WBO世界ウェルター級タイトルマッチ テレンス・クロフォード対ショーン・ポーター

  • 2021/11/12

3階級制覇の絶対王者 vs 2度戴冠の突貫ファイター
クロフォードのスピードとスキルか ポーターの突進と回転力か

 スーパー・ライト級時代の4団体王座統一や3階級制覇、世界戦15戦全勝(12KO)など輝かしい実績と抜群の実力を誇るWBO世界ウェルター級王者、テレンス・クロフォード(34=アメリカ)が、元WBC、IBF王者のショーン・ポーター(34=アメリカ)を迎えて5度目の防衛戦に臨む。多くのファンはクロフォードと現WBC、IBF王者のエロール・スペンス(31=アメリカ)との統一戦を期待しているが、今回のポーター戦も興味深いカードだ。6対1のオッズが示すようにクロフォードのスピードとスキルが元王者の突進を捌くという予想が多いが、ポーターの徹底した攻撃とパンチの回転力が番狂わせを起こす可能性も低くはないとみる。

世界戦15連勝 目下8連続KO勝ちのクロフォードだが不安の芽も

 クロフォードはアマチュア時代(70戦58勝12敗)は国内でトップというわけではなかったが、プロでは恵まれた才能を十分に発揮している。特に2011年にトップランク社とプロモート契約を交わしてからは進撃に拍車がかかり、2014年3月にWBO世界ライト級王座を獲得してからの7年半は無敵の印象が強い。それは各試合のオッズにも表れている。初挑戦のリッキー・バーンズ(英国)戦は敵地での試合ということもあって9対4(クロフォード有利)、ユリオルキス・ガンボア(キューバ)との初防衛戦も5対3(クロフォード有利)と競っていたが、これらの試合で卓抜したスピードと技術の持ち主であることが証明されると、以後は戦前から圧勝の予想が当たり前のようになっていった。上記2試合を除く13度の世界戦では2018年6月のジェフ・ホーン(オーストラリア)戦の4対1が最も接近した数字だった。ちなみにスピード勝負が予想されたアミール・カーン(英国)戦は8対1、直近のケル・ブルック(英国)戦は12対1と大差がついていた。実際にその数字どおりの結果が出たのは周知のとおりだ。
 特にこの5年間に限ってみれば世界戦で8連続KO勝ちと、クロフォードの強さは際立っている。この間、スーパー・ライト級で4団体の王座を独占し、ウェルター級でも戴冠を果たして3階級制覇を達成。いまやパウンド・フォー・パウンドの上位常連で、ナンバー1に推す識者やファンもいるほどだ。
 そんなクロフォードだが、本人が望んできたマニー・パッキャオ(フィリピン)やエロール・スペンス(アメリカ)らとの大一番は実現しないまま年月が経ち、この9月で34歳になった。年齢とともに周囲がモチベーションの面でも少なからず心配するようになってきたのも事実だ。そういえばと遡ってみれば直近の2試合は途中まで相手に善戦を許す展開だった。終わってみれば貫録を示す結果に落ち着いているが、多少なりとも不安の芽が出始めてきたといえる。

2度戴冠のポーター 3敗はいずれも接戦

 ポーターもアマチュア時代に全米ゴールデングローブ大会優勝(2007年)、全米選手権で準優勝(2007年、2008年)などの実績は残しているが、オリンピックや世界選手権出場の経験はない。興味深いのは身長170センチ、リーチ177センチと小柄な体であるにもかかわらずアマチュア時代は75キロが体重上限のミドル級が主戦場だった点である。アマチュア時代はライト級(60キロ以下)が主戦場だったクロフォードとは当時は15キロもの体重差があったことになる。そんな両者が14年ほどの年月を経て66.6キロのウェルター級で覇権を争うのだから先は分からないものだ。
 ポーターは2008年10月、クロフォードよりも7ヵ月遅れてプロ転向を果たした。初陣は165.5ポンド(75.07キロ)のスーパー・ミドル級だったが、以後は70キロ前後まで体重を絞ってリングに上がった。順調に白星を重ねるなか2009年秋にはミゲール・コット(プエルトリコ)戦を控えたパッキャオのスパーリング・パートナーに起用されるなど貴重な体験も積んだ。ちなみにクロフォードもルーキー時代にティモシー・ブラッドリー(アメリカ)のパートナーを務めたことがある。
 2013年12月にデボン・アレキサンダー(アメリカ)を攻略してIBF世界ウェルター級王者になり、元王者のポール・マリナッジ(アメリカ)を圧倒(4回TKO)して初防衛に成功。ここまでは順調に階段を駆け上がっていたが、V2戦でブルックに敗れ王座を明け渡した。2016年6月、旧知のキース・サーマン(アメリカ)が持つWBA王座に挑んだが、小差の判定で敗れた。2018年9月にダニー・ガルシア(アメリカ)との決定戦を制してWBC王座を獲得したものの、初防衛戦ではヨルデニス・ウガス(キューバ)に大苦戦。2対1の判定で辛うじて王座をキープしたが、次戦でIBF王者のスペンスに敗れ再び無冠に戻った。11ラウンドに喫したダウンが響いたかたちだが、ひとりのジャッジは115対112でポーターを支持していた。昨年8月の再起戦(12回判定勝ち)を挟んで今回の試合に臨む。

王者が着々と加点か 挑戦者が混戦に持ち込むか

 37戦全勝(28KO)のクロフォード、35戦31勝(17KO)3敗1分のポーター。挫折を知らずKO率(76%)も高い王者に対し、大事なところで星を落としてきた挑戦者。オッズが6対1と傾くのも当然といえば当然だが、実のところ両者間にそこまでの実力差があるとは思えない。ましてポーターは12ラウンドをフルに9度も戦いきっているように長丁場の経験が豊富で、スタミナもある選手だ。クロフォードにとっては気の抜けない時間が長く続くものと思われる。
 左右どちらの構えでも戦えるクロフォードは、スピードと巧みな位置どりで主導権掌握を狙うだろう。ポーターの突進が空回りし、クロフォードのカウンターが的確に決まるようだと王者が着々とポイントを積み重ねることになりそうだ。一方、頭から突っ込んでくる挑戦者の攻撃を持て余し、上体を起こされて後退を強いられるような展開になるとクロフォードの苦戦も考えられる。小さなミスが大きな綻びに繋がる可能性があるだけに、振りの大きさを変えて打ち込んでくるポーターの左右フックには十分な注意が必要だ。

<TALE OF THE TAPE 両選手のデータ比較表>

  • 名前

    クロフォード

    ポーター

  • 生年月日/年齢

    1987年9月28日/34歳

    1987年10月17日/34歳

  • 出身地

    オマハ(米国ネブラスカ州)

    アクロン(米国オハイオ州)

  • アマチュア実績

    06年全米ゴールデングローブ大会準優勝
    06年全米選手権3位
    07年全米選手権3位
    ※アマ時代はライト級(-60キロ)

    06年全米選手権準優勝
    06年世界ジュニア選手権出場
    07年全米選手権準優勝
    07年全米ゴールデングローブ大会優勝
    ※アマ時代はミドル級(-75キロ)

  • アマチュア戦績

    70戦58勝12敗

    290戦276勝14敗

  • プロデビュー

    08年3月

    08年10月

  • 獲得王座

    WBOライト級王座
    WBA、WBC、IBF
    WBO Sライト級王座
    WBOウェルター級王座

    IBF、WBCウェルター級王座

  • 戦績

    37戦全勝(28KO)

    35戦31勝(17KO)3敗1分

  • KO率

    76%

    49%

  • 世界戦の戦績

    15戦全勝(12KO)

    7戦4勝(1KO)3敗

  • 身長/リーチ

    173センチ/188センチ

    170センチ/177センチ

  • 戦闘スタイル

    左ボクサーファイター型
    (右構えにスイッチすることも)

    右ファイター型

  • ニックネーム

    「ハンター」

    「ショータイム」

  • トレーナー

    ブライアン・マッキンタイア

    ケニー・ポーター(父)

<クロフォードの世界戦全戦績> 15戦全勝(12KO)

■2014年
3月1日 リッキー・バーンズ
(WBO世界ライト級王座獲得)
〇12回判定  
6月28日 ユリオルキス・ガンボア 〇9回TKO 防衛①
11月29日 レイムンド・ベルトラン 〇12回判定 防衛②
■2015年
4月18日 トーマス・デュロルメ
(空位のWBO世界スーパー・ライト級王座獲得)
〇6回TKO
10月24日 ディエリー・ジャン 〇10回TKO 防衛①
■2016年
2月27日 ヘンリー・ランディ 〇5回TKO 防衛②
7月23日 ビクトル・ポストル
(WBC王座獲得)
〇12回判定 防衛③
12月10日 ジョン・モリナ 〇8回TKO 防衛④
■2017年
5月20日 フェリックス・ディアス 〇10回終了TKO 防衛⑤
8月19日 ジュリウス・インドンゴ
(WBA、IBF王座獲得=4団体統一)
〇3回KO 防衛⑥
■2018年
6月9日 ジェフ・ホーン
(WBO世界ウェルター級王座獲得)
〇9回TKO
10月13日 ホセ・ベナビデス 〇12回TKO 防衛①
■2019年
4月20日 アミール・カーン 〇6回TKO 防衛②
12月14日 エギディユス・カバラウスカス 〇9回TKO 防衛③
■2020年
11月14日 ケル・ブルック 〇4回TKO 防衛④

<ポーターの世界戦全戦績> 7戦4勝(1KO)3敗

■2013年
12月7日 デボン・アレキサンダー
(IBF世界ウェルター級王座獲得)
〇12回判定  
■2014年
4月19日 ポール・マリナッジ 〇4回TKO 防衛①
8月16日 ケル・ブルック
(IBF世界ウェルター級王座失う)
●12回判定
■2016年
6月25日 キース・サーマン
(WBA世界ウェルター級王座挑戦)
●12回判定
■2018年
9月8日 ダニー・ガルシア
(空位のWBC世界ウェルター級王座獲得)
〇12回判定
■2019年
3月9日 ヨルデニス・ウガス 〇12回判定 防衛①
9月28日 エロール・スペンス
(WBC、IBF王座統一戦 ※WBC王座失う)
●12回判定

<ウェルター級トップ戦線の現状>

WBA S
:ヨルデニス・ウガス(キューバ)
:ラジャブ・ブタエフ(ロシア) ※
WBC
:エロール・スペンス(アメリカ)
IBF
:エロール・スペンス(アメリカ)
WBO
:テレンス・クロフォード(アメリカ)

 長いことウェルター級の主役のひとりだった6階級制覇王者のマニー・パッキャオ(フィリピン)が8月、ヨルデニス・ウガス(35=キューバ)に敗れ、そのあとで引退を表明した。一時代の終焉といっていいだろう。パッキャオは去ったが、ライバルだった力のある王者たちと後継者たちは数多くいる。真っ先に挙げなくてはならないのがWBCとIBFの2冠王者、エロール・スペンス(31=アメリカ)とWBO王座を4度防衛中のテレンス・クロフォード(34=アメリカ)だ。スペンスは27戦全勝(21KO)の万能型サウスポーで、パンチ力という点ではクロフォードの上を行く。ただ、2年前に交通事故を起こし、今年8月には網膜剥離が判明したためパッキャオ戦を辞退しなければならなかった。マイキー・ガルシア(33=アメリカ)、ショーン・ポーター(34=アメリカ)、ダニー・ガルシア(33=アメリカ)が相手とはいえ3試合続けてKOを逃しており、一時の勢いが失せた印象がある。
 クロフォードは2014年3月にライト級で世界王者になってから7年半、15度の世界戦で全勝、そのうち12度はKO(TKO)で終わらせてきた。左右どちらの構えでも戦えるスイッチヒッターで、卓抜したスピードとスキルを誇る。まだ限界を見せてはいないが、直近の2試合では手を焼く場面があるなど若干の不安が頭を出しつつある。スペンスにもいえることだが、コロナ禍のなか試合頻度が落ちている点も気がかりだ。今回のポーター戦でどんな戦いを見せるのか注目したい。
 パッキャオに勝って知名度と評価を上げたウガスは正面から圧力をかけていくタイプで、フィジカルの強さが目立つ。ただ、主役の座に上がるためにはアピール度やキャラクターの面で不足が感じられる。
 新しい勢力としては、18戦全KO勝ちの23歳、バージル・オルティス(アメリカ)と24歳の万能型ハードパンチャー、ジャロン・エニス(24=アメリカ)に注目したい。ともにこの1年のうちに課されたテストマッチをクリアして次のステージに上がってきており、すでに世界挑戦を視界にとらえている。パッキャオが去ったあともウェルター級トップ戦線は厚みのある布陣となっている。

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2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、PG-12指定(12歳未満は保護者同伴が望ましい)されたもの
劇場公開時、PG12指定(小学生以下は助言・指導が必要)されたもの
2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R-15指定(15歳未満鑑賞不可)されたもの
R-15指定に相当する場面があると思われるもの
劇場公開時、R15+指定(15歳以上鑑賞可)されたもの
R15+指定に相当する場面があると思われるもの
1998年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R指定(一般映画制限付き)とされたもの