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WBO世界バンタム級タイトルマッチ ジョンリエル・カシメロ対ポール・バトラー

  • 2021/12/03

3階級制覇王者 vs 元IBF王者
強打のカシメロが圧勝か

 ジョンリエル・カシメロ(32=フィリピン)はWBAスーパー王座とIBF王座を持つ井上尚弥(大橋)やWBC王者のノニト・ドネア(フィリピン/アメリカ)との統一戦を望んでいたが、その前にWBOから1位のポール・バトラー(33=英国)との防衛戦を課されたため今回の試合に臨むことになった。両陣営の交渉が不調に終わったため10月上旬に興行権入札が行われ、かつてゴールデンボーイ・プロモーションズとリングスター社を率いたリチャード・シェーファー氏が新たに興したプロベルム社が落札した。ちなみに同社が提示した両選手の合計報酬は10万5000ドル、現在のレートで約1200万円というものだった。このうち75パーセントに相当する約900万円がカシメロ、残りの25パーセント(約300万円)がバトラーの報酬となる。カシメロは井上やドネアとの統一戦で見込まれる報酬よりもはるかに低い金額でリングに上がることになったわけだ。これがモチベーションに影響するかどうかはカシメロしだいだろう。

異国で13度の世界戦を経験しているカシメロ

 2019年4月にWBO暫定世界バンタム級王座を獲得して3階級制覇を成し遂げたカシメロだが、当時は階級最強決定戦「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」の開催中ということもあり、出場していなかったカシメロの存在感は薄かった。しかし、7ヵ月後に正王者のゾラニ・テテ(南アフリカ共和国)を3回TKOで屠って自身が正王者になると、一気に注目度が上がった。同時に以前の実績――ライト・フライ級で2度の戴冠、フライ級でIBF王座獲得――なども再評価されることになった。カシメロは16度の世界戦を経験(13勝10KO3敗)しているが、そのうち13は自国を離れての試合であることも忘れてはなるまい。このところヒールの印象が強いカシメロだが、この逞しさは特筆ものといえよう。
 暫定王者時代から数えて5度目の防衛戦となるカシメロは身長163センチと小柄だが、プレッシャーをかけながら距離を詰めて飛び込み、荒っぽい左右フック、アッパーで仕留める攻撃パターンを確立している。一見すると雑で隙の多いボクシングだが、勢いにまかせて強打を振り抜くために相手は気圧されてしまうことが多い。反面、確かな技術を持ち合わせたモルティ・ムザラネ(南アフリカ共和国)やジョナス・スルタン(フィリピン)らの左ジャブには機先を制せられて持ち味を封じられている(5回TKO負け、12回判定負け)。今年8月のギジェルモ・リゴンドー(キューバ)戦はカシメロの圧力の強さを証明した反面、攻撃技術の限界をみせた試合でもあった。超がつくほどの凡戦ではあったが、稀代のテクニシャンに勝った自信は大きいものがあるはずだ。戦績は35戦31勝(21KO)4敗。

7年前にIBF王座を獲得しているバトラー 1ヵ月で返上

 バトラーは2014年6月、スチュアート・ホール(英国)に12回判定勝ちを収めてIBF世界バンタム級王座を獲得したが、1ヵ月足らずで王座を返上してしまった。ベストウェートのスーパー・フライ級に戻るというのが理由だった。2015年3月には2階級制覇を狙ってゾラニ・テテ(南アフリカ共和国)の持つIBF世界スーパー・フライ級王座に挑んだが、8回に左アッパーを直撃されて痛烈なダウン。なんとか立ち上がったが戦える状態にはなくストップされた。その後、再びバンタム級に戻ったバトラーは2018年5月にIBF王座決定戦に出場するチャンスを得たが、計量で3.25ポンド(約1.47キロ)もオーバー、失格となった。試合でも初回に2度ダウンするなどエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)についていけず、大差の判定負けに終わった。その後は7連勝(1KO)を収めているが、格下相手にアピールを欠く試合が続いている。通算戦績は35戦33勝(15KO)2敗。
 バトラーは両ガードを高めに置いた構えから左ジャブを差し込み、次いで右ストレート、さらに左フックと繋げる基本に忠実なボクシングをする。相手が出てくると足で間合いを外し、それでも防げないときはブロックを用いることが多い。攻防ともにまとまりは感じさせるが、迫力という点ではカシメロに大きなリードを許している。

追うカシメロ 逃げるバトラー という展開か

 ふたりともアラブ首長国連邦での試合は初めてだが、フィリピンを含めて10ヵ国で戦ってきた経験を持つカシメロに対し、バトラーはキャリア11年、36戦目にして自国以外のリングは初めてとなる。また、両選手とも過去に世界戦で体重オーバーという失態を犯していることもあり、まずはどんなコンディションでリングに上がるのか注目したい。
 カシメロは初回から強引に仕掛けて出ると予想される。足をつかうであろうバトラーの行き先を塞ぐようにして追い、距離が詰まると自慢の左右フック、アッパーを強振することだろう。異国のリングが初めてのバトラーが委縮してしまうようだと、十分な抵抗もできないままあっさりと勝負がついてしまう可能性もある。挑戦者は強くて正確な左ジャブを突いてカシメロの前進を止め勝負を中盤以降に持ち込みたいところだが、それはかなり難しい作業といえる。
 テテに負けたバトラー、テテを倒したカシメロ――三段論法が成り立たないことは承知しているが、現在のふたりの間には埋めきれない力量差があるとみる。ともに上々のコンディションでリングに上がることを前提にして考えれば、カシメロが遅くとも中盤までには元王者を捕まえてしまいそうだ。

<TALE OF THE TAPE 両選手のデータ比較表>

  • 名前

    カシメロ

    バトラー

  • 生年月日/年齢

    1989年2月13日/32歳

    1988年11月11日/33歳

  • 出身地

    フィリピン

    英国

  • プロデビュー

    07年6月

    10年12月

  • 獲得世界王座

    WBO(暫定)IBF Lフライ級王座
    IBFフライ級王座
    WBOバンタム級王座

    IBFバンタム級王座

  • 身長/リーチ

    163センチ/163センチ

  • プロ戦績

    34戦30勝(21KO)4敗

    35戦33勝(15KO)2敗

  • KO率

    59%

    43%

  • 世界戦の戦績

    15戦12勝(10KO)3敗

    3戦1勝2敗

  • 直近の試合

    21年8月(12回判定勝ち)

    21年6月(10回判定勝ち)

  • 戦闘スタイル

    右ファイター型

    右ボクサーファイター型

  • ニックネーム

    「Quadro Alas」

    「Baby Faced Assassin」

<カシメロの全世界戦>

2009年12月
セサール・カンチラ(コロンビア) 〇11回TKO @ニカラグア
(WBO暫定世界ライト・フライ級王座獲得)
2010年7月
ラモン・ガルシア(メキシコ) ●12回判定 @メキシコ
(WBO暫定世界ライト・フライ級王座失う)
2011年3月
モルティ・ムザラネ(南ア) ●5回TKO @南ア
(IBF世界フライ王座挑戦)
2012年2月
ルイス・ラサルテ(アルゼンチン) 〇10回TKO @アルゼンチン
(IBF暫定世界ライト・フライ級王座獲得)
2012年8月
ペドロ・ゲバラ(メキシコ) 〇12回判定 防① @メキシコ
2013年3月
ルイス・リオス(パナマ) 〇12回判定 防② @パナマ
2013年10月
フェリペ・サルグエロ(メキシコ) 〇11回TKO 防③ @フィリピン
2014年5月
マウリシオ・フエンテス(コロンビア)〇1回KO @フィリピン
(カシメロは計量で体重超過 王座剥奪)
2015年6月
アムナット・ルエンロエン(タイ)●12回判定 @タイ
(IBF世界フライ王座挑戦)
2016年5月
アムナット・ルエンロエン(タイ) 〇4回KO @中国
2016年9月
チャーリー・エドワーズ(英国) 〇10回TKO 防① @英国
2019年4月
リカルド・フランコ(メキシコ) 〇12回KO @アメリカ
(WBO暫定世界バンタム級王座獲得)
2019年8月
セサール・ラミレス(メキシコ) 〇10回KO 防① @フィリピン
2019年11月
ゾラニ・テテ(南ア) 〇3回TKO 防② @南ア
2020年9月
デューク・マイカー(ガーナ) 〇3回TKO 防③ @アメリカ
2021年8月
ギジェルモ・リゴンドー(キューバ) 〇12回判定 防④ @アメリカ
――16戦13勝(10KO)3敗――


<バンタム級トップ戦線>

WBA S
:井上尚弥(大橋)
WBC
:ノニト・ドネア(フィリピン/アメリカ)
暫定
:レイマート・ガバリョ(フィリピン)
IBF
:井上尚弥(大橋)
WBO
:ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)

 日本時間の12日にアラブ首長国連邦でジョンリエル・カシメロ(32=フィリピン)対ポール・バトラー(33=英国)のWBOタイトルマッチ、同じ日にアメリカでノニト・ドネア(39=フィリピン)対レイマート・ガバリョ(25=フィリピン)のWBCタイトルマッチ、そして14日には東京で井上尚弥(28=大橋)対アラン・ディパエン(30=タイ)のWBA(スーパー王座)、IBFタイトルマッチが相次いで行われる。この3試合でトップ戦線は少し整理されるはずだ。カシメロ、ドネア、井上が勝ち残るという予想が大半を占めているが、この3人が同じタイミングで試合をするため、大きな負傷がないかぎり次戦が組みやすいというメリットがある。井上を軸に展開されるバンタム級ウォーズは12月を経て来春に大きな動きが見られそうだ。
 ここに割り込んでくる可能性を持っているのがWBA2位、IBF8位にランクされているアントニオ・ラッセル(28=アメリカ)だ。今年8月に行われた前IBF王者、エマヌエル・ロドリゲス(29=プエルトリコ)とのWBA暫定王座決定戦は開始から16秒でバッティングが発生、ロドリゲスが戦闘不能に陥ったため無判定試合になった。それでも井上に「あの短いなかでも『強い』ということが分かった」といわしめたほどだ。11月27日には世界ランカーのアレクサンドロ・サンティアゴ(25=メキシコ)の抵抗にあって辛勝に終わったが、潜在能力は高いものがある。
 不気味といえば11戦全勝(9KO)のEBU欧州王者、リー・マクレガー(24=英国)にも注目しておきたい。まだ試されていない面もあるが、硬質感のあるパンチを打ち込む強打者で、若く勢いがあるだけにさらに伸びてくる可能性もある。そのマクレガーと挑戦者決定戦を課されたジェイソン・マロニー(30=オーストラリア)は昨秋に井上に7回KO負けを喫したが、今年8月にジョシュア・グリー(27=アメリカ)に勝って再起を果たしている。

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