WBO世界フライ級タイトルマッチ 中谷潤人対アンヘル・アコスタ

  • 2021/09/03

23歳の王者に試練の初防衛戦
KO率88%のアコスタの強打は要警戒

 昨年11月に戴冠を果たした中谷潤人(23=M.T.)が、前WBO世界ライト・フライ級王者で現在はフライ級でWBO1位にランクされる指名挑戦者、アンヘル・アコスタ(30=プエルトリコ)を相手に初防衛戦に臨む。体格で勝るサウスポーの中谷に分のあるカードだが、88パーセント近いKO率を誇るアコスタの強打には最大限の注意が必要だ。

確実に階段を上って来た中谷 試合3週間前に渡米

 三重県出身の中谷は中学卒業後に渡米してロサンゼルスのルディ・エルナンデス・トレーナーのもとで修業。17歳の誕生日を待って2015年4月にプロデビューした。翌2016年12月、のちに日本王者になる矢吹正道(薬師寺⇒緑)を下して全日本フライ級新人王に輝き、2017年8月には現日本フライ級王者のユーリ阿久井政悟(倉敷守安)とのホープ対決で6回TKO勝ちを収めている。さらに3年前には村田諒太(帝拳)対エマヌエーレ・ブランダムラ(イタリア)のWBA世界ミドル級タイトルマッチの前座に出場し、WBC11位にランクされていたマリオ・アンドラーデ(メキシコ)を8回負傷判定で破っている。このあと日本フライ級王座を獲得したが、世界挑戦の準備に入るため返上。2019年10月、前哨戦と位置づけられたミラン・メリンド(フィリピン)戦では元世界王者を一方的に攻めつけ6回TKOで快勝した。
 2020年4月にはジーメル・マグラモ(フィリピン)との王座決定戦が決まったが、コロナ禍のため夏に延期。さらに11月に再延期されたが、ここで中谷はマグラモに8回KOで圧勝、22歳10ヵ月で世界王座獲得を果たした。戦績は21戦全勝(16KO)。こちらも76パーセントと高いKO率を誇る。
 今回の初防衛戦は5月に日本で計画されたが、コロナ禍が収束しないため国内開催を断念。中立地のアリゾナ州ツーソンで行われることになった。試合に向け中谷は8月20日に日本を発ち、エルナンデス・トレーナーらとロサンゼルスで調整して試合地入りする予定だ。

抜群の攻撃力の反面、防御と耐久力に課題抱えるアコスタ

 挑戦者のアコスタは元世界4階級制覇王者、ミゲール・コット(プエルトリコ)がプロモートする選手で、同じプエルトリコの英雄、フェリックス・トリニダードと同じ「TITO」という愛称を持っている。日本のファンにとっては2017年5月、名古屋で田中恒成(畑中)の持つWBO世界ライト・フライ級王座に挑んで12回判定負けを喫した試合が印象に残っているかもしれない。田中戦に臨む際のアコスタの戦績は16戦全KO勝ちというものだったが、初の大舞台では5回に右アッパーから右ストレートを浴びてダウン。ボディも攻められて完敗に近い内容だった。
 しかし、その半年後、田中のベルト返上にともなう王座決定戦でファン・アレホ(メキシコ)に10回KO勝ち、再起戦で念願の戴冠を果たした。この王座はカルロス・ブイトラゴ(ニカラグア)に12回TKO勝ち、アブラハム・ロドリゲス(メキシコ)に2回KO勝ち、ガニガン・ロペス(メキシコ)に8回KO勝ちで3度防衛。このまま長期政権を築くかと思われたが、V4戦で伏兵エルウィン・ソト(メキシコ)に逆転の12回KO負けを喫して陥落した。3回にダウンを喫したあと持ち直してポイントでは安全圏内に入っていたが、最終回に不覚の一発を浴びてグロッギー状態に陥りレフェリーにストップされるという痛恨の敗北だった。これを機にフライ級に転向し、2連勝を収めている。戦績は24戦22勝(21KO)2敗。

長身サウスポーの王者にアドバンテージ

 体格面では身長171センチ/リーチ170センチの中谷が163センチ/161センチのアコスタを大きく上回っている。加えて王者にはサウスポーという特徴がある。中谷はそのアドバンテージを生かした戦いをするものと思われる。ロングレンジをキープして右リードで牽制、相手が入ってくるところを左ストレート、アッパーで迎え撃つパターンである。ボディ攻撃も有効だろう。アコスタは田中にボディを攻められて体を丸めるシーンもあっただけに大きな効果が望めそうだ。
 ただ、アコスタの強打には十分な注意が必要だ。特に左フックは伸びがあるうえ破壊力抜群とあって最大限の警戒を要する。サウスポー相手には死角から巻き込むように入ってくるだけに中谷にとっては気を抜けない時間が長くなるかもしれない。右ストレートも危険だ。それらは単発で相手を倒す威力があるだけでなく連打のきっかけにもなるだけに、できればブロック対応ではなく空振りさせたいところだ。そのためにも中谷は足と右リードパンチを効果的につかいたい。そしてガードが甘く耐久力に課題を抱える挑戦者に左から右を浴びせることができればKO防衛が見えてくる。
 チャンスでは集中力を保ち、もしも窮地に陥った場合は焦らずに局面を打開するパンチを狙う――そんな戦いができれば中谷はベルトを持ち帰れるはずだ。

<TALE OF THE TAPE 両選手のデータ比較表>

  • 名前

    中谷

    アコスタ

  • 生年月日/年齢

    1998年1月2日/23歳

    1990年10月18日/30歳

  • 出身地

    三重県東員町

    プエルトリコ サンファン

  • アマチュア実績

    2010年中米カリブ大会優勝

  • アマチュア戦績

    16戦12勝(8KO)4敗

    184戦(勝敗数は不明)

  • プロデビュー

    2015年4月

    2012年11月

  • 獲得世界王座

    WBO フライ級

    WBO ライト・フライ級

  • プロ戦績

    21戦全勝(16KO)

    24戦22勝(21KO)2敗

  • KO率

    76%

    88%

  • 世界戦の戦績

    1戦1勝(1KO)

    6戦4勝(4KO)2敗

  • 直近の試合

    2020年11月(8回KO勝ち)

    2021年3月(8回判定勝ち)

  • 身長/リーチ

    171センチ/170センチ

    163センチ/161センチ

  • 戦闘スタイル

    左ボクサー型

    右ボクサーファイター型

  • トレーナー

    ルディ・エルナンデス

    フレディ・ローチ

  • ニックネーム

    TITO

<日本のジム所属 歴代世界フライ級王者19人>

白井義男(シライ)  ファイティング原田(笹崎)  海老原博幸(協栄)  大場政夫(帝拳)  小熊正二(新日本木村)  花形進(横浜協栄)  小林光二(角海老宝石)  レパード玉熊(国際)  ユーリ・アルバチャコフ(協栄)  亀田興毅(亀田)  坂田健史(協栄)  内藤大助(宮田)  亀田大毅(亀田)  五十嵐俊幸(帝拳)  八重樫東(大橋)  井岡一翔(井岡⇒志成)  比嘉大吾(白井・具志堅⇒志成)  木村翔(青木⇒花形)  中谷潤人(M.T.)

<フライ級トップ戦線の現状>

WBA
:アルテム・ダラキアン(アゼルバイジャン/ウクライナ)
暫定
:ルイス・コンセプション(パナマ)
WBC
:フリオ・セサール・マルチネス(メキシコ)
暫定
:マクウィリアムス・アローヨ(プエルトリコ)
IBF
:サニー・エドワーズ(英国)
WBO
:中谷潤人(M.T.)


 5年ほど前まではローマン・ゴンサレス(ニカラグア)、ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)、井岡一翔(井岡⇒志成)ら実力も知名度もある選手たちが支配していた階級だが、彼らがスーパー・フライ級に転向後は混戦状態が続いている。最も長く王座に君臨しているのは2018年2月に戴冠を果たしたWBA王者のアルテム・ダラキアン(34=アゼルバイジャン/ウクライナ)だが、2020年2月のV4戦を最後に活動が途絶えている。こうしたなか2019年12月にフリオ・セサール・マルチネス(26=メキシコ)がWBC王座を獲得し、存在感を増している。
 昨年11月にWBO王座を獲得した中谷潤人(23=M.T.)と今年4月にモルティ・ムザラネ(39=南アフリカ共和国)を破ってIBF王座についたサニー・エドワーズ(25=英国)はともに9月に初防衛戦を控えており、評価はそれをクリアしてからということになる。
 WBOアジアパシフィック王者でWBA2位、IBF9位、WBO4位の山内涼太(26=角海老宝石)をはじめWBC16位の畑中健人(23=畑中)、WBO12位、IBF14位のユーリ阿久井政悟(25=倉敷守安)らにもチャンスがありそうだ。




WBC世界スーパー・フェザー級タイトルマッチ オスカル・バルデス対ロブソン・コンセイサン

2階級制覇王者 vs リオ五輪金メダリスト
アマ時代にはコンセイサンが勝利

 今年2月、4年間に6度の防衛を重ねていたロングラン王者、ミゲール・ベルチェルト(メキシコ)に10回KO勝ちを収めWBC世界スーパー・フェザー級王座を獲得したオスカル・バルデス(30=メキシコ)が、2016年リオデジャネイロ五輪ライト級金メダリストのロブソン・コンセイサン(32=ブラジル)を迎えて初防衛戦に臨む。WBOのフェザー級に続いて2階級制覇を果たしたバルデスが29戦全勝(23KO)、WBC14位のコンセイサンが16戦全勝(8KO)、プロで一点の綻びもない者同士の一騎打ちだ。このふたりはアマチュア時代の2009年、メキシコシティで開催されたパンナム選手権のフェザー級決勝で対戦してコンセイサンが6対5のポイント勝ちを収めている。12年のときを経てプロの最高峰のリングで実現するリマッチは、どんな内容でどちらが勝者コールを受けるのだろうか。
 バルデスは身長166センチ、リーチ168センチとスーパー・フェザー級では小柄な部類に入るが、先のベルチェルト戦では鋭く踏み込んで正確な左ジャブを突くアウトボクシングに徹した。4回には試合の流れを決めるダウンを奪い、その後も着々と加点。10回、焦って出てきた相手にカウンターを合わせて痛烈なKO勝ちを収めている。本来はリスクを恐れない強気な攻撃ボクシングが持ち味だが、2年前からコンビを組んだエディ・レイノソ・トレーナーの指導で攻防の幅が広がったようだ。もともとバルデスはアマチュアで2008年北京大会、2012年ロンドン大会と2度のオリンピック出場を果たしているほどだから基礎的なスキルも高いものがあるのだろう。
 対するコンセイサンは2008年北京大会はフェザー級、2012年ロンドン大会はライト級でともに初戦敗退だったが、3度目のオリンピック出場となったリオデジャネイロ大会では4試合を勝ち抜いて最も高い表彰台に上がった。「オリンピック・チャンピオン」の称号を土産にトップランク社とプロモート契約を交わして2016年11月に28歳でプロに転向。ここまで5年間に16の勝利を積み重ねてきた。ダウンを喫した試合もあり、まだ試されていない印象は拭えないが、179センチの長身から繰り出す伸びのあるストレートやアッパー系のパンチはなかなか魅力的だ。
 最初に注目したいのはバルデスの出方である。フェザー級時代に見せていたような肉弾戦を仕掛けていくのか、それともベルチェルト戦で披露したテクニック主体の出入りのボクシングで崩しにかかるのか。一方のコンセイサンはガードを高めに置きながら左ジャブを差し込み、機を見て右ストレートやアッパーで攻めることになるだろう。プロでの経験値と攻防の幅で勝るバルデス有利は不動だが、中近距離で突き上げる挑戦者のアッパーには注意が必要だ。

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オンデマンドでの同時配信対象外
2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、PG-12指定(12歳未満は保護者同伴が望ましい)されたもの
劇場公開時、PG12指定(小学生以下は助言・指導が必要)されたもの
2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R-15指定(15歳未満鑑賞不可)されたもの
R-15指定に相当する場面があると思われるもの
劇場公開時、R15+指定(15歳以上鑑賞可)されたもの
R15+指定に相当する場面があると思われるもの
1998年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R指定(一般映画制限付き)とされたもの