を重ねるという展開は考えにくい。
 となると、やはりロマチェンコがスピードとスキルでホープを翻弄し、相手が対応に困っているところに左ストレート、左右アッパー、左ボディブロー、右フックなどを叩きつけてけりをつけてしまうという予想が最も可能性の高いものといえよう。

<ライト級トップ戦線の現状>

WBA S
:デビン・ヘイニー(アメリカ)
:ジャーボンテイ・デービス(アメリカ)
WBC
:デビン・ヘイニー(アメリカ)
IBF
:デビン・ヘイニー(アメリカ)
WBO
:デビン・ヘイニー(アメリカ)

 10月10日時点では4団体王者のデビン・ヘイニー(23=アメリカ)、WBA王者のジャーボンテイ・デービス(27=アメリカ)、そして現在は無冠のワシル・ロマチェンコ(34=ウクライナ)がこのクラスの3強といっていいだろう。
 そのうちヘイニーは前王者のジョージ・カンボソス(29=オーストラリア)との再戦が決まっており、ロマチェンコはジャメイン・オルティス(26=オルティス)戦に臨むことになっている。デービスの次戦は12月に計画されているが、まだ日程も相手も確定はしていない。これら3試合の結果によってはトップ戦線の状況が一変してしまう可能性があるだけに目が離せない。
 ランカーにも力のある選手が揃っている。その一番手は23戦全勝(19KO)のWBA1位、IBF11位のライアン・ガルシア(24=アメリカ)だが、最近の2試合をスーパー・ライト級で行っており、ライト級に留まるかどうかは微妙だ。WBCとWBOで2位、IBF4位、WBA7位のイサック・クルス(24=メキシコ)はデービスに善戦して株を上げた小柄なファイターで、2度目の大舞台を待っている状態だ。IBF1位のグスタボ・レモス(26=アルゼンチン)は28戦全勝(18KO)という戦績を残しているスイッチヒッターで、前に出ながら自慢の強打を叩きつけていく攻撃型だ。今年3月、自国に招いた元世界王者のリー・セルビー(イギリス)を5回TKOで屠って最上位に躍り出てきた。ホープには違いないが、まだ総合的な評価をする段階ではなさそうだ。
 9月の防衛戦を前に体重オーバーのためWBO世界スーパー・フェザー級王座を失ったシャクール・スティーブンソン(25=アメリカ)がライト級に転向してくることが確実視されている。すでにWBCは4位にランクして歓迎の意思を示している。トップ戦線の動きを見ながら自身も数試合のテストマッチをしてから王座を狙うものと思われるが、3強との対戦をイメージするとワクワクしてくる。
 11月1日に行われる吉野修一郎(31=三迫)対中谷正義(33=帝拳)にも注目したい。

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