WBC世界フェザー級タイトルマッチ
マーク・マグサヨ対レイ・バルガス

  • 2022/08/12

フィリピンの孤塁守れるか
名参謀対決にも注目

 今年1月、7年近い長期政権を誇ったゲイリー・ラッセル(34=アメリカ)を攻略して王座に就いたマーク・マグサヨ(27=フィリピン)の初防衛戦。挑戦者はWBC1位のレイ・バルガス(31=メキシコ)だ。スーパー・バンタム級時代にWBC王座を5度防衛した実績を持っており、2階級制覇を狙ってマグサヨに挑む。24戦全勝(16KO)のマグサヨ、35戦全勝(22KO)のバルガス。全勝対決のオッズはイーブンと出ている。

ラッセルを攻略したフィリピン最後の砦

 マグサヨはアマチュアを経て2013年5月にプロに転向し、自国フィリピンをホームとして戦ってきた。2016年、世界挑戦経験者のクリス・アバロス(アメリカ)に6回TKO勝ちを収めてWBOインターナショナル・フェザー級王座を獲得して世界15傑入りを果たし、そのベルトを守りながらランクを上げてきた。2年前からは活動拠点をアメリカに移し、大舞台に上がるチャンスを待ち続けた。
 昨年8月にはマニー・パッキャオ(フィリピン)対ヨルデニス・ウガス(キューバ)の前座に出場し、元世界王者のフリオ・セハ(メキシコ)と対戦。初回にダウンを奪ったものの5回にはボディを攻められてマグサヨがダウン。ポイントでも劣勢だったが、10回に強打を炸裂させて痛烈なKO勝ちを収め、指名挑戦権を手に入れた。
 ラッセル戦は19対6で王者有利と見られていたが、マグサヨは果敢に攻めて115対113、115対113、114対114という接戦の勝者になると同時にWBC王座を獲得した。前半で肩を痛めたラッセルにとっては不運だったが、それに乗じて攻め抜いたマグサヨを賞賛すべきだろう。
 マグサヨの戴冠によって、この時点でフィリピンは下記のように同時に5人の世界王者を擁することになった。
<2022年1月31日時点のフィリピンの世界王者5人とその後>
ジェルウィン・アンカハス ⇒ 2月にIBF世界Sフライ級王座失う
ジョンリエル・カシメロ  ⇒ 5月にWBO世界バンタム級王座剥奪
ノニト・ドネア      ⇒ 6月にWBC世界バンタム級王座失う
レネ・マーク・クアトロ  ⇒ 7月にIBF世界ミニマム級王座失う
マーク・マグサヨ        ?
 しかし、上記のとおり2月から7月にかけて半年で4人が王座から陥落。この間、ジョナス・スルタンやドニー・ニエテスが世界王座に挑んだが目的を果たすことはできず、結果としてマグサヨがフィリピン唯一の現役世界王者となっている。

バルガス 6度の世界戦はすべて12回判定勝ち

 挑戦者のバルガスはアマチュア時代に世界ジュニア選手権、世界選手権に出場したほかパンナム大会やメキシコ国内選手権で優勝するなど輝かしい実績を残し、2010年4月にプロに転向。3戦目から14連続KO勝ちを収めるなどして強打者の印象を植え付けた。着実に地力もつけ、2016年には挑戦者決定戦を制してスーパー・バンタム級でWBC1位まで駆け上がった。2017年2月、長谷川穂積(真正)の引退にともない空位になった王座の決定戦に臨み、イギリスで地元のギャビン・マクドネルに12回判定勝ちを収めて戴冠を果たした。
 この王座はロニー・リオス(アメリカ)、オスカル・ネグレテ(コロンビア/アメリカ)、アザト・ホバニシャン(アルメニア)、フランクリン・マンサニジャ(ベネズエラ)、暫定王者の亀田和毅(協栄⇒ 3150 ⇒ TRY BOX平成西山)と5人から防衛したが、いずれも12回をフルに戦いきっての勝利だった。対戦相手の質が上がったこと、自身の故障が増えたことなどもあるが、昨年11月の無冠戦を含めた直近の7勝はすべて判定によるものだ。以前のような強打者の印象は薄れ、いまは完全な技巧派といっていいだろう。

強打と勢いのマグサヨ 実績と技巧のバルガス

 マグサヨが67パーセント、バルガスが63パーセントとふたりとも軽量級では高いKO率を残しているが、戦闘スタイルは大きく異なる。フレディ・ローチ・トレーナーに師事するマグサヨが右を軸にした強打を最大のセールスポイントにしているのに対し、ナチョ・ベリスタイン・トレーナーの指導を受けるバルガスは身長179センチ、リーチ179センチの恵まれた体を生かしたアウトボクシングに定評がある。実績ではスーパー・バンタム級で6度の世界戦を経験しているバルガスが上回っているが、勢いではラッセルを攻略した若いマグサヨが勝る。下馬評が割れているのも当然といえよう。
 得意とする距離が異なるだけに、まずは序盤でどちらが主導権を握るかという点に注目したい。マグサヨがバルガスの左ジャブを易々と外して中近距離の戦いに持ち込むようならば防衛が現実味を帯びてきそうだ。ボディ攻撃を多用すれば終盤に倒すチャンスも出てくるだろう。逆にバルガスの足と左ジャブの前に接近を拒まれるようならばマグサヨは苦しくなりそうだ。ポイントを失いながら終盤に集中力を欠く危険性が出てくるかもしれない。これらの中間、つまり両者が競ったままラウンドを重ねる展開も考えられる。その場合は終盤まで勝負がもつれ、僅差の判定決着になりそうだ。両陣営が練る策、戦術にも注目したい。

<フェザー級トップ戦線の現状>

WBA S
:レオ・サンタ・クルス(メキシコ)
:リー・ウッド(イギリス)
WBC
:マーク・マグサヨ(フィリピン)
IBF
:ジョシュ・ウォーリントン(イギリス)
WBO
:エマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)

 5人がベルトを持っているが、ほぼ横並びといったところだ。最も勢いがあるのはWBO王者のエマヌエル・ナバレッテ(27=メキシコ)だろう。スーパー・バンタム級時代は5連続KO防衛を果たし、フェザー級でもすでに2度の防衛を記録している。36戦35勝(29KO)1敗と高いKO率を残しているが、その割に評価が上がらないのは対戦相手が物足りないせいか。魅力的なマッチメークを期待したい。
 長期政権を誇ったゲイリー・ラッセル(34=アメリカ)を攻略してWBC王座を奪ったマーク・マグサヨ(27=フィリピン)は、今回のレイ・バルガス(31=メキシコ)戦が正念場といえる。
 WBA王者のリー・ウッド(34=イギリス)はマイケル・コンラン(30=イギリス/アイルランド)を劇的な最終回逆転TKOで下して初防衛を果たしたが、その試合が象徴するように世界王者としての安定感はない。同じことはIBF王座に返り咲いたジョシュ・ウォーリントン(31=イギリス)にもいえる。ふたりともランカーたちから標的にされやすいが、イギリス行きが挑戦の条件になりそうだ。
 WBAスーパー王者のレオ・サンタ・クルス(34=メキシコ)は3年半もフェザー級の体重で試合をしていない。WBAはサンタ・クルスとウッドに団体内統一戦を課しているが、実現するかどうか。
 ランカーでは昨年2月にウォーリントンに9回TKO勝ちを収めているマウリシオ・ララ(24=メキシコ)と、五輪で2大会連続金のロベイシー・ラミレス(28=キューバ)、さらにスーパー・バンタム級の前WBA、WBC王者、ブランドン・フィゲロア(25=アメリカ)に注目したい。
 この階級は現状で具体的な4団体間の統一戦プランがないだけに、日本の清水聡(36=大橋)。阿部麗也(29=KG大和)らにもチャンスが訪れる可能性がありそうだ。




WBC世界フェザー級挑戦者決定戦
ブランドン・フィゲロア対カルロス・カストロ

転級同士のサバイバルマッチ
攻撃力に勝るフィゲロアが5対1で有利

  昨年11月にWBO世界スーパー・バンタム級王者のスティーブン・フルトン(28=アメリカ)との統一戦で僅差の12回判定負けを喫し、WBA王座(リング登場時に剥奪)とWBC王座を失ったブランドン・フィゲロア(25=アメリカ)のフェザー級転向初戦。相手のカルロス・カストロ(28=メキシコ)も今年2月、ルイス・ネリ(27=メキシコ)に10回判定負けを喫して以来の試合となる。この試合はWBC世界フェザー挑戦者決定戦として行われる。勝者が挑戦切符を獲得、敗者は脱落というサバイバルマッチだ。
 フィゲロアは2019年4月にWBA暫定世界スーパー・バンタム級王座を獲得(のちに正王者に昇格)し、昨年5月にはネリに7回KO勝ちを収めて2本のベルトを手にした。しかし、フルトンに敗れて無冠に戻り、それを機にフェザー級転向を決めた。肉を切らせて骨を断つ連打型のファイターで、スタミナもある。現在はフェザー級でWBC3位にランクされている。戦績は24戦22勝(17KO)1敗1分。
 対するカストロは28戦27勝(12KO)1敗の戦績を残している右のボクサーファイターで、現在はスーパー・バンタム級でWBC3位に名を連ねている。ネリには敗れたがジャッジの見解が2対1に分かれる惜敗で、株を下げるような内容ではなかった。再び舞い込んだチャンスを前にモチベーションは高いはずだ。
 攻撃型のフィゲロアが積極的に接近戦を仕掛け、カストロが応戦する展開になりそうだ。カストロは巧みに左右にいなしながら迎撃したいところだが、そう簡単にはいかないだろう。5対1のオッズが出ているように、フィゲロアが構えを左右に変えながら上下にパンチを散らして乱打戦に巻き込んでしまう可能性が高そうだ。

IBF・WBOインターナショナル S・バンタム級タイトルマッチ
ゾラニ・テテ vs ジェイソン・カニンガム

即決型 vs 長丁場型
3階級制覇目指すテテの試験試合

 ゾラニ・テテ(34=南アフリカ共和国)はスーパー・フライ級とバンタム級の世界2階級制覇王者だが、同時に「世界戦最短KO記録保持者」として知られる。その記録は2017年11月18日、WBO世界バンタム級王座の初防衛戦で樹立(シボニソ・ゴニャに1回11秒TKO勝ち)された。左構えからフェイントを加えながら繰り出した右フック一発で倒したシーンを記憶しているファンは多いはずだ。ただ、その2年後にテテはジョンリエル・カシメロ(33=フィリピン)に3回TKO負けを喫しており、強打の反面、打たれ脆いという印象が定着した感が強い。
 カシメロ戦後は2年のブランクをつくったが、昨年12月に1回KO勝ちを収めており、これが再起第2戦となる。戦績は33戦29勝(22KO)4敗。ゴニャ戦を含めて1回KO(TKO)勝ちが14度もあり、即決型のパンチャーとして知られる
 対照的にジェイソン・カニンガム(32=イギリス)は37戦31勝(7KO)6敗の戦績が示すように挫折を糧に這い上がってきた雑草派といえる。11年前にバンタム級でプロデビューし、フライ級、スーパー・フライ級、バンタム級、スーパー・バンタム級、フェザー級、スーパー・フェザー級、ライト級など体重の増減を繰り返しながら現在のスーパー・バンタム級に落ち着いた経緯がある。早期決着が多いテテに対し、カニンガムは10ラウンド以上をフルに戦いきった試合が12度もある(テテも9度)。こちらは長丁場型といっていいだろう。
 今回の試合はカニンガムが昨年10月に獲得した英連邦王座、IBFインターナショナル王座の防衛戦と、WBOインターナショナル王座の決定戦を兼ねているが、格という点ではテテが上だ。ランキングもWBO6位のテテに対しカニンガムはIBF7位、WBO13位、WBC14位となっている。総合的な評価で勝るテテが16対15でわずかに有利と見られているが、耐久力の不安は常に付きまとう。3階級制覇を目指すテテが、このテストマッチをどうクリアするか注目だ。

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2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、PG-12指定(12歳未満は保護者同伴が望ましい)されたもの
劇場公開時、PG12指定(小学生以下は助言・指導が必要)されたもの
2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R-15指定(15歳未満鑑賞不可)されたもの
R-15指定に相当する場面があると思われるもの
劇場公開時、R15+指定(15歳以上鑑賞可)されたもの
R15+指定に相当する場面があると思われるもの
1998年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R指定(一般映画制限付き)とされたもの