WBC世界ヘビー級挑戦者決定戦
アンディ・ルイス対ルイス・オルティス

  • 2022/09/23

「デストロイヤー」 vs 「キングコング」
元王者同士のサバイバルマッチ

 元3団体統一世界ヘビー級王者で現WBC5位のアンディ・ルイス(32=アメリカ)と、元WBA同級暫定王者で現WBC8位、IBF2位、WBO5位のルイス・オルティス(43=キューバ)がWBC王座への挑戦権をかけて戦う。経験値の高い実力者同士のサバイバルマッチは3対1のオッズでルイス有利と出ている。年齢に加え最近のオルティスの打たれモロさが影響しているようだ。

全勝のジョシュアに逆転TKO勝ちを収めて戴冠果たしたアンディ・ルイス

 メキシコ系アメリカ人のアンディ・ルイスはアマチュアで110戦105勝5敗の戦績を残して2009年3月にプロデビュー。当時からいわゆる寸胴体型で、188センチの身長に対して体重は110キロ~130キロもあった。愛嬌のある顔も相まって西海岸では人気者になると同時に徐々に実力もアップ。WBOインターコンチネンタル王座やNABF北米王座を獲得し、元世界王者のセルゲイ・リャコビッチ(ベラルーシ)や世界挑戦経験者のレイ・オースティン(アメリカ)にも快勝した。
2016年12月にはWBO王座決定戦にも出場したが、このときは敵地でジョセフ・パーカー(ニュージーランド)に僅差の判定で敗れた。
 再起3連勝後、当時22戦全勝(21KO)の3団体統一王者アンソニー・ジョシュア(イギリス)に挑むチャンスが転がり込む。挑戦を予定していたジャレル・ミラー(アメリカ)のドーピング違反が発覚したため、アンディ・ルイスに代役として白羽の矢が立ったのだ。16対1でジョシュア有利のオッズが出ていたとおり王者優勢で2回が終了。続く3回、アンディ・ルイスはダウンを喫してさらに苦しい状況に追い込まれた。ところが、仕留めにかかったジョシュアが接近してきた刹那、アンディ・ルイスは左フックをカウンターでヒット、ダウンを奪い返す。これで形勢は逆転し、同じ回にもう一度、さらに7回にも2度のダウンを追加してアンディ・ルイスは世紀の番狂わせを起こしたのだ。「デストロイヤー(破壊者)」が本領を発揮した試合といえる。
 これが現時点でアンディ・ルイスの32年の人生で最高の瞬間だったといっていいだろう。その後、祝勝会が続いたアンディ・ルイスは知名度とともに体重も増えていき、「一時は310ポンド(約140キロ)もあった」(アンディ・ルイス)という。半年後の再戦は12回判定で完敗、3本のベルトを失うというオチがついた。1年半のブランク後、昨年5月に世界挑戦経験者のクリス・アレオーラ(アメリカ)に12回判定勝ちを収めて戦線復帰を果たしている。このときの体重はジョシュアとの再戦時よりも約12.5キロ軽かった。戦績は36戦34勝(22KO)2敗。

全盛時のワイルダーを2度も追い込んだルイス・オルティス

 ルイス・オルティスはアマチュアで368戦349勝19敗(他説あり)の戦績を残し、31歳になる直前にアメリカでプロ転向を果たした。ヘビー級では希少なサウスポーという利点とスピード、強打、テクニックを駆使して快進撃を続け、あっという間にトップ戦線参入を果たした。
2014年9月に初めてWBA世界ヘビー級暫定王座決定戦に出場したが、そのときは1回TKO勝ちが宣せられたあとでドーピング違反が判明、取り消されている。1年後、再び暫定王座決定戦に出場し、今度は3回KOの圧勝で初のベルトを獲得した。このあとV2戦に関してWBAと摩擦が生じ、のちに暫定王座を放棄している。
 2018年3月、デオンテイ・ワイルダー(アメリカ)の持つWBC王座に挑戦。5回にダウンを喫しはしたものの互角の戦いを展開し、7回と8回にはKO寸前まで追い詰めたほどだった。しかし10回、ワイルダーの右強打を浴びて2度ダウン、TKOで敗れた。2019年11月の再戦ではスピードとスキルを活かしたボクシングでポイントを奪い、6回終了時点で58対56、59対55(二者)と優勢だった。しかし7回、ワイルダーの右に捕まり逆転KO負けを喫した。
 1年後に再起を果たしたあと今年1月には元王者のチャールズ・マーティン(アメリカ)とのダウン応酬の激闘を制し(6回TKO勝ち)、戦績を37戦33勝(28KO)2敗2無効試合に伸ばしている。

ルイスが圧力をかけオルティスが迎撃か

 32歳のルイスに対しオルティスは43歳と年齢で11歳の差がある。ルイスが十分に余力を残していると思われる一方、「キングコング」のニックネームで知られるオルティスには黄昏が迫ってきているとみていいだろう。しかも直近の3戦で計3度のダウンを喫するなど打たれモロさが目立っている。ルイスもジョシュアとの初戦とアレオーラ戦でダウンを喫してはいるが、ダメージを溜め込むようなものではなかった。そんな点がオッズに反映されているものと思われる。
 ルイスがプレッシャーをかけながら飛び込むチャンスをうかがい、サウスポーのオルティスが足とスピードを生かして迎え撃つ展開が予想される。ルイスは身長とリーチで劣るうえ鈍重にも見えるが、踏み込むスピードとパンチの回転は速い。これにオルティスが戸惑う可能性は十分にありそうだ。耐久力に不安を抱えるオルティスはダメージを被ることなく前半を乗り切りたい。

<ヘビー級トップ戦線の現状>

WBA S
:オレクサンダー・ウシク(ウクライナ)
:ダニエル・デュボア(イギリス)
WBC
:タイソン・フューリー(イギリス)
IBF
:オレクサンダー・ウシク(ウクライナ)
WBO
:オレクサンダー・ウシク(ウクライナ)

 3団体統一王者のオレクサンダー・ウシク(35=ウクライナ)が前王者のアンソニー・ジョシュア(32=イギリス)を12回判定で返り討ちにして初防衛に成功、第一人者の地位を守った。ウシクはWBC王者のタイソン・フューリー(34=イギリス)に4団体統一戦を呼び掛けているが、フューリーの興味はジョシュアとのイギリス対決に向いているようだ。報酬分配比率6:4の好条件で年内対戦のオファーを出しているが、傷心のジョシュアが興味を示すかどうか。一時は王座を放棄して引退との報道もあったフューリーだが、しばらくはリング外の動きにも注目したい。
 WBCはアンディ・ルイス(32=アメリカ)対ルイス・オルティス(43=キューバ)戦を挑戦者決定戦として承認しているが、10月15日(日本時間16日)のデオンテイ・ワイルダー(36=アメリカ)対ロバート・ヘレニウス(38=スウェーデン/フィンランド)戦も挑戦者決定戦になる可能性がある。その場合、勝者同士が最終的な挑戦権を争うことになりそうだ。もしもフューリーがベルトを放棄した場合は王座決定戦になるかもしれない。
 こうした一方、WBOは1位のジョー・ジョイス(36=イギリス)と元王者で現2位のジョセフ・パーカー(30=ニュージーランド)の試合を暫定王座決定戦として挙行する意向だ。また、すでにIBFはフィリップ・フルゴビッチ(30=クロアチア)に挑戦権を与えており、今後のウシクの動向と各団体の判断に注目が集まる。
 新興勢力のなかでは21戦20勝(13KO)1無効試合のフランク・サンチェス(30=キューバ)が一番手だろう。昨年10月、サンチェスに敗れた2016年リオデジャネイロ五輪戦士のエフェ・アジャグバ(28=ナイジェリア)も巻き返しを狙っている。16戦15勝(12KO)1敗。まだサンチェスやアジャグバのような実績は残していないが、トップランク社が期待を寄せる11戦全KO勝ちのジャレド・アンダーソン(22=アメリカ)も楽しみな選手だ。強打に加え22歳という若さも魅力といえる。




ヘビー級8回戦
ジャレド・アンダーソン対ミラン・ロブカニン

 WBC世界ヘビー級23位にランクされる大型ホープ、ジャレド・アンダーソン(22=アメリカ)が、12連続KO勝ちをかけてミラン・ロブカニン(28=モンテネグロ/セルビア)と対戦する。
 アンダーソンは全米選手権ヘビー級で2年連続優勝するなど輝かしいアマチュア実績を残して2019年10月にプロデビュー。以後、11試合すべてを規定ランド内で終わらせてきた。最長が6ラウンドで、11戦に要した総ラウンド数は24と少ない。1試合あたり約2ラウンドで仕留めてきた計算だ。立ち位置を気にしながら左ジャブで煽り、破壊力のある右ストレートを打ち込む攻撃パターンが多い。昨年12月の試合では左構えで戦うなど器用な一面も見せている。 
 今回の相手、ロブカニンは26戦24勝(16KO)2敗の戦績を残している元セルビア国内王者で、4年前にはEBU欧州王座に挑んだ経験を持っている(現世界ランカーのアギト・カバヤルに3回TKO負け)。ワンツーを軸にした攻撃が多い選手だが、全体的なスピード感には欠ける印象だ。
 アンダーソンがスピードで圧倒し、機を見て得意の右ストレートを打ち込んで試合を終わらせそうだ。




ヘビー級8回戦
エフェ・アジャグバ対ジョセフ・ダーモス

 エフェ・アジャグバ(28=ナイジェリア)対ジョセフ・ダーモス(37=ハンガリー)も早期決着が予想される。WBC19位にランクされるアジャグバは身長198センチ、リーチ216センチ、体重105キロ超と体格にも恵まれた逸材で、2016年リオデジャネイロ五輪にも出場している。2017年7月にアメリカでプロデビューし、5年間に16戦15勝(12KO)1敗の戦績を残している。唯一の敗北は昨年10月、フランク・サンチェス(キューバ)との世界ランカー対決で判定負けを喫したものだ。今回が再起戦となる。大物感を漂わせる正統派の強打者で、中長距離から打ち込む右ストレートの破壊力は凄まじいものがある。反面、攻防が正直すぎる傾向があり、そのあたりが課題として残っている。
 相手のダーモスはアマチュア経験が豊富で、プロ転向前は自国ハンガリーのほかポーランド、ドイツ、イタリア、アメリカ、イギリス、ロシア、フィンランド、ベラルーシなど多くの国で戦ったことがある。2015年9月にプロデビューし、7年間で21戦14勝(10KO)4敗3分の戦績を残している。元クルーザー級のハンガリー王者で、昨年12月の試合からヘビー級に上げている。
 ダーモスは前傾姿勢で前に出る攻撃型の選手だが、アジャグバの左ジャブを掻い潜らなければ自分の仕事ができない。体格とパワーで勝るアジャグバが初回から主導権を握り、右を打ち込むタイミングを計る展開になりそうだ。




WBCシルバー ライト級王座決定戦
イサック・クルス対エデュアルド・ラミレス

 ライト級でWBC2位、WBO3位、IBF4位、WBA11位にランクされるイサック・クルス(24=メキシコ)と、元WBA暫定世界フェザー級王者で現在はスーパー・フェザー級でWBAとWBCで4位、WBO10位に名を連ねるエデュアルド・ラミレス(29=メキシコ)が拳を交える。なかなか興味深いカードだ。
 クルスはライト級では身長163センチ、リーチ160センチと体格的には恵まれているとはいえないが、その小さな体を丸めて相手の懐に飛び込み左右のフック、アッパーで攻め立てる攻撃型だ。昨年12月には強豪を連破した勢いをWBA世界ライト級王者のジャーボンテイ・デービス(アメリカ)にぶつけたが、わずかに及ばなかった。結果は小差の判定負けだったが、株を落とすどころか逆に評価を上げるような内容だった。今年4月には元世界3階級制覇王者のユリオルキス・ガンボア(キューバ)を5回TKOで下し、あらためて実力を証明している。戦績は26戦23勝(16KO)2敗1分。
 一方のラミレスは2010年9月にプロデビューした12年選手で、33戦27勝(12KO)2敗3分1無効試合の戦績を収めている。2敗は2017年12月のリー・セルビー(イギリス)戦、2019年6月のクラウディオ・マレロ(ドミニカ共和国)戦で12回判定負けを喫したものだ。セルビー戦はIBF世界フェザー級王座への挑戦試合だったが、ラミレスは規定体重をつくれず計量で失格、試合でも大差の判定で敗れている。その後、2020年12月にWBA暫定王座を獲得したが、これはWBAの方針転換で昨夏に消滅。それを機にスーパー・フェザー級に転向し、さらに今回はライト級に進出することになった。
 ラミレスはサウスポーの迎撃型だが、体重はともかく体の厚みやパワーという点で大きなハンディキャップを背負うことは間違いない。相手に接近を許すようならばサウスポーの利点もカウンターも生きない可能性が高い。馬力で勝るクルスが強引に距離を潰し、そのまま捻りつぶしてしまいそうだ。

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オンデマンドでの同時配信対象外
2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、PG-12指定(12歳未満は保護者同伴が望ましい)されたもの
劇場公開時、PG12指定(小学生以下は助言・指導が必要)されたもの
2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R-15指定(15歳未満鑑賞不可)されたもの
R-15指定に相当する場面があると思われるもの
劇場公開時、R15+指定(15歳以上鑑賞可)されたもの
R15+指定に相当する場面があると思われるもの
1998年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R指定(一般映画制限付き)とされたもの