WBAスーパー・WBC・IBF世界バンタム級王座統一戦
井上尚弥対ノニト・ドネア

  • 2022/08/05

「Drama in SAITAMA」から2年7ヵ月
王者同士が同じ会場で再戦

 階級最強決定トーナメント「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」シーズンⅡの決勝として行われた井上尚弥(大橋)対ノニト・ドネア(フィリピン/アメリカ)の初戦。このときはWBA王座とIBF王座を持つ井上がWBAスーパー王者のドネアに12回判定勝ちを収めて優勝している。世界の各メディアが「2019年の年間最高試合」に推した試合である。あれから2年7ヵ月、井上とドネアが再び世界王者同士として拳を交える。

ボクシングの醍醐味が凝縮していた「Drama in SAITAMA」

 のちに「Drama in SAITAMA」と称されることになった初戦は、まさに総力戦だった。
9対1のオッズが示していたように圧倒的有利とみられた井上が初回を押さえたものの、2回にドネアの左フックを被弾して右目上から出血。加えて眼窩底骨折と鼻骨骨折というアクシデントに見舞われ、視界もぼやけるという最悪の状況に陥っていた。それでも井上は中盤までにリードを広げていたが、7回から流れが変わる。井上の手数が減り、逆にドネアが攻勢に出てきたのだ。9回にはドネアの右ストレートで井上の体が傾き、あわやダウンかという大ピンチに陥った。ドネアにとっては最大のチャンスだったが、一気に攻め切れなかった。ドネアは「あれが私の最大のミステークだった。自分から攻めて出るべきだったが、カウンターを狙ってしまったんだ」と振り返っている。
 窮地を乗り越えた井上は10回に左ジャブで主導権を奪い返すと、11回には左ボディブローで値千金のダウンを奪う。ここはレフェリーの判断ミスでKOを逃した井上だが、最終回も確実に加点して3-0の判定勝ちを収めたのだった。

付け入る隙を与えずに3連続KO防衛の井上

 2020年に入ると新型コロナウィルスの世界的蔓延のためボクシング界も大きなダメージを被ることになった。国外への移動が容易ではなくなり、トップ選手たちも試合ペースがガクンと落ちたのだ。井上とドネアも例外ではなかった。
 当初、井上は2020年4月にWBO王者のジョンリエル・カシメロ(フィリピン)と3団体王座統一戦を行う予定だったが、1ヵ月前になって中止が決定。やっと秋になってジェイソン・マロニー(オーストラリア)との防衛戦に臨むことになったが、ドネア戦から1年近くも経っていた。この試合はラスベガスで無観客試合として行われ、井上は芸術的な7回KO勝ちで2王座を防衛した。2021年6月、再び渡米した井上はラスベガスでIBFの指名挑戦者、マイケル・ダスマリナス(フィリピン)に実力差を見せつけ、3回KOで一蹴。12月には東京でアラン・ディパエン(タイ)に付け入る隙を与えずに8回TKO勝ちを収めた。

ドネアは全勝の王者に連続4回KO勝ち 評価再上昇

 一方のドネアは井上に敗れたあと、2020年12月にWBC王者のノルディーヌ・ウバーリ(フランス)に挑戦する予定だったが、ウバーリに続いてドネア自身も新型コロナウィルス検査で陽性だったため試合はキャンセル。5ヵ月後に実現したウバーリ戦でドネアは3度のダウンを奪って4回KO勝ち、WBCで返り咲きを果たした。半年後、WBC暫定王者のレイマート・ガバリョ(フィリピン)と団体内王座統一戦に臨み、鮮やかな左ボディブローで4回KO勝ちを収めた。
 39歳になったドネアだが、「何度目かのピークにある」という見方もできる。全勝の世界王者ふたりに圧巻のKO勝ちを収めたのだから再評価されてしかるべきだろう。

「ドラマにはならない」と井上 「罠を仕掛ける」とドネア

 オッズは9対2で井上有利と出ているが、2年7ヵ月前よりも数字は接近している。初戦でドネアが健闘したこと、その後の2戦で全勝の世界王者をいずれも4回で屠って往時の勢いを取り戻していることなどが影響していると考えられる。ただ、それでも多くのファンや関係者、識者は井上有利を絶対的なものとしていた。初戦では2回に大きなハンディキャップを負い、さらに9回にピンチに陥りながらも持ち直して明白な差をつけて勝っており、今回は同じ過ちは犯さないだろうと見ているのだ。ミスさえなければ井上勝利は不動だというわけだ。
 「今回はドラマにはならない」と井上が圧勝宣言すれば、ドネアも「罠を仕掛けて仕留める」と雪辱を誓う。本戦を前に両者は珍しく心理戦を展開した。試合4日前の共同記者会見、そして前日計量――友好ムードに包まれた初戦と異なり、今回は笑顔も握手もなくピリピリした雰囲気が漂った。
 会場は2年7ヵ月前と同じさいたまスーパーアリーナ。両者が対角コーナーに陣取った。

<TALE OF THE TAPE 井上尚弥&ノニト・ドネア データ比較表>

  • 名前

    井上尚弥

    ドネア

  • 生年月日/年齢

    1993年4月10日/29歳

    1982年11月16日/39歳

  • 出身地

    神奈川県座間市

    タリボン(フィリピン)

  • アマチュア実績

    11年世界選手権出場(3回戦敗退)

    2000年全米選手権優勝

  • アマチュア戦績

    81戦75勝(48KO)6敗

    86戦78勝(8KO)8敗

  • プロデビュー

    2012年10月

    2001年2月

  • 獲得世界王座

    WBC L・フライ級
    WBO S・フライ級
    WBA、IBFバンタム級

    IBFフライ級
    WBA暫定S・フライ級
    WBA、WBC、WBOバンタム級
    IBF、WBO S・バンタム級
    WBAフェザー級

  • 戦績

    22戦全勝(19KO)

    48戦42勝(28KO)6敗

  • KO率

    86%

    58%

  • 世界戦の戦績

    17戦全勝(15KO)

    24戦19勝(13KO)5敗

  • 身長/リーチ

    165センチ/171センチ

    170センチ/174センチ

  • 戦闘スタイル

    右ボクサーファイター型

    右ボクサーファイター型

  • ニックネーム

    「モンスター」

    「フィリピーノ・フラッシュ」

  • トレーナー

    井上真吾(父親)

<TALE OF THE TAPE 井上尚弥&ポール・バトラー データ比較表>

  • 名前

    井上尚弥

    バトラー

  • 生年月日/年齢

    1993年4月10日/29歳

    1988年11月11日/33歳

  • 出身地

    神奈川県座間市

    チェスター(イギリス)

  • アマチュア実績

    11年世界選手権出場(3回戦敗退)

    10年イギリス選手権優勝

  • アマチュア戦績

    81戦75勝(48KO)6敗

  • プロデビュー

    2012年10月

    2010年12月

  • 獲得世界王座

    WBC L・フライ級
    WBO S・フライ級
    WBA、IBFバンタム級

    IBF、WBOバンタム級

  • 戦績

    23戦全勝(20KO)

    36戦34勝(15KO)2敗

  • KO率

    86%

    42%

  • 世界戦の戦績

    18戦全勝(16KO)

    4戦2勝2敗(計量失格試合含む)

  • 身長/リーチ

    165センチ/171センチ

    168センチ/165センチ

  • 戦闘スタイル

    右ボクサーファイター型

    右ボクサー型

  • ニックネーム

    「モンスター」

    「ベビーフェイス・アサシン」

  • トレーナー

    井上真吾(父親)

    ジョー・ギャラガー

<TALE OF THE TAPE 井上尚弥、アフマダリエフ、フルトン データ比較表>

  • 名前

    井上尚弥

    アフマダリエフ

    フルトン

  • 年齢

    29歳

    27歳

    28歳

  • 出身地

    日本

    ウズベキスタン

    アメリカ

  • アマ実績

    11年世界選手権出場

    16年リオ五輪銅

    13年全米GG大会優勝

  • アマ戦績

    81戦75勝(48KO)6敗

    320戦300勝20敗

    90戦75勝15敗

  • プロデビュー

    12年10月

    18年3月

    14年10月

  • 戦績

    23戦全勝(20KO)

    11戦全勝(8KO)

    21戦全勝(8KO)

  • KO率

    86%

    73%

    38%

  • 世界戦

    18戦全勝(16KO)

    4戦全勝(2KO)

    3戦全勝

  • 身長/リーチ

    165cm/171cm

    166cm/173cm

    169cm/179cm

  • 戦闘スタイル

    右ボクサーファイター型

    左ボクサーファイター型

    右ボクサー型

  • ニックネーム

    「モンスター」

    「MJ」

    「クールボーイ」



「リング・マガジン」2022年8月1日時点のPFPランキング

① 井上尚弥(大橋) バンタム級
② オレクサンダー・ウシク(ウクライナ) ヘビー級
③ テレンス・クロフォード(アメリカ) ウェルター級
④ エロール・スペンス(アメリカ) ウェルター級
⑤ サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ) スーパー・ミドル級
⑥ ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ) ライト級
⑦ ドミトリー・ビボル(キルギス/ロシア) ライト・ヘビー級
⑧ ジョシュ・テイラー(イギリス) スーパー・ライト級
⑨ ジャーメル・チャーロ(アメリカ) スーパー・ウェルター級
⑩ アルツール・ベテルビエフ(ロシア/カナダ) ライト・ヘビー級




WBOアジアパシフィック / 日本S・バンタム級王座統一戦
井上拓真対古橋岳也

兄の露払い務める拓真
挑む雑草派ファイターの古橋

 スーパー・バンタム級のWBOアジアパシフィック王座を持つ井上拓真(26=大橋)と、同級日本王者の古橋岳也(34=川崎新田)が互いの王座をかけて拳を交える。地域王座の統一戦だが、元WBC暫定世界バンタム級王者の肩書を持つ井上が格と総合力で勝っている。
 井上は攻撃的なボクシングもできるが、最近は相手の出方に合わせて迎え撃つ戦いが多い。足をつかって距離を測り、相手が出てきたところを迎撃する巧打者のイメージが強くなってきた。そのボクシングのベースになっているのは豊富な練習量と旺盛なスタミナだ。16戦15勝(3KO)1敗と試合数は多くないが、すでに2度の世界戦を含め12ラウンドを6度、10ラウンドを3度もフルに戦いきっている。益田健太郎(新日本木村)、マーク・ジョン・ヤップ(フィリピン)、栗原慶太(一力)、和氣慎吾(FLARE山上)らアジア圏のトップ選手を総なめにしており、十分な地力の持ち主といえる。
 古橋は38戦28勝(16KO)8敗2分の戦績が示すとおりの雑草派だが、2017年以降に限ってみれば11戦10勝(8KO)1分と勢いがある。昨年1月、3度目の挑戦で獲得した日本王座は2度防衛中だ。ややスロースタートの傾向はあるが、エンジンがかかると前進力と手数が増える。被弾は少なくないが簡単に諦めるタイプではなく、闘志を前面に出して向かっていく選手だ。
 ファイター型の古橋、迎撃型の井上。初回から目の離せない試合になりそうだ。

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オンデマンドでの同時配信対象外
2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、PG-12指定(12歳未満は保護者同伴が望ましい)されたもの
劇場公開時、PG12指定(小学生以下は助言・指導が必要)されたもの
2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R-15指定(15歳未満鑑賞不可)されたもの
R-15指定に相当する場面があると思われるもの
劇場公開時、R15+指定(15歳以上鑑賞可)されたもの
R15+指定に相当する場面があると思われるもの
1998年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R指定(一般映画制限付き)とされたもの